テーマ「手紙」で書こうとして失敗した
AIのべりすとに「手紙」「歴史」で小説を書かせようとして失敗しました。歴史要素がない
「よし!小説を書いて企画に応募するぞ。えーとまずはタイトルを考えなきゃだな」
「タイトルは大事だよ?何て言うの?」
「『おっさんが異世界に転生したら最強だった件』って感じかなぁ……何か違う気がするが……」
「いいと思うよ!」
「じゃあ、これにしておこう」
そして俺は執筆に取り掛かったのだが――
「あれっこの企画、キーワードが指定されてるぞ。ふぅん、『手紙』と『歴史』かぁ。」
「なんか難しそうだね」
「そうだなぁ……うーん、こんなもんかな。どうだろう?」
「どれどれ……うん、いいね!これならきっと大丈夫だと思うよ!!」
その書き始めの文章は次のようなものだった。
『拝啓、この手紙を読んでいるあなたへ。私は今、見知らぬ土地で見知らぬ人々に囲まれながら生活しています。私が何故このような場所に居るのかと言うと、それはとある出来事がきっかけでした――』
「なるほど、手紙を読んでいるような展開にするんだね。続きはどうするの?」
「えーと…」
『――私は気付いたのです。これはもしかすると神様からの贈り物なのでは無いだろうかと。つまり異世界転生です。』
「これでいいのかな?でもまだプロローグだからなぁ。次は何を書いたら良いんだろう?」
「そう言えば主人公は誰なんだい?」
「ここまで来たら、読者ってことでいいかな。第三者視点の人が手紙を読んでるっていう」
『私は次の手紙を手に取り読み始める。―――』
「ほほう、どんどん行くねぇ。次はどんな設定だい?」
「次は……世界観の説明とか必要じゃないかな?あと主人公やヒロインの設定も必要かも」
「そうだよね。いきなり主人公が出てきても意味不明だしね。それについては僕が書くよ」
『――世界には魔法が存在するらしい。私はまだ見たことが無いけれど。』
「おおっ!?遂にファンタジー要素の登場だね!!わくわくしてきたぜ!!」
『――そして魔法と言えば、エルフ族が有名だけど、他にも種族があるみたい。例えば獣人族。彼らは人間とあまり変わらない外見をしているけど、身体能力に優れていて耳や尻尾を持っているのが特徴的。また魔導士としての才能にも恵まれているようだ。』
「おぉ!なんか凄いな。エルフや獣人族が出てくるのか」
『――次にドワーフ族。背が低く筋肉質な体型が特徴で鍛冶が得意。主に武器の製造を行っているらしい。ちなみに酒好きが多いというのも特徴のひとつだとか。』
「おぉ!ドワーフか!!こりゃ楽しみだぜ!!他の種族についても教えてくれないか?」
『あとは人間族だな。これはまぁ、説明不要だろう』
「種族についてはこんな感じでいいよね。」
「よーしじゃあ次はついに、旅に出るぞ!」
『――旅を続けるうちに様々な出会いがあった。エルフ族の青年とは意気投合し共に冒険者になることにした。獣人の少女とも仲良くなったし、ドワーフのおっちゃんからは剣を貰ったりした。みんな私の大切な仲間である。しかしそんな幸せな時間は長くは続かなかった。ある日、私のパーティが謎の集団に襲われてしまったのだ。相手の正体は不明だが、どうやら魔王の手下たちのようであった。私たちは為す術も無く追い詰められていった。――』
「うわぁ、すごい。急展開過ぎない?」
「そうかな?そうかも…」
『――だが私達は諦めなかった。ここで死んでたまるかと思った。私は最後の力を振り絞り仲間たちと共になんとか逃げ出したのだが、どうやら追手が迫ってきている様子だった。私達は必死に逃げた。逃げ続けた。だがもう限界を迎えようとしていたその時、私達は不思議な光に包まれた。気が付くとそこは森の中で――』
「やっぱり展開速いよ。ちょっとずつ深堀していこうよ。まず異世界についた辺りね」
「えーとだな」
『まず異世界についた私は驚いた。だってそこは日本じゃないからね。森に囲まれていたし。でもすぐに慣れて、色々と散策を始めたんだ。するとそこには綺麗なお花畑があってね、そこでエルフの少女と出会ったんだよ。』
「うんうん」
『――彼女はとても可愛くてね。まるで天使のような美しさだった。私は思わず見惚れてしまっていたんだ。でも彼女が言うにはここは妖精の森で普段は誰も来ないし、滅多に人は立ち入らないんだって。それで私は彼女に聞いてみたんだ。どうしてここに居るのかと。そしたら彼女、迷子になってしまったんだって。』
「へぇー、それは大変だね」
『――私は彼女のことが心配になってね。なら一緒にエルフの村を探してあげようと提案したんだ。』
「ふむふむ」
『――私は彼女を無事に送り届けることが出来た。どうやらここがエルフの村のようで、村長らしき人物からも歓迎されたよ。どうやら私は救世主として崇められているようだ。』
「あー、そういう設定なんだね」
『――私はこの世界で生きていくことに決めた。エルフの村に残っても良かったんだけど、せっかく異世界に来たんだし世界を回ってみることにしたんだ。それに何か使命があるかもしれないと思ってね。それから暫くはエルフの少女(名はローリア)と色々な場所を旅してまわった。最初は魔物と遭遇することもあったけど、次第に戦うことにも慣れてきた。――』
「おっ?ようやく戦闘シーンかな?ってかさっき『エルフ族の青年とは意気投合し共に冒険者になることにした』って書いてたけど青年じゃなくて少女になっちゃってるよ?」
「じゃあ後で少女に直しとくか。じゃ、続きいくぞ」
『――私は少女と一緒に旅を続けた。そんなある日のこと、私たちの前に一人の少年が現れたんだ。その男の子は勇者と呼ばれていた。その言葉の意味はよく分からなかったが、どうやら彼は特別な存在のようだ。何故ならば、彼の周りには常に多くの仲間がいたからだ。その中には獣人の少女やドワーフもいた。どうやら彼らは勇者の仲間のようだ。』
「ふむふむ」
『――彼らは世界に害をなす魔物を倒すために旅をしているらしい。私は彼らの話を聞いているうちに自分も魔物退治を手伝いたいと思うようになった。――』
「ほうほう」
『――しかし私が同行しようとすると、何故か皆が反対した。あまりにも経験が足りず足手まといにしかならないとか。確かにそうかも知れないけど、それでも強くなりたかった。だから私とローリアは次に訪れた街で修行を積むことにしたんだ。――』
「お、修行パートいいじゃん」
『――私は師匠となる人物を探したが、なかなか見つからなかった。困っている時に出会ったのがドワーフのおっちゃんだった。おっちゃんは昔、ドワーフの里では名の知れた戦士だったらしく、今でも現役ばりばりだとか。そこでおっちゃんに弟子入りした私は毎日のように訓練をした。厳しい特訓だったが、私は何とか耐え抜いた。そして、遂に私はおっちゃんから免許皆伝を言い渡され、お祝いとして剣をもらった。』
「よしよし!ついに主人公も強くなりそうだぞ!!」
『そしてローリアは同じくエルフのおじいちゃんから魔法の訓練をしていた。彼女は元々才能があったのか、あっという間に魔法を習得してしまった。今では立派な魔法使いだ。』
「うーん……、なんかエルフは凄いなぁ。ま、ここから主人公無双が始まるわけだね!!」
『――そして私たちは旅を再開した。各地で魔物を討伐したり、人助けをしたり、様々なことがあった。私たちは本当に強くなった。でも、そんな日々は突然終わりを告げた。』
「あー、やっときたね。魔王が攻めてくるところだよね?」
『――魔王軍の襲撃によって世界は大きく混乱していた。私達は必死に戦ったが、相手はかなり強かった。圧倒的な戦力差を前に私達は追い詰められていった。だがそこに一筋の光が差し込んだ。なんと勇者様が駆けつけてくれたのだ。勇者様は私達と協力して魔王軍を退けると、そのままどこかへ行ってしまった。』
「あれ?ちょっと待って?これって……」
『――その後、私はローリアと共に各地を回った。だがどこに行っても戦いばかりで気が休まることはなかった。そんな中、ある国で私はローリアと喧嘩してしまう。些細なことだった。私は感情的になり、つい言ってしまったんだ。もうお前なんて知らないってね。ローリアはとても悲しそうな顔をして去って行った。私は酷く後悔したがもう遅かった。』
「あちゃー、これはやばいね。完全にフラグ立ってるよ」
『――それ以来、私はローリアに会うことはなかった。私はローリアと仲直りするために彼女を探す旅に出た。だが結局見つけることは出来なかった。』
「うーん……。これはバッドエンドまっしぐらだね」
『――そしてある日地球に戻ってきてしまった。もう後悔で涙が止まらなかった』
「うわぁ、まじか。こっからどうやってハッピーエンドに持っていくんだろう」
『――手紙はここで終わっている』
「うぉい!えーホントに?終わりなの?」
「うん、終わり終わり。だって地球に戻っちまったからよぉ」
「えーマジかよ。どうすんだよこれ」
「どうするも何も、俺に言われても知らねぇよ。それより続き読むぞ」
『――こうして、勇者は異世界に取り残されてしまいました。めでたしめでたし』
「いや、全然めでたくねーよ!!何だよこのオチ!?」
「しょうがないじゃん。だってこの勇者は異世界に取り残されたままなんだぜ」
「異世界に取り残されたままって、それただの異世界転移じゃねーか!」
「あ、ばれた?」
「ばれるわ!!というかこの勇者も異世界転移者だったの?しかも帰れない?」
「当たり前だろ!!普通に考えて異次元に飛ばされたら帰れないに決まってるだろ!!」
「でも主人公帰ってるじゃん」
「主人公は特別なんだよ!!」
「えー納得いかないよ」
「じゃあこれで終わりってことで」
『――勇者は地球に戻り、家族や友人と再会して幸せに暮らしました。めでたしめでたし』
「……はい?」
「どうだ、驚いたか」
「いやいやいや、意味分からんて。流石にひどすぎでしょ」
『敬具、令和4年7月2日』
「勝手に終わらせちゃって…。結局これは誰の手紙だったの?」
「んー、まぁ誰でもいいんじゃねーかな。別に」
「うーん…」
「まあいいじゃん。腹減ったし、飯食おうぜ」
「はいはい」
「あ、そういえば今日バイト休みになったんだ」
「あーそうなん?」
「うん」
「じゃあどっかいこうよ」
「いいけど、どこにいくの?」
「んー……、とりあえず飯食ったらゲーセンいこうぜ」
「またゲームセンター?好きだね~」
「いいだろ、べつに」
「まぁいいんだけどね」
「よし!決まりだな。すぐ行こう!!」
「はいはい…。あ、そうだ。私服屋に行きたいかも」
「はいはい、分かりましたよ。お姫様」
「なんかその言い方ムカつくんですけどー」
「あはは、ごめんごめん。よっしゃ!今日は遊びまくってやるぜ!!」
「おっけー。じゃあ出発進行ー」
――こうして、一つの小説は完成したのだった。果たして小説と呼んでいいのかは不明ではあるが…