表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

初めての、恋・・・そして・・・それから・・・

作者: ninjin

 あたしは、ケンタくんがすき。

 ケンタくんはいつも勝手、でも、いつもやさしい。

            みちした ゆみ 4さい



 あたしはやっぱり、ケンタロウ君が好き。

 いっつもミニバスケットの試合で、他の女子たちに囲まれてるけど、試合の帰りは、必ずあたしと一緒に帰ってくれる。

 ケンタロウ君がみんなに人気があるのは、それは仕方ないこと・・・。

 だって、ケンタロウ君って、スポーツ万能で、勉強も出来て、女の子にも優しいし・・・。

 でも、あたしだって・・・。

            道下 ゆみ 12才 小学六年生



 あいつ、また、私との約束すっぽかして、スケボー転がしに行っちゃったの?

 もぉ、何なのよ、あいつってば・・・

 私の気持ちも知らないで・・・

 どしてくれるのよ、こないだ買ったばっかりのワンピース・・・。

 映画のチケットだって・・・。ちゃんと、映画観に行こうって言って、先にチケット渡しておけば良かった・・・の?

 映画の後は、一緒にお祭りに行くのも、楽しみにしてたのにっ。

 もぉ、杉山 賢太郎の大馬鹿者っ。

            道下 優実 15歳 中学三年生



 どうして、いつもいつも、大事な時に居ないのよ・・・。

 どうして・・・居てくれないの・・・

 いいの?

 ホントに、私、先輩と付き合っちゃうよ?

 賢太郎・・・

『良かったじゃん・・・』って、本気で言ってる?

 その笑顔が、マジでムカつく・・・。

            道下 優実 17歳 高校二年生



 あいつ・・・今頃、どうしてるんだろう・・・

 明日の同窓会、来るのかな?

 久しぶりに、会いたいな・・・

 どうしてるんだろ?

 私のこと、ちゃんと、覚えていてくれるかな?

 そういえば、幼稚園の時だったかしら・・・

『ぼくは、しょうらい、ゆみちゃんを、ぼくのおよめさんにする』

 って、そう言ってなかったっけ・・・

 笑っちゃうわね・・・。まだ覚えている自分が、可笑しい・・・

             道下 優実 22歳 大学四年生



 賢太郎のバカ、なに今頃になって、電話してきてるのよっ。

 映画『卒業』でもあるまいし、()めてよね、本当に。

『今までずっと海外に居て、君の結婚のこと、知らなかった』、ですって?

 そんなこと、こっちが知ったことじゃないわよ。

 でも、涙が止まらない。

 遅いの。もう、遅いんだってば。

 嬉しいよ、賢太郎に『結婚止めてくれ』って言われて、嬉しいに決まってるじゃない。

 でも、もう、手遅れなの・・・。

 分かる?

             道下 優実 26歳 もうすぐ主婦



「お久しぶりね」

「ああ、久しぶりだね」

「どう?最近、元気にしてた?」

「うん、まあ、体調は万全。でも、十代の頃のようにはいかないけどね、はは」

「そっか・・・」

「ところで、君は?いま、幸せかい?」

「・・・そうね・・・多分」

「・・・そう・・・それは良かった・・・」

 それ以上、これといった会話は思い付かない。

 でも、この人が『元気だ』って、本気かどうかは分からないけど、そう言ってくれたことには安心した。

 私が、『幸せ』って言ったことは、嘘ではないけれど、その答えに彼が納得してくれたかどうかは定かではない。

             道下 優実 33歳 二児の母 独身



「結婚、しないか・・・俺と・・・?」

「・・・でも・・・」

 どうして?

「俺とじゃ、嫌、かい?」

 嫌な訳ないじゃない・・・。でも、どうして?



 賢太郎は、いつも優しい。

 私は、賢太郎が好き。


 我儘かしら・・・?


 私は、幸せ者だ・・・。

             道下 優実 34歳 もうすぐ賢太郎のお嫁さん 二児の母だけど・・・



 そんなこともあったわねぇ・・・

 色んなことがあったと思うよ・・・

 そうよねぇ・・・そんな気がするわ・・・

 でもね、これからも、もっと、色々なことが起こると思うよ。そう思わないかい?

 きっと、そうね・・・。これからも、宜しくお願いします。

 うん、こちらこそ・・・。


・・・杉山・・・優実・・・



 上の二人のお兄ちゃんとお姉ちゃんが、末の娘の両手を引いて歩く後ろ姿を見詰めながら、私と賢太郎さんも、大人げも無く、手を繋いで歩く。


 夏祭りの帰り道・・・。



      おしまい


お読み頂き、ありがとうございました。

またお会いできますことを、楽しみにしております。

それでは…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ