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野村雄―5

 自分、僕は更に考えた。


 本当に自分が史実(?)同様に、第一次世界大戦時、ヴェルダン攻防戦で戦死していれば。

 娘の千恵子は、紆余曲折はあったが、土方勇と結ばれて、土方家の人間として幸せを掴めたのだ。

 そして、岸総司も、村山キクの娘の美子と結婚することはなく、それなりの家庭を築けた。

 又、アラン・ダヴ―も、自分としては色々と想う処はあるが、それなりの人生を送れたのだ。


(唯、アランの娘アラナについては、そう簡単には言えない。

 だからこそ、自分は何とかして救おうとして、今に至るのだ。

 アラナも、その点については、私や千恵子の話を聞き入れており、軍人としての人生を歩んだのだ。


 女性に対する酷い偏見、と自分でも考えるが、戦場で敵兵を殺傷した女性に対して、戦場で敵兵を殺傷するような女性は、女性ではない、と叩く声が陰では極めて強く、結婚育児となると、血に塗れた手で家庭を築こうとするとは、自らの良心が痛まないのか、とまで叩く人が現にいる。

 だから、この世界のアラナは生涯、独身を貫くことにしたのだ。


 後、後述するが、初恋の相手のピエールが、ファネットと既に婚約していて、アラナにしてみれば、完全に初恋に破れてしまったのもあった)


 そして、自分がヴェルダン攻防戦で戦死した世界では。

 自分達の子ども4人が、完全に姉弟として交流することは無かった。

 篠田千恵子と岸総司は、異母姉弟として交流することが出来た。

 又、林忠崇元帥のお節介で、村山幸恵は、その二人から異母姉として密やかに遇された。

 だが、アラン・ダヴ―は、勘の良すぎる村山幸恵にしか、異母弟として察せられず、岸総司や篠田千恵子とは、生涯、異母弟として遇されずに生涯を送り、アラン自身は、一人っ子と考えて亡くなったのだ。

 

 止むを得なかったのだろうが、本当に良かったのか、と自分は考えてしまう。


 そして、自分が第一次世界大戦後にジャンヌの下に奔った世界では。

(尚、これは岸忠子では無かった、岸澪が悪かった、と自分は考えざるを得ない。

 過去の異世界に転生した岸澪は、21世紀の男女平等論を大正時代にぶち上げ、政治活動に奔った。

 その為に、そんな過激な政治活動をする妻は御免だ、と自分(?)はジャンヌの下に奔ったのだ)


 自分はジャンヌとの間に、アランを頭に12人の子を儲けた。

 更に自分はフランスに帰化して、フランス陸軍の将軍に、更には北アフリカ総督等まで務めた。

 又、ソ連が崩壊し、英国がインド内戦等に関与して、疲弊せざるを得なかった一方、自分が尽力したことで、フランスはインドシナやアフリカ等の植民地を適宜に損切りして、円満に連邦国家に移行させられたことから、20世紀末まで世界第三位の大国、米日に次ぐ大国でいるらしいのだ。


 又、村山幸恵、篠田千恵子、岸総司は、敵の敵は味方の論理から、アランに対抗して結束した。

 そして、仲良くなった末に、村山幸恵の異父妹の美子と、岸総司はこの世界でも結婚した。

 又、篠田千恵子は、史実通り(?)に土方勇(土方歳一の長男)と結婚して、一時は家庭生活を営むことになったのだが。


 岸忠子のお声掛かりで、篠田千恵子は横須賀から衆議院議員として出馬して、海軍等を背景に30年余りに亘って当選し続けたことから、小泉又次郎を始祖とする小泉家を、政界から完全に引退させる等の事態を引き起こしたらしいのだ。

 そして、篠田千恵子は、立憲政友会の重鎮議員として名を馳せたとか。


 本当に其処まで違う歴史が起きて良いのか、と自分は考えてしまう。

 特に自分の娘の篠田千恵子については、自分の選択肢で運命が変わり過ぎではないだろうか。

 何故に自分の傍で育つ方が不幸になるのか、とさえ自分は考えるのだ。

 話中で女性兵士の偏見が出てきますが、史実世界でもあったことで、第二次世界大戦の際に前線で戦った女性兵士の多くが、表面上は英雄として称えられつつ、裏ではそういった周囲からの偏見に晒されて、結婚等できずに生涯、独身を貫く女性が多く、又、精神的に病むことも多かったとか。

 そういった背景から、この世界でもあり得ることとして、描写しています。


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