3話
確かに、この、なんもない場所からは早く離れたいと思う方が若者として当然なのかもしれない。そして、何かもが溢れている都会に行かないと思うのは当然なのだろう。
だが、俺はみんなとは違っていた。むしろこの町が、この[ど]がつく程の田舎が好きだった。
何もなくて平凡で穏やかなこの町が好きだった。見上げるのがつらくて毎日眺めていたら、首を痛めそうな高層ビルも一つもなく、空が雄大にそびえたつことも、時の流れがゆったりと感じる瞬間も、澄んだ空気も、夏になると聞こえてくる虫たちの大合唱も大好きだった。そう、好きだったのだ。
今はもう過去形になってしまった。そうもう好きだったという感情は過去になってしまったのだ。なぜ過去形になってしまったのか、それはただ一つの理由だけだ。理由は一つだけ、一つだけの理由。彼女がいなくなってしまったからだ。
俺にとって、自分が生きている場所がどこかは関係なく彼女が隣でいてくれたらそれだけでよかった。
彼女とは、幼馴染で、いつも側にいてくれて、悲しい時には、一緒にこころかは悲しんでくれて、俺が立ち直るまで、黙って側にいてくれた。
楽しい時には一緒に腹を抱えて笑ってくれた人。そして、自分よりも大切で、一番護らればならい人だった。君を守りたかった。
だけど、守られなった。17年という歳月を生まれたから、一緒に過ごしてきた。大人からしたら、まだ幼い恋なのかもしれない。
しかし、俺にとって彼女を超える人は出会うことがないと確信していた。彼女は、俺と一緒に歩んできた道からいなくなってしまった。そう、俺は道の真ん中でひとりぼっちになってしまった。




