表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

85/190

大改造! 屹立パワーで大☆学祭! その15

 鏡華ちゃんのたこ焼きをもうひとパック買って、俺はそれをどこで食べるかと学校内をウロウロしていた。今日の見回り分はもうないし、昼飯代わりにたこ焼きでも食って、午後は、さてどうすっかな……。


「あ、御竿護」

「げ」


 通路にある消火栓の前に、体育座りをするセンパイがいた。紙パックの牛乳が、ぽつんと淋しげに置かれている。こういう時でもぼっちとか、本当友達いないんだろうな。


「じゃ、俺まだ仕事あるんで」


 もちろん嘘だ。だがセンパイは目ざとくもたこ焼きを指差し、


「そんなもの持って仕事なわけないでしょ。いいからそれちょうだい」


と図々しく強請ってきやがった。


「確かに仕事は終わりましたけど。でもセンパイにあげるたこ焼きはないっす」

「なんでそんな意地悪言うの。ボクが食べたいって言ってるんだよ? 光栄に思いなよ」

「自分に光栄に思われるような価値があると思ってるんすか」


 俺は「じゃ」とたこ焼きを見せびらかすように軽く持ち上げてから、さっさとその場を後にしようとした。この人と関わるとロクでもない。


「ね、ねぇ! ちょっと待ってよ!」

「うわっ」


 センパイが右足にしがみついてきやがった。それでも引きずるようにして三メートルほど進んだのだが、見た目の割にセンパイが重く、俺は息を切らしながら止まることに。


「あぁもう、離せ。このメンヘラ野郎」

「お願いだからたこ焼きちょうだいってば! 屹立であるボクが言ってるんだよ!?」

「だからそれがよくねぇんだろ。欲しいなら欲しいって言えばいい。家の名前なんて出さずに」


 しがみつく手から力が抜ける。それを見逃さずに行ってしまえばいいんだろうが、眉尻を下げるセンパイがなんとも情けなく、俺は仕方なしに隣に座った。


「第一、なんでたこ焼きなんて欲しいんだよ。買いに行けばいいだろ」

「……ボクは、人を魅了しちゃう体質みたいでさ。大丈夫な人もいるみたいなんだけど、大抵の人はボクの虜になっちゃうんだ」

「へー、あー、そー。たこ焼き食う?」

「食べる」


 なんか重要なことを言っていた気もするが、今はたこ焼きのほうが大事だ。即答したセンパイにいちパック渡してから、俺は自分の分を食べ始める。

 うん、冷めても美味い。流石鏡華ちゃん。また今度、保健室に飯をたかりに行こうかな。


「だからボク、壱以外の人と、こうやってご飯を食べること、あんまりなくて。両親からも厄介払いされちゃったし。というか、あれか、壱以外、両親はいらないのかも」

「おい」

「な、なんなの」


 俺は爪楊枝に刺した自分のたこ焼きを、センパイの口に入れて無理やり黙らせた。更にもうひとつ突っ込んでから、


「美味いもん食ってる時に、そういう話すんな。これだからメンヘラ野郎は疲れるんだよ。あれか? 不幸話でもすれば、俺が同情でもして、よしよしって頭撫でるとでも思ったか?」

「ふが!」

「両親から何をどう思われてるかは知らんが、会長は、あんたの兄さんだけは、あんたを邪険にしてこなかっ……いや、邪険にしてる、か?」


 思い返せば、結構酷いことをしていた気もする。でも、本当に邪魔なら、俺の家に迎えには来なかったはずだ。家真ん前だけど。


「わかったら大人しく食ってろ。あーあ、たこ焼き食う気無くなっちまったわ。やる」


 残りふたつのたこ焼きをセンパイの口に押し込んでやる。なんか叫び声を上げているが、いやこれはあれだな、たこ焼きの叫び声に違いない。


「じゃ、さいなら」

「ふがー!」


 あぁ、俺いいことしたなぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ