30.正体
あれから、作戦実行当日の流れを俺は伝え始めた。
「まず、フリアがサーベントのアジトまで先導する」
「サーベントのアジトへ行くまでの道中、もしかしたら攻撃されたりするかもしれないから十分気をつけてくれ」
「そして、サーベントのアジトに着いたら、俺が少し遅れてアジトの奥へ行き、警備がフリア達の応戦で薄くなっている間にカゲというサーベントを裏で操っているものを探す」
「カゲはこの剣に弱い。この剣でカゲを斬りつけられるように援護を頼む」
「それと……自分の命を最優先してくれ」
「分かった。光太郎、頼んだぞ」
心強い。
「ああ、勿論。ありがとう」
そうして、作戦について伝えたり話し合ったりして一旦、解散することとなった。
「これで、よかったんですよね」
「ああ、後は作戦が上手くいくことを祈るばかりだ」
「本当に……上手くいくでしょうか」
「それは当日になってみないと分からない。でも成功する可能性は高い筈だ」
そんなことをフリアと話していると、
あの目が濁っていた冒険者が入ってきて、俺にゆっくりと近付いて来た。
何やら、様子がおかしい。
「まだ、サーベントを潰すために色々やっているのか?」
「……ああ」
身構える。今回の作戦は既にサーベントに伝わっている筈だ。
徐々に冒険者は俺達に近付いてくる。
「……悪いな」
申し訳なさを感じる声で冒険者がそう言うと、何やら黒い玉に手をかけた。
「あれは……あの時の!」
「アイ アエ オオ!」
フリアがすぐさま光の力を使い、冒険者に激しい光を浴びせる。
「うっ!」
冒険者はその場でよろめく。間髪入れずにフリアがもう一度光の力を使う。
「アイ アエ オオ!」
2度目の光を浴びて、冒険者はそのまま倒れた。
「そやつはもう意識を失っている」
ひかちゃんの言葉を聞いて俺はまだ光の力を使おうとしているフリアの腕を掴み、止める。
「落ち着け」
「……すみません。ちょっと取り乱してしまいました」
「あの黒い玉は、小型爆弾です。昔、私を襲った人間達が持っていた……」
「おそらく、あのときの人間達もサーベント関係だったんでしょう」
あのスオリさんが亡くなったときの……。
「ということは……この人は間違いなくサーベント関係者か」
「どうしましょうか……。サーベントについて聞き出すのも難しいと思いますし……」
そう話していると、ひかちゃんはあることを伝え始めた。
「意識を失っている今なら……記憶を探れる」
「そんなことができるのか?」
ひかちゃん本当優秀だな……。助けられてばっかりだ。
「ああ、今の状態ならできる。まあ、意識を失っている状態の人間の記憶しか探れないのだが……」
「何があったのか知りにいこうか……記憶の中へ……」
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