5話
8月5(日)子供たちが外ではしゃいでいる声で目が覚めた。
外をみると、子供達の数人がこの田舎で遊ぶ場所の定番の山に向かっていくところだった。
そんな無邪気に遊ぶ彼を昔の自分たちの姿と重ねて合わせてしまっている自分がいた。将来の夢や部活のこと、進路のこと何も考えず、ただ毎日が楽しく過ごしていた日々が幸せだったことを思い出していた。俺と小春には楓と燈夜の二人の幼馴染がいた。
俺たち4人はこんなど田舎だから、年と近所が近かったことからよく一緒につるんでいた。もちろん小中高校全て同じところに通っている。
小春が亡くなる前は楓とはクラスで、燈夜とは部活などで話あっていた。しかし、小春が亡くなってからは、会っていない。会っていない原因は、俺が世の中から隔絶してしまったからだ。あれほど嫌と言うほど顔を合わせていたのにもう何日も彼らとは顔すらも見ていない。そのことがいつもの日常と違うことの一つでもあった。
スマホの電源を付け、液晶に映った日付を確認した。
スマホのホーム画面には楓と燈夜からLINEにありえないほどの着信があった。幼馴染の奴らには心配してくれているのだろうと思った。
2人が気に掛けてくれたことにほっとした反面、罪悪感を感じた。彼らも辛い中なのに心配をかけてばかりのことに。燈夜と楓はあの日からもう抜け出せている。彼らはもうあの日に縛られて生きていない。あの日から前を向いて生きている。
そんな彼らが羨ましかった。2人に反して俺はあの日から抜け出せないままでいる。
彼女から抜けだすことが出来ていない。底なしの沼にハマってしまったように身動きを取ろうとすると逆に深く沈み込んでしまう。息をすると胸が締め付けられる苦しい空間で永遠に彷徨っている感覚がした。
スマホのロック画面に通知で埋め尽くされたメッセージを消去すると、通知で埋もれて隠れていた写真が写し出された。写し出された画像が写し出された瞬間と同時にスマホをベットから放り投げてしまった。スマホには去年、地元の夏祭りで一緒に撮った2ショットがそこにあった。
この写真を見てあの日の光景を思い出してしまった。忘れたくても忘れられない、あの大切な日々を。




