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高木惣吉―1

 連続投稿の2話目になります。

 こいつは本当に底が知れない奴だ。

 そう考えるのは何度目だろう。


 1970年の秋、欧州旅行の寄り道として、久々に会った親友、野村雄と会食し、更に食後酒として、ワインを少し嗜みながら、自分は目の前の親友のことを考えた。

 海軍兵学校の1年違いの先輩、後輩関係にあり、海軍兵学校に入学して知り合うことになって、第一次世界大戦の戦禍の中、海兵隊士官として、欧州の戦野で共に戦うことになった。

 未だに地獄の日々が続いたと脳裏に刻み込まれている、ヴェルダン攻防戦の日々を共に生き抜いたのが、自分にとっては初陣だった。


 そして、目の前の親友は、その地獄の日々を前にして、少なからず壊れたのだろう。

 いや、その前から、自らの結婚に悩んで、壊れかけていたのかもしれない。


 欧州出征前に横須賀の芸妓、村山キクと遊んで、幸恵という娘を産ませた。

(最も親友にしてみれば、一夜の関係で娘が出来るとは思いも寄らず、更に万が一のこと、妊娠することがあっても、村山キクは堕胎すると考えていたことから、結果的に慌てふためいたらしいが)

 

 幼馴染で事実上の婚約者だった篠田りつとの間に、千恵子という娘を産ませた。

(これ又、親友の主張に因れば、一夜の関係で出来たらしい)


 そして、今では先妻になった岸忠子との間に、総司という息子を産ませた。

(いわゆるハネムーンベビーで、結婚して出征までの10日程の間に出来たとか)


 ヴェルダン攻防戦に赴く前、マルセイユの街娼、ジャンヌ・ダヴ―の下に通い詰めて、アランという息子を産ませたのだ。

(尚、この一件だが、岸忠子の父、岸三郎提督を激怒させる事態を引き起こし、この親友は第一次世界大戦の間、激戦地の最前線を渡り歩いた末、何度も戦傷を負って、命辛々生還することになったのだ)


 第一次世界大戦終結後、親友は日本に帰国して、海兵隊士官として順調に出世していった。

 どうのこうの言っても、歴戦の名指揮官になった親友を除隊させる余裕等、日本には無かったのだ。

 そして、親友は南京出兵や満州事変、更にはスペイン内戦や第二次世界大戦等で、軍人として名を馳せることになったのだ。


 1920年代末に戦略と戦術を繋ぐモノとして作戦術を考案したし、又、スペイン内戦等においては、様々に謀略を巡らせもした。


 亡くなった石原莞爾海兵隊大将が、

「お前は本当に会津藩士の末裔か。本多正信以上に腸が腐った奴で、庄内藩士の末裔の俺は、お前が奥羽越列藩同盟の仲間の末裔とは認めたくない。謀略家のお前は、海兵隊の恥だ」

と面と向かって罵倒した程だ。


 だが、本多正信とは違い、戦場での名将だったのは間違いなく、対ソ戦においてソ連軍を真っ青にさせた縦深戦略理論を、米英仏日伊等の連合軍が駆使できたのは、米軍の莫大な補給物資があったのは事実だが、親友が考案した作戦術が連合軍内で普及し、自家薬籠中の物にしたことからだった。


 だが、好事魔多しとか。

 ジャンヌ・ダヴ―が、実はユニオン・コルスの大幹部の元情婦で、その縁から大金を貰ったことが大醜聞になって、親友は退役し、岸忠子と離婚することになったのだ。


(最も本当の処は、アラン・ダヴ―の元恋人が娼館を経営していて、その娼館を清算することになった。

 そして、商売が商売なことから、ユニオン・コルスが仲介したことが、いつの間にか、親友が大金を受け取った話にすり替わったとのことで。

 私からすれば、暴力団と政治家が談合するのと似たようなことでは、其処まで大醜聞になることか、と考えて、親友が気の毒になった)


 そして、現在ではジャンヌ・ダヴ―と再婚して、フランスに親友は住む事態が起きている。

 本当に底が知れない親友としか、自分には言いようが無い。

 少し補足説明を。

 この世界でも、1970年頃の史実世界と、暴力団と政治家、大企業との関係は似たようなモノです。

 だから、令和の現在からみれば異常ですが、暴力団と政治家、大企業は持ちつ持たれつ、といってよい関係にあり、高木惣吉はそう言った背景から、親友の大醜聞をそう評価しています。


 ご感想等をお待ちしています。

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― 新着の感想 ―
 (´Д` )本編を読んで無い読者にはスゴいハーレム王なスーパーチート軍人にしか見えない野村さんwwwしかしおそらく四人の恋人を巡るアレコレは「やむにやまれぬ事情の末」だったりするんだろーなぁ、そして…
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