第七十七話 レイの御守り
「あ、たしかトクサの…………えー……と……」
「レイだ! レイ! ……まったく……自分で言うのもなんだが、オレは割りと記憶に残るほうだと思うんだがなぁ……。そういや昔、ザイエフのやつも……」
現れたのは、東部兵団支部トクサの戦隊長レイであった。
頭を掻きながら部屋に入ったレイが、引き続き不満げな声で何かぶつぶつと言っている。
「どうして、コーロゼンに?」
「……そもそもザイエフにいたっては、二年もいっしょにやってたくせに覚えてやがらなかったからな……。…………オレって、もしかして影薄いのか……いや、んなこたぁ」
「あ……あの……」
「あん? ……ああ、わりぃ。……何だった?」
「えっ!? あ……えっと、どうしてコーロゼンに?」
「ああ、この間の盗賊の一斉討伐があったろ? 西部の兵団が駆り出されたのは言うまでねぇが、東部もだいぶ余裕ができてきたからな。東部各支部から少しずつ人数を出してたのさ」
リィザたち一行が最初に討伐した"大口の魔獣"「エダーウーヌ」。
魔獣の出現によって増大した魔物により東部地域も大きな被害を受けていたが、リィザたちが魔獣を倒したことで魔物の出現も落ち着き、東部地域全域が徐々に平穏を取り戻しつつあった。
「んで、トクサからの部隊はオレが率いてきたってわけだ。オレは西部生まれで、土地勘もあるしな」
「へぇ~…っ!」
「西部生まれ」の言葉に、マヘリアが尻尾を立てゆらゆらさせた。
彼女自身は中央地域の王国都市出身だが、獣人族にとって西部地域はルーツそのものである。
「三族戦争」以後、各種族が他地域に根付いて久しい今でも、獣人族にとっての「西部」、魔族にとっての「東部」は、特別なものであった。
「オレは、西部地域の中でも北部の小さな村の生まれでな。そこは人族の村だった」
「人族の?」
「ああ、めずらしいだろ? 西部地域にも人族は大勢いるが、人族だけの村ってのは当時でもめったになかったぜ?」
「何ていうところ……」
村の名前を聞こうとしたマヘリアが、途中で口を閉ざす。
思わず右手が口元を押さえるように上がっていた。
マヘリアも決して王国の地理に明るいわけではないが、西部地域に「人族の村」などというめずらしいものがあれば、名前ぐらいは聞いたことがあるはずだった。
「ああ、もう無いよ。ずっと前にな、魔物にやられちまった」
「ごめんなさい……」
「気にすんな。そんな話はどこにでも転がってる。んなことより……っていうか、それに関する話ではあるんだが……」
部屋にあった椅子に腰かけたレイが首から下げていた紐を引っ張ると、服の中から何かを取り出した。
紐の先には木彫りの羽根が取り付けてあり、形こそ違うが、どこかダレンとマヤの御守りを思わせる。
レイは、しばらく木彫りの羽根を眺めた後で紐を首から外すと、それをマヘリアに差し出しながら言った。
「今日は、こいつをお前さんに返しに来たんだ」
記 D・L
「レイって誰やねん!トクサ?知らんわッ!(´゜∞゜` )うぉぅ!」
という方! 25話~28話をチェック \(´・∞・` )
やっと登場させることができました ”(´・∞・` )な…長かった…
50話ほどを経てようやく回収という…(´・∞・`;)




