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5000柱の女神に見守られながら旅する異世界転生記~体験版~  作者: 武宮川 夏乃介
第二章「盗みの女神編」
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エピローグ「盗みの女神編⑤」

再び俺とパーフリィは旅を始めた。


「……あの~」


「どうした?」


その旅に、なぜか付いてくる人にパーフリィは困惑の声をかけてくる。


「い、いいんですか? ……あの人」


「はぁ~……まったく」


その声掛けに俺は立ち止まり、付いてくる女の子に話しかけることにした。


「なんで付いてくるんだ?」


「……」


「ラナちゃんだっけ? あんな目に遭ったのに、怖くないのか?」


そう、付いてきているのはあの時の頭領の片割れ妹・ラナだった。


「あたしをちゃん付けで呼ぶな! ……あ、あんたには兄貴を救ってもらった借りがあるんだ」


「借り……ねぇ~……」


女神がいっぱい現れてあっという間にその神気に当てられてしまったあの兄貴さんは、なぜかその後俺はこの村でやり直すとか言い放った。

村にもなってない小屋と畑があるところなんだけど……。


まぁ何にしても、やり直すならいいことだと俺はあの場所を兄貴さんに渡して早速パーフリィとの旅を再会したんだが……。


「あ、あたしには盗みの女神様のご加護があるんだ! 連れて行けば絶対に役に立つぞ!」


その兄貴とは違い、彼女――ラナはあんなにたくさんの女神様たちが御光臨されても気絶するどころか立ち向かうみたいな雰囲気があった。

女神様たちもそんな彼女のことが気に入ったのか何も言わずに去っていった。


俺が決めろってことだろう。

旅を一緒にするくらいいいし、何よりあんな虐殺風景を見ても俺なんかに付いてくるというその根性は素晴らしいものなんだが……加護が厄介な感じだ。


だけど……。


「パーフリィはどう思う?」


そこで俺はパーフリィに意見を振った。


「あ、わ、私ですか? 私は別に問題ないと……」


「ホントに?」


「ほ、本当に……です」


旅の相棒にそう言われたんならまぁ……とか言いつつも、俺のなんだかんだで彼女のことは気に入っている。


「ま、そういうなら……ラナちゃ――ラナ」


「な、なんだい?」


「きっと普通に生きていくよりも大変な目に合うかもしれないよ? なんせ――」


そうして俺は、今の俺の状態を正直に話す。

5000柱に見守られながら旅をしていること、それからパーフリィもその女神様の一柱ということなど色々と全部だ。


「……そ、そういうことだったのか。ふん、いいじゃない。あたしにとっても楽しそうだ」


などと供述しており……って、マジかよラナ。


「全く、俺の周りには普通の子がいないんだな……」


「ふふん、あたしに目をつけられたんだ! それに冒険ってのにあたしは憧れてたんだ!」


全く持って本当にという感じで、ラナのほうに視線を送ると――


「だ、だからって体を許すとか、そんなことしないんだからな!」


「求めちゃいないよ……」


そんな貧相な……とは言わない。

美をこれでもかってくらい見慣れているせいで、ラナくらいのスタイルじゃ全然響かない。


「そ、それはどういう意味だ! あたしに魅力がないってのか!」


「なんでだよ……」


自分が拒否したくせに、拒否したら拒否したで文句を言ってくる女の子のこういうところが俺には分からない。


ま、いいかと俺はラナも連れての旅をはじめることにするのだった。







ここは女神の園。

園にはリョウタロウという人間を見守るために集まった女神たちがいた。

女神たちは、泉に映ったリョウタロウの様子を見守りながらそれぞれに話してはクスクスと笑っていた。


「まぁ、リョウタロウったら初めて旅の仲間が増えたわ」


「ええ、あの子もなかなかいい魂だったわ、何より私たちの神気にも負けない根性はすごいわ」


「本当ね」


「みなさん、どうですか? リョウタロウの様子は」


その語らいの場に現れたのは、創造の女神で心配性のアブソリューナ。

それから魂を司る女神・ソリューシャだった。


「ええ。無事に新たな旅の仲間ができたようで」


「ああ、ラナと言ったかしら? どうなのでしょう? 彼女は」


「私から見てもなかなかに素晴らしい魂でした。きっとリョウタロウのお役にも立てそうだと思いますよ」


魂を司る女神に言われ、ほっとしたアブソリューナ。


そんな創造の女神に、逆に女神たちは質問をした。


「それで? スティラ神は素直に投獄されているのですか?」


「……ええ、あたしは満足した。後のことはまかせるよとなぜか不快になるそんな言葉を言ってました。……それに」


「どうしました?」


「どうも、悪戯の女神によって魂の洗浄が不完全な様子でたまに前世でのことを思い出すようになってしまっているとスティラ神が証言してました」


「……あの柱ですか」


「大丈夫ですわ。心配な女神はまだまだいらっしゃいますが、こうして交代でリョウタロウを見守っておりますので」


「ええ、よろしくお願いしますね」


もはや、見守りなのかストーカーなのか分からないそんな女神の園の女神たちだった。


そんな女神たちの見守られながらの旅は、新たな仲間・ラナを含めた3人(2人+1柱)で続いていくのだった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

現在、戸惑いの女神たち編を執筆中ですので、また続きがでましたら

あらすじのところで追記してお知らせいたしますね。

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