休日も俺は眠れない
部屋の中に、薄いカーテンが遮れなかった、太陽の日差しが俺ーー橘誠也の頬にあたる。
まどろみの中、清々しい朝の心地良さに俺は再び意識を⋯⋯
プルルル、突然鳴るスマホの呼び出しで意識が戻る。 俺はぼうっとしながらスマホを手に取り通話ボタンをタップする。
「まったく⋯⋯誰だよ休日の朝から電話をかけてくれる奴は」
「アニキ、おはよっす〜⋯⋯ひょっとして寝てましたか?」
「そうだよ、新島! お前朝からうるさいぞ!」
「それがですね、どうしてもアニキの参加が必要で⋯⋯」
「俺様とコイツ、どっちがお前と付き合うのかの決めようと⋯⋯」
「こら! 勝手に取るな渡邉! お前に勝ってアニキは僕と、幸せなイチャイチャ学園生活を送るの」
「あ〜イチャイチャ? ⋯⋯それより俺様とドキドキの学園生活を送る方が幸せだろ」
朝からスマホから聞こえてくる声に、俺は完全に目が覚めてしまった。
「なんで俺が、お前らの遊びに付き合う必要があるんだ」
「なんだよ〜一緒に遊ぼうぜ橘!」
「そうなこと言わずに⋯⋯そうじゃないと今度先生に当てられた時に、答えを教えてあげないっすよ」
「はい、是非参加させてください、よろしくお願いします」
太陽がジリジリと俺の体を焼く⋯⋯どうやら雲は日差しを遮る仕事を放棄したようだ⋯⋯お陰でとても体が熱い。
「アニキ、こっちすよ。 早く早く!」
「ぼっとして⋯⋯さては俺様の姿に見惚れているのか? まあ俺様は、そこのおチビちゃんとは違うからな」
「はぁ? アニキは小柄でスレンダーな方が好きなんです〜。 ほら、あそこに貴方にお似合いの男性がいますよ? さっさとその自慢の姿とやらで魅了してきたらどうです?」
「あ~ん! お前こそ、ホラ、あそこに丁度いい奴いるからさ、えっとお前のそのなんだっけ? お得意技でアピールしてきたらどうだ」
俺はゆっくりと、二人から距離を取る⋯⋯ツレだと思われたくないからだ。 あ、鳥が飛んでる、何処へ向かうんだろうな⋯⋯おやこっちにはアリの大軍がいるぞ、よしついて行ってみよう。
「だいたい僕がアニキに出会ったの先なんすから、僕が勝ちな訳でお前が入る隙ねぇっすから」
「そんなの俺様の前では問題ないな、俺様が誘惑すれば、どんな奴もイチコロだ」
「じゃあ実践してみてくださいよ⋯⋯あれアニキ? どこいったっすか〜」
いっけねバレた、よしここは適当に誤魔化すぞ。
「そこにカフェがあるから、そこに行こうぜ」
「お! さすがアニキっす。 吠えるだけの奴とは違いますね、行きましょ」
「でかした! さすが俺様の彼氏だ。 そこのチビっ子と違うな、行こうぜ」
俺はなんとか二人を誤魔化すことに成功してカフェに入り席に座ったのだが⋯⋯
「お前ら⋯⋯向こう側が空いてるぞ」
「空いてるそうですよ、さっさと行ったらどうっすか」
「あ~! そう言うお前こそ行け」
「じゃあ俺が行くから」
『あんたは駄目』
おい気まずいぞ、さっきから店員やら、客がこっちを見てヒソヒソしてやがる。 せっかく涼みに来たのに⋯⋯俺の体温はさらに上がる。 そうこうしている間に、注文していた商品が届いた。
「はい、こっち向いてアニキあ~ん」
「よし、お前口を開いてこっちを見ろ」
両方からあ~んを要求される始末、俺が出した結論は⋯⋯
「アニキ自分で頼んだ物を食べるんですね⋯⋯」
「ヘタレだなお前⋯⋯まあそう言う所も悪くないがな」
さっきからじっと俺達を見ている客たちが残念な奴を見る目でこちらを見てくる。 そして、さらに二人にじっと見つめられて、俺は恥ずかしいくてご飯の味がわからなかった。
満月の空を見上げる⋯⋯今日は散々だったな、家で寝ていた方がましだったに違いない。 ピコン、ピコンとスマホの音が二回鳴った、俺はスマホを確認する。
「今日は楽しかったっすねアニキ。 今度は僕と二人で一緒にお出掛けしましょうね」
「今日は良かったぜ。 次は俺様とゆっくり今後の人生を語りながら過ごそうぜ」
俺は布団に顔を埋めた、心臓が脈打つ音が聞こえて来そうだ⋯⋯どうやら俺はしばらく眠れなさそうだ。




