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サザンクロスの花をキミに  作者: 黒舌チャウ
記憶

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第五十五話  石集め爺さんの遺産

「お…おい。なんだよ、どうなってんだ」


「ラモーヴさんの、お家が……」



 コーロゼンの兵団員たちと別れた後、引き続きケンケンを走らせた一行は、北部部地域の港町ビナサンドに到着した。


 だが、一行がラモーヴの家のある丘に来てみると、家は焼き落ちた跡が残されたのみであった。

 クロヴィスとマヘリアが、家の周りを見て回るが、ラモーヴの姿はない。


 

「あのっ……」



 一行が振り返ると、先日ラモーヴの家で出会った少年が、箱を抱えて立っている。

 リィザが訊ねた。



「キミは確か……ねぇ、一体何があったの?」


「ラモーヴさん、死んじゃったんだ……」



 一行が顔を見合わせていると、少年が続けた。



「この前、すごい嵐があったんだ。ここじゃ嵐なんてめずらしくないから、みんないつも通り家にこもってたんだけど、あの日は、すごく大きな雷が落ちて……」


「雷?」


「うん。すごくでっかい音がしたんだ。みんなびっくりして、しばらくしてから様子を見に出たんだけど、そしたら、ラモーヴさんの家が燃えてるのが見えて」


「……ラモーヴさんは、その火事で?」


「……うん。大人たちが、焼け跡から見つけたって。ここは町の中で一番高いところにあるから、雷が落ちたんだろうって父ちゃんが言ってた。その後、みんなでお墓をたてたんだ」



 少年、ミロ―シェが町はずれの墓地を指さす。



「あたしたちを呼んだのはキミ?」


「あ、うん。ラモーヴさん、姉ちゃんたちに渡そうとしてたものがあって。それで、俺、お葬式が終わってから焼け跡を探して見つけたんだ」



 ミロ―シェは、抱えていた箱をリィザに差し出した。



「ありがとう」



 リィザが微笑んで受け取ると、ミロ―シェはすこしの間リィザの顔を見つめた後、頬を赤らめながら続けた。



「ラ、ラモーヴさん、優しかったけど、時々すごく寂しそうな顔してたんだ。それが、姉ちゃんたちが来てから、なんだか毎日うれしそうだった。

……それなのに」


「そう……」


「あ、そうだっ。後でお墓にもいってあげてよ」



 「母ちゃんに頼まれた、おつかいがあるから」と去っていったミロ―シェに手を振り別れた一行は、ラモーヴが遺したという箱を開けてみることにした。


 箱は魔法で保護されていて、火事の焼け跡から掘り出されたとは思えないほどきれいな状態だった。

 箱を開けると、中には不思議な形をした大きな赤い石と、手紙が入っている。



「なんて書いてあるんだ?」


「『これは、"記憶の鍵"。鍵穴は、おしゃべり。立ったまま待ちぼうけ』

……だって」


「なんだそりゃ! それだけか!?」



 クロヴィスがリィザから手紙を取り、あれこれ眺めまわすが、他に何も書かれていないことを確認すると、頭を掻きながらため息をつく。



「とりあえず、お墓参りにいこ?」



 マヘリアの提案に、一行は丘を降り町はずれの墓地へと向かった。


 墓守の老人の案内でラモーヴの墓につくと、小さいながらも花いっぱいに飾られた墓には、生前好きだったものだろうか、いろいろな物が供えられている。



「ラモーヴさんは、この町の長老みたいなもんだったからねぇ。みんな、小さいころから知ってる。

私も、子供のころは赤い石を持って行ったもんさ」



 懐かしそうに語る墓守の老人の視線の先には、子供たちが置いていったらしき赤い石があった。



「……そっか。ジィさん、ずっとこの町にいたんだもんな……」


「……うん」



 神妙な様子のクロヴィスの言葉に涙ぐむマヘリアに、リィザが寄り添っていると、カティアが供えられていた物に目を留めた。



「…『南十字星』」


「……え? あ、ホントだ」


「ああ、それかい。それなら、この前、気の強そうな赤毛の魔導士さんが来てね。その、べっぴんさんが置いてったんだよ。なんでも、昔世話になったとかでね」



 供えられた「南十字星」の花は、ガラスの容器に入れられ、まるでついさっき手折ったかのように瑞々しかった。



「…師匠?」


「ああ。特徴を聞く限り、先生っぽいな」


「チェスナットさんも、ジィさんを知ってたってことか? 何者(なにもん)だったんだ、ジィさん」



 



「そういや、せっかく集めたこいつも、渡す相手がいなくなっちまったなぁ……」

 


 墓参りを終え、一行がビナサンドを後にしようとしていると、クロヴィスが腰の袋に手をやり、すこし寂し気につぶやいた。



「クロ、いっしょうけんめい集めてたもんね」


「ほんと、アオニ村の時なんか、ずっと待たされた」


「いや、リィが目ぇ剥いて急かすから、時間はかけてねぇだろっ」



 ムカデの魔獣討伐後、無数に散らばった赤い石を目の色変えて集めてまわったクロヴィスを思い出し、一行が苦笑を漏らしていると、



「ああぁぁぁっ!! そうだっ! それだよっ!!」



 突然、マヘリアが大声を上げた。



「あの"しゃべる木"! あれに空いてた穴に似てるんだよっ!」


「なんの話してんだ? マー」


「ええっ!? さっきの箱に入ってたやつだよぉ!」


「……これのこと?」



 リィザが箱を開け、大きな赤い石を取り出す。


  

「……確かに…。似てる……ような気はするな」


「……そうでしょうか? 僕には、そうは……」



 頷くランスの横で、テオが首をかしげる。



「…一応、手紙の内容にも合ってる」


「でしょっ? ねぇ、行ってみようよ」


「たしか、木があったのは、キアカとアオニだったよな」




 記 D・L




・キアカの森に行ってみる。

  第五十六話 記憶の鍵 - ヤクソク - へ。


・アオニの森に行ってみる。

  第五十六話 記憶の鍵 - 傭兵 - へ。


 



ちょっとゲームっぽい感じにしてみましたっ (´・∞・` )

本当は、どちらも選ばず先に進むと、もっと核心に迫った話が聞けるルートを作ろうかとも、思ったんですけど、「えー、大変だなぁ…(´=∞=`;)」と、怠けたのはヒミツです(´・∞・` )ふふん


あ、それから、一応分岐の体はとっていますが、「読み比べてもらう」前提になっているので、どちらも読んで頂ければ… ”(´・∞・` )

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