4話
「ろくじょー!!いれずアンタとは一度勝負するしかないと思っていたの!」
日乃本が自信満々に両手を腰に当てている。
「……何で勝負するんですか……」
「……」
「……」
「こ、これで勝ったと思うなよ!」
「なんでですか!?」
「あっ、そうだ!えっと、次会うまでに勝負の方法を考えておくわ」
なんだかよく分からないが、無事平和が延長された。
そんな彼女たちを横目に、卜部が夜見と話し合っている。
「先生は?」
「もうすぐ帰ってきます。待ちますか?」
「いや、すぐに異世界に向かう。すまないが先生には伝えておいてくれないか」
夜見はうなずく。
「ありがとう、夜見」
「卜部先輩もお疲れ様です」
二人の会話の最中、無表情の六条と笑顔の日乃本は小枝を食べていた。
「六条、入口は?」
「先輩が入った所はこっち」
六条と卜部は一番隅にあるベッドへ向かう。そこには一見分かりにくいが下へと続く階段があった。学校の構造としてありえない空間が下へと続いている。
異世界へと続く階段を二人が下りていく。
階段を下りて一分もしない内に、保健室の声が聞こえなくなっていた。慣れ親しんだ学校の空気とは違うソレに二人の背筋が伸びる。
「先輩がいる異世界ってどんな所?」
緊張をほぐす様に卜部が六条に確認する。六条は怪訝そうな顔で答えた。
「……ちょっと変なところなんだ」
「変なところ?」
「ぬいぐるみが沢山いるの」
卜部の目が点になった。
「ぬいぐるみ?なんでそんな所に先輩がいるんだ……」
「捕獲して売るとか言ってた」
「えっ!?」
「『保存用、観賞用、布教用』って……」
「……ダメだろ、それは」
卜部は頭を抱える。やはりこの部活は潰れてもいいと。