私の世界
ここが何処で、自分が誰なのか、どうやってここに来たのかが分からない。
しかし一つだけ分かることはある。
私は死んだのだ。
どのくらい生きていたのか、どのような生活を送っていたのか、どのような死を迎えたのか、疑問はたくさんあるのだが死んだといった事実のみは理解している。
白い部屋にソファとテーブル…生活感のあるような部屋に見えるがテレビやゲーム、本、漫画、キッチンに冷蔵庫、ベッドに風呂と必要性のあるものが見当たらない。
入口も出口もないこの部屋でいったい何をしろというのだろうか。
それ以前にこの部屋は私に与えられた部屋なのかも分からない。
「誰か…?」
声が出た、しかしなんだか透明感のある男とも女とも取れるアルトだ。
自分の性別が気になり身体を見ようとした。
「は……?」
見えたものはこの空間と同じ白だけだった。
鏡がないか探してみるが見当たらず、せめて鏡代わりとなるものがないか探してみるが自分の姿を映せるものは見当たることはなかった。
返事が返ってこない、誰の部屋なのか分からず、自分の性別も分からない。
どうすれば良いのだろうか。
疑問ばかりのなか、私は部屋にあるソファに腰掛けてみた。
そこで違和感が見付かる。
「私は魂なのか…?」
座っている状態だというのにその感触がないのだ。
思わず疑問を口にしてしまうのだがその声に誰も答えはくれない。
疑問は疑問のまま、残されたままだ。
今度はソファーの手前に配置されているテーブルに触れようとしてみる。
やはり、感触はなかった。
立ち上がり、テーブルを持ち上げてみようとした。
しかし自分の手が何処にあり、テーブルをしっかり掴めているのか、感触も何もないため分からないがテーブルが持ち上がることはなかった。
逆に、持ち上げれなかったということもなく、寧ろ重さを感じることさえ出来なかった。
疑問ばかりが残り、自分は死んだということ、仮定ではあるがここは死後の世界で魂となったということのみが分かった。
天国、地獄など死んだ者が行くとされる世界とも言えないこの空間があの世というものなのだろうか。
神と呼ばれる者や天使と言われる者、悪魔と恐れられるものなどがいることもなく、私一人がこの空間に居座っている。
もしも、神と言う者がいるとしたならば何故ここに私一人だけを居座らせるのだろうか。
ふ、と思い付いた。
仮に神が私一人をこの部屋に居座らせたとしたら、数々の疑問を一人で解くように仕向けているのではないだろうか。
大人であれば家事や仕事、子供であれば勉強や遊びと何かしらすることがあるものの自分以外の誰もいないこの空間で出来ることは何もせずにいることか考えることくらいしか考えられなかった。
まず最初に私は死因について考えてみた。
覚えてもいないが、死因となれば限られてくる。
病死、事故、他殺、自殺…。
病死であったとしてもいろいろある。
幼い頃から身体が悪かったりすれば病院生活が余儀なくされる。
その場合、想像ではあるのだがきっと私はいくつもの後悔を背負ったまま死にいくのだろう。
急死であれば、恨みや後悔と負の気持ちが多いだろう。
大きくなってからの病気であればもう一度こうしたい、あれがしてみたいなど、幼い頃と比べてたくさんの希望ばかりで周りに迷惑をかけるのではないだろうか。
どれも他人に迷惑をかけるような気がするが、私としては最後の病死を希望しよう。
大きくなっている分、限界などを理解しているということもあり、悔いは残るだろうが、周りに感謝を伝えたり出来るだろう。
以下構想中。