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野村雄―1

 そんなことを、自らの目の前にいる親友である高木惣吉が考えていること等、詳細が野村雄には分かっていなかったが、何となく察せざるを得なかった。


 野村雄は考えた。

 本当に何故にこんな状況に陥っているのだろうか。


 自分の子ども達のことまで考えれば、自分は第一次世界大戦のヴェルダン攻防戦で戦死すべきだったのでは、と考えざるを得ないのが現実だ。

 

 本当にこの異世界(?)というか、違う歴史が流れた世界では自分が生き延びているが、それが少なくとも自分の身の回り、自分を含めた周辺人物に幸せをもたらしているのだろうか。


 自分の知っている史実(?)世界では、ヴェルダン要塞攻防戦で自分は戦死していたのだ。

 そして、その後にどんな出来事が引き起こされたのか、を生まれ変わってきた後の知識から、詳細を自分は知らされている。


 そして、自分としては望んでいなかった筈なのだが、どうも自分が心の奥底では望んでいたらしい、ヴェルダン要塞攻防戦で自分が戦死しなかった世界に赴いて、50年余りを過ごした末に、色々と自分は考えないといけない状況に陥っている。


 村山キクは、自分が戦死したことを聞かされることになり、更に北白川宮成久王殿下が林忠崇元帥に相談したこと等から、多大な金銭援助を得られて、料亭「北白川」を創業することになった筈なのだ。

 更に村山幸恵は、料亭「北白川」の大女将になっていくことになった。


 篠田りつは、自分が戦死したこともあって、自分に都合の良い話を周囲に広めることになった。

 その結果、自分の実家は村八分の目に遭うことになり、会津から離散することになったのだ。

 その一方、自分の実家からの慰謝料の支払い等を受けた事から、篠田家の借金は清算されて、篠田家は中流より上の家庭生活を、結果的に営めることになり、篠田千恵子は、高等女学校等を卒業した後、土方勇と知り合って、土方伯爵家に嫁ぐことになったのだ。


 岸忠子は、篠田りつの行動に憤って、千恵子を野村家に受け入れることを拒んだが、結果的に千恵子と総司は異母姉弟として、それなり以上の関係を築くことになった。

 更に総司は、史実(?)では篠田千恵子の仲介により結婚し、最初の妻がお産の際に亡くなった後、同僚と言える斎藤雪子軍医士官と再婚して、家庭生活を営むことになった。


 ジャンヌ・ダヴ―は、それこそ我が息子と自分は呆れるしかないのだが、アラン・ダヴ―の女性関係のやらかしの尻拭いに、色々と奔走する事態が起きたのだ。

 そして、アランは、フランスの英雄と言って良い存在になったのだ。


 そして、史実(?)と異なり、自分は生き延びたことから、自分は子ども達の為に奔走せざるを得なくなり、史実と違う人生を子ども達は歩むことになったのだ。


 幸恵は結果的に史実に准じた人生を歩んだが、史実と異なり、千恵子や総司、アランの長姉として育つことになり、弟妹もそれを積極的に受け入れたことから。

 幸恵の異父妹の村山美子が、その果てに史実と異なり、総司の妻になる事態が起きた。


 千恵子は、私の傍で育ったことから、戦傷者を癒す軍医を志望することになり、軍医士官になって、更に土方勇と結婚もしているのだが。

 戦場PTSDにり患することになり、自らを被験者として癒す事態に陥っている。


 総司は、美子と仲睦まじい夫婦になり、私からすれば複数の子に恵まれた温かい家庭を築いた。

 それにしても、自分の元愛人を、義母さんと呼んでよいのか、と私は考えてしまうのだが。


 アランは、フランスの植民地、アルジェリア独立問題で、フランスの国体維持に奮闘して、フランスの英雄として、世界に名を轟かせることになった。

 

 本当にどうしてこうなったのか、と私は考えるのだ。

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