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GWは引きこもっていたかった! その1

 あっという間に四月は終わり、GWという名の恐ろしい休みがやってきた。誤解のないよう言っておくが、俺は別にGWが嫌いなわけじゃない。

 それこそ転生する前は、友達と遊んだりだとか、家族でプチ旅行的な何かとかしたもんだ。あれはあれで充実した日々だったなぁ。


 でも前世は前世。今生のGWは、今までとは確実に違うことがある。ここはゲームだ。しかもBLゲームだ。

 ギャルゲーやエロゲなら、出会いを求めたり、お気に入りの子を誘って出掛けたりするが、いいか、もう一度言う。これはBLゲームだ。


「ぜってぇ外に出るもんか……」


 一日目の朝から、俺は部屋にあるパソコンを開いてネトゲをしていた。といっても、よくある縦型シューティングゲームで、凄まじい弾幕を避けて攻撃を撃ち込んでいくあれだ。


「っと、よし……」


 第一ステージも後半。残るはボスだけという時だ。


 〜♪ 〜〜♪


 横に放り投げたままにしていたスマフォが、細かなバイブと共に小さく鳴っている。

 電話のようだが、もちろん取る気はない。何せここまで来るのに、二時間費やしているのだ。どこの誰だか知らないが、俺の二時間のために諦めてくれ。


 〜〜♪ 〜♪


「しつこい……あ」


 やられた。爆散していく自機を悲しく見つめた後、俺は仕方なくスマフォを手に取った。画面には“駄女神”とある。


「うわー、出たくねぇ」


 出てやる義理も何もないが、それはそれで家まで押しかけてきそうで怖い。俺は少し迷い、渋々画面をタッチした。


「もしも」

『あ、やっと出ました! 大変なんです、大変なんですよ!』

「おい、少しは俺の話を」

『本当に大変なんです! お願いします! 今すぐ来てください!』

「いやだから、話を聞けって」

『きゃ〜!』

「……どこにいんだよ」


 ため息交じりに答えてやると、観手は『来てくれるんですね!』とすごく嬉しそうに声を上げた。


『今私がいるのは、中区にある噴水公園です! 御竿さんの家から歩いて十五分くらいですよ!』


 ブチッ、ツー、ツー、ツー……。

 なんだ、この一方的に用件だけ言われて切られるこれは。俺はあいつの小間使いか何かか? 正直行きたくない。行きたくないのだが、場所を聞いた手前、無視するのも気が引ける。

 それに、あんなに必死な観手の声、初めて聞いたからな。何か大事おおごとになる前に早く行ってやるとするか。




「で? 一体何が」

「だから、あれ! あれ見てくださいってば!」


 噴水公園とやらに着いた俺は、ベンチに座る観手を見つけた。いや、見つけたというより、発見され「こっち、こっちです!」と呼ばれたのほうが適切かもしれない。

 噴水を囲むように設置してあるベンチには、まだそれほど人が座っていない。その噴水を挟んだ反対側に、見覚えのある、いや見たくない顔が見え、俺は「げ」と顔をしかめた。


「なんで太刀根と会長が……」


 そう。なぜだかそこには、会長に突っかかる太刀根がいた。もちろん会長はあまり気にしておらず、太刀根が何か言っていてもどこ吹く風だ。


「てか何話してんだ? 遠すぎて聞こえねぇぞ」


 直径十メートルはある噴水だ。たまに上がる水飛沫の音も重なって、二人が話している内容まで聞けたもんじゃない。


「そう言うと思いまして。私の力で会話を聞こえるようにしてあげますね〜」


 特に何かされたわけではないが、段々聞こえてきた二人の声に俺は耳を傾けた。


「――から、護にこれ以上構うな!」

「全く。貴様は先輩に対して敬うことも出来ないのか?」

「あんたのことは、昔から……。それこそ剣道教室に通っていた頃から嫌いだったんだよ! 敬うはずないだろ!」

「それは知っている。だが、それとこれとは別だろうに」


 あんなに敵意剥き出しの太刀根も、そして高圧的な会長も見たことがない。俺たちが見ている(聞いている)とはつゆ知らず、二人の熱は更に上がっていく。


「あぁ、なんだ、太刀根攻。貴様、御竿くんをオレに渡したくないだけか」

「あんた……!」

「ならばとんだ道化師だな。貴様自身、オレに逆らうことなど出来ぬと、身体でわかっているだろうに」


 なんだなんだ、不穏な空気が……。隣の観手の鼻息が荒くなっている。嫌な予感がする。


「馬鹿にすんじゃねぇ!」


 太刀根が拳を振りかぶった。だけど会長はそれを片手で軽く受け止めると、残る片手で太刀根の腰を引き寄せた。


「……ぁ」

「ほうら、身体はこんなに素直じゃないか。またあの時のように、可愛がってやってもいいんだが?」

「ぁ、あぁ……」


 ヤバい。色んな意味でヤバい。目の前で艶めかしいことをやられるのも、それが男同士だってことも、てか今はまだ真っ昼間なんだよ!


「うわぁぁあああ! だから嫌だったんだぁぁあああ!」

「み、御竿さん!?」


 気づいたら俺は、その場から全力で逃げ出した。


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