表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

81/190

大改造! 屹立パワーで大☆学祭! その11

 一日目、前夜祭。間違いのないよう言っておくが、今は真っ昼間だ。前“夜”祭とは何かと問い詰めたい。まぁ、それを言ったところで、細かいことは気にするなで終わりそうだけど。

 体育館での有り難いお言葉をもらった俺たちは、そのまま自分たちのクラスやら部活やらの仕事へつく。猫汰は牧地に呼ばれて、さっき別れたばかりだ。


「じゃ、俺は剣道部の催しがあるからさ」


 太刀根が名残惜しそうに手を握ってきた。あまつさえ指まで絡めてきたものだから、俺はゾワッと鳥肌を立たせながら手をぶんぶんと上下に振った。

 離れない。


「離せ」

「ごめんごめん。つい、離れるのが嫌で」


 これが可愛い子だったら良かったのだ。一緒に学祭を見て回って、お化け屋敷(あるかどうか知らん)で距離が縮まって、そのままいい雰囲気に……。


「いいな、それ」


 自分の妄想につい顔が緩む。その手は未だに太刀根と繋いだままなのに。


「護も同じ気持ちなのか……?」

「あ、ごめん。違う、間違えた、全然違うわ」


 即否定して、今度こそ手を振り払ってやれば、太刀根は残念そうに肩を落とした。しかしすぐにいつもの元気を取り戻すと、


「時間が出来たら剣道部こっちにも寄ってくれよな。サービスするからよ」

「剣道部って何やんの」

「カフェだよ、カフェ。剣道カフェ」


 剣道カフェってなんだ? 普通のカフェと違うのか? にしても、気のせいか、猫汰の冷えた気配を感じるような。いやいや、牧地と話してたし、近くにいるわけがない。


「気になるし行くわ。全部お前の奢りな」

「へ!? いや、それは流石に、ちょっと、その」

「サービスしてくれるんだろ?」

「いや言ったけど、言ったけど……」

「じゃ、よろしく」


 それ以上言わせないようにピシャリと言い放ってから、俺は太刀根と別れた。太刀根は名残惜しそうにしていた。もちろん気づかないフリをした。


「にしても……、なんでもアリだよなぁ、屹立家」


 夏休み然り、今回のこと然り。ファンタジーもびっくり、いやSFもびっくりの高度な技術だ。そのうち時間遡行タイムトラベルもしてしまうんじゃなかろうか。


「まさかな。流石にそれはないか」


 自分の考えを自分で否定してから、俺は生徒会室へ向か――いや、生徒会室どこよ。


「案内板とかないの?」

「安心したまえ、護くん。キミには特別巡回コースを作った」

「ぎゃっ!?」


 背後から声をかけられ、俺は奇声を上げて飛び上がった。


「会長!」

「まずはそうだな、一年のお化け屋敷に行ってもらおうか」

「お化け屋敷……」


 そう会長から手渡されたのは、一年生合同お化け屋敷の企画書だ。会長や先生の承認印、それから代表生徒の名前。その中に、下獄の名前もある。


「あいつ、代表してたのか」

「うむ。彼はなかなか根性のある生徒だからな、オレからも推薦しておいたのだ。では任せたぞ、護くん。オレは他にも仕事があるからな」


 会長は更にあと何枚かの企画書を俺に押し付け、足早に校門へと行ってしまった。よく見れば、やたらいいスポーツカーや高そうな車やらが入ってきている。

 偉い人が来るとか前に言っていたし、それのお迎えかもしれない。


「はは……。学祭は仕事と回れってか」


 まぁ、これも仕方がない。むしろ下手に野郎と回るよりマシかと思い直し、俺は企画書をくるりと丸くしてから、重い足取りで一年生の企画、お化け屋敷に向かったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ