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獣人と歩む異世界  作者: 佐々木ブルー
第一章 獣人との出会い
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8.フリアの過去 後編1

 私が獣人の家にきてから大体2ヶ月が経ち、暮らしにも慣れて光の力を少し使えるようになった。

 だけど、まだ人間を信じることは出来ないし、これからもよっぽどのことがない限り人間を信じることはできないだろう。

 だって人間は罪のない獣人を獣人だからという理由で奴隷にしたり、殺したりする。

 信じることができる要素が1つもない。

 だからこそ、スオリさんの考えはあまり理解できない。

 だけど、スオリさんは信用でき、毎日光の力を教えてくれる良い人だ。

 そんなことを考えていると、スオリさんが来る。


「よし、いつもの光の力の訓練をする」


「お願いします」


「いつものように手と手を引っ付けて光をイメージする」


「そして、光を明るい玉にするイメージをする」


 光を一点に集中させて、玉にする。


「できました」


「おお、前よりかなり大きくなったな。成長している」


 この玉は明るいだけで、特に何かできるわけではないが、光の力を応用したら防御したり、攻撃したり、移動させたりできるらしい。

 そして、この光の玉が大きければ大きいほど光の力は強くなるらしい。


「ありがとうございます」


「これだけ大きい光の玉なら、光の力の応用も使えると思う。教えるからやってみてくれ」


 光の力の応用は今までで一回もやっていなかった。

 一体何ができるのだろうか。少し期待する。


「光の玉をつくり、それを盾にするイメージをしてみてくれ」


 光の玉をつくり、それを盾に変形させる。


「こうですか」


「上出来だ。それなら少しの攻撃なら防げる」


 これは人間達から逃げる時に役立ちそうだ。


 ★


 その日の夜、全員が寝静まったことを確認すると私はこっそり、獣人の家を出る。

 十日ほど前から、私は両親のことを調べはじめた。

 けれど、隠れながらでは十分に調べることができず、まだ何も分からない。 

 そして今日も両親のことを調べるために外に出る。

 だが、帽子を被り忘れるというミスをしてしまった。

 私はそのことに気づかず歩いて、両親の情報を集めていた。

 すると、武装した人間達が見えた。

 本来なら、ここで逃げなければならないのだろうが、私は両親の情報を何か得られるかもしれないと思い、隠れた。


「何か見つかったか?」


「いえ、まだ何も見つかっていません」


「そうか。後、1時間で帰るぞ」


「了解です!」


「人間すら1人も見当たらないないのに本当に獣人なんているのか?」


「人間がいない場所に隠れているのかもしれないだろ」


「それもそうか、だが、見つかりそうにないな」


「おい、無駄口を叩いている暇があったら探せ」


 そして、私がその場を去ろうとした時、音を立ててしまった。

 その音を聞いた人間が近寄ってきて、大声で報告する。


「獣人がいます!」


 まずい、人間達に見つかってしまった。

 反射的に逃げる。

 そんな私を見て、人間達も追いかけてくる。


「待て、逃げるな、大人しくしろ」


 人間達はどんどん私との距離をつめていく。

 このままでは捕まってしまう。

 どうしたらいいのだろう。

 そこで、ふと、光の力のことを思い出し、光の玉を盾にするイメージをした。


「何しやがった」


 当然、私は答えない。そして、人間達を睨んだ。


「ボスどうしますか?」


 ボス?ああ、こいつらのリーダーか。


「前完成した小型爆弾があったな。あれを投げてくれ」


 そういうと、小さな黒い玉を投げてくる。

 そして、それが地面に触れた瞬間、大きな音とともに盾が破壊される。

 痛い、痛い。光の力を使っていなかったら死んでいただろう。


「何だ、案外脆かったな」


「こいつどうしますボス」


「こいつは謎の魔法を使う獣人だ。何をしてくるか分からない。今のうちに殺しておけ」


 謎の魔法というのは恐らく光の力のことだ。ということは、光の力のことを知らない。何か利用できないか。


「分かりましたボス」


「それじゃあ、恨みはないけど死んでくれや」


 いや、私の光の力ではそんなことできない。

 私は多分もう死んでしまう。

 できれば最後にスオリさんに会いたかったな。

 そして、私は覚悟を決め、目を閉じた。

 だが、まだ殺されそうにない。私は何故なのか疑問に思い、目を開けると、聞き覚えのある声が聞こえてくる。


「おい、貴様私の仲間に何をやっている」


 その声の主はスオリさんだった。

 何でここにいるのか分からない。

 そして、スオリさんも殺されてしまうのかもしれないと思い、叫んだ。


「スオリさん!逃げて下さい!」


「仲間を見捨てて逃げれるわけないだろ」


 そういえば、スオリさんの本気を見たことがなかった。

 もしかしたら、とても強いのかも知れない。

 それに、強いのなら、獣人であることがバレたとしても大丈夫な筈だ。

 だから、困っている人を助けることができるのかもしれない。


「こいつはいいな、もう1匹釣れた」


「だけど、こいつも謎の魔術を使うかもしれませんよ」


「そうだとしても、さっきの奴みたいに弱いだろ」


「おい、人間、今の内に謝るなら見逃してやってもいいぞ」


「笑わせるな、謝るわけないだろ、獣人なんかに」


「私は人間を差別しないが、お前のような仲間を傷つける人間は軽蔑する」


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