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野村雄と高木惣吉

 野村雄は、高木惣吉との会話の果てに、改めてそう認識することになった。

 本当に自分がやらかした末とはいえ、色々と後始末をする内に、こうなってしまったか。

 それにしても、高木惣吉という親友と、長きに亘る友誼を結べて本当に良かった。


 野村雄は、改めて高木惣吉に頭を下げながら言った。

「本当に久々に会えて良かった。これまでの自分の人生を振り返って、話をしたことで、それなりに自分の心の整理が付いた気がする」


 高木惣吉は言った。

「そこまでの会話だったのか。それこそ酒席での戯言だろう」

 実際、野村雄が異世界経験を自ら積み、又、異世界での話を聞かされたことを知らない高木惣吉にしてみれば、全くその通りだった。


 だが、違う選択肢を選んでいたら、どうなっていたのか。

 それを知っている野村雄にしてみれば、高木惣吉の言葉は、それなり以上に正しく、本当に自分の親友だ、と改めて認識することになったのだ。


「日本に帰国したら、出来ればで良い、時折、日本にいる自分の子ども達のことを知らせてくれ。こんな年齢になって、親馬鹿を拗らせるな、と叱られそうだがな。子ども達から連絡は、それなりにあるのだが、どうしても都合の良いことしか、自分に連絡していないのではないか、と気になってしまって。そんなに気になるなら、フランスに移住しなければ良かっただろう、と言われそうだが」

「まあ、それは仕方がない。あの時は、本当に大騒動になったからな」

 野村雄は、高木惣吉に頭を下げながら言い、高木惣吉は快諾した。


 高木惣吉は、想いだしていた。

 野村雄の息子のアラン・ダヴ―の今の妻、カサンドラは、かつてバレンシアで娼館を経営しており、更にユニオン・コルスとそれなりの関係を持っていたのだ。


 第二次世界大戦という膨大な戦禍があって、故郷に帰れなくなった身寄りの無い若い女性が生きていくとなると、昔から娼婦に身を堕とすことが多い。

 カサンドラが経営していた娼館では、そういった外国出身の娼婦を、ユニオン・コルスから何人も斡旋を受けて雇っていたのだ。

 

(実はジャンヌ・ダヴ―が動いたのだが)高木惣吉が聞いた話だと、野村雄がユニオン・コルスと交渉して、娼館をユニオン・コルスの直営店として買い取らせて、娼館を整理し、自ら娼館の買収金を受け取って、カサンドラに渡したのだ。


 それが伝言ゲームの果てに大醜聞となり、野村雄は退役することになり、更に日本に居られなくなって、フランスに住むことになったのだ。

 更には岸忠子から離婚を求められて、ジャンヌ・ダヴ―と野村雄は再婚することになったのだ。


 尚、野村雄の日本にいる子ども達は、父の決断を祝福した。

 それこそ、既に自分達は全員が成人している。

 当時10歳にもなっていなかった末っ子のファネットの傍にこそ、父はいるべきだし、これまで拗らせてきた岸忠子の傍にいるよりも、ジャンヌ・ダヴ―と再婚すべきだ、と子ども達は挙って言ったのだ。


(尚、高木惣吉は知らなかったが。

 実は、これは野村雄の子ども達が、連携してやらかしたことだった。

 野村雄の子ども達にとって、正妻の岸忠子と父の不仲はつらいことだったのだ。

 それよりも、ジャンヌさんと父は再婚すべきだ、と子ども達全員が考えて行動した結果だった。

 そして、野村雄も子ども達のやらかしを察してはいたが、知らぬ顔をしていたのだ)


「それでは、宜しく頼む」

「ああ、だが、子ども達の顔を見に、偶には日本に来いよ。その際には、又、こんな感じで、酒を酌み交わして、食事をしようではないか」

「そうだな。そうしような」

 野村雄と高木惣吉は、そんな会話を最後には交わした。

 

 更にお互いに考えた。

 本当に、こいつと親友に成れて良かったと。

 これで完結します。


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― 新着の感想 ―
 酒の上での戯れ言とほろ酔い気分な高木さんとコレまで積み重なった想いを吐露出来て何か重しが取れたような野村さんのアンジャッシュっぷり、だがそれが良い♪(^ ^)酸いも甘いも飲み込んで来ても実質「一般人…
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