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獣人と歩む異世界  作者: 佐々木ブルー
第二章 獣人解放作戦
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29.かげの作戦

 それから、話が行き詰まっていたとき、ひかちゃんが急に声をあげた。


「そうか、サーベントには魔王幹部のカゲがついていたのか」


「どういうことだ(ですか)?」


 俺とフリアの声が重なった。


「主達を襲った魔物の魔力をより探っていたら、カゲという魔王幹部の魔力を感知した。おそらく、カゲに仕えている魔物だったのだろう」


 魔王幹部のカゲ……?


「それでそのカゲってのはなんなんだ?」


「カゲは悪感情を貪ることを生きがいとしている魔王幹部の魔物だ」


「カゲはダークドラゴンを従えている。フリア達を襲ったダークドラゴンもおそらく、カゲが従えているものだろう」


 ダークドラゴンを従えるほどの魔物……。


「サーベントのアジトではきっと、捕らえられた獣人達の恨みや悲しみといった負の感情で溢れている」


「そんな獣人達の負の感情を貪る手段としてカゲはサーベントを利用しているのだろう」


 なんとも悪趣味な魔物だ。それが魔物らしい生き方なのかもしれないが。

 フリアは怒り故か、少し身体を震わせている。

 なんとしても、サーベントなんて組織は潰さないと。


「カゲの魔力は高く、サーベントのアジトを隠すぐらいの魔法は容易く使える」


「力も凄まじく、動きも素早い。熟練の冒険者でも一撃だ」


 そんな魔物がサーベントを裏で率いていたのなら、確かに今までのサーベントの話にも合点がいく。


「だが、勇者の力には弱い。カゲを主の剣、私で斬りつけることができたらすぐに絶命するだろう」


 やることはシンプル……だが、そんな魔物をどうやって斬れば……。

 今の俺にはそんな魔物を斬る程の力はありそうにない。

 フリアや冒険者の人達の力を借りればどうにかなる……か?

 いや、ダークドラゴンでも苦戦していたし、きっと難しい。


「サーベントを終わらせるためにはカゲを討つ必要がある」


「カゲがいなくなれば、サーベントを崩壊させるのはそこまで難しくないとは思うのだが……」


 確かに、カゲさえいなければ、後は冒険者達の力でどうにかなりそうな気はするが、カゲを斬れそうになく、他の魔物や人間も脅威だ。

 それに、カゲがどこにいるか分かるのか?


「カゲの居場所を見つけられるか?」


「カゲの魔力は記憶している。カゲの魔力の濃い所を探れば、居場所は分かる。まあ、ある程度近い場所でないと見つけられないが」


 それなら、まだ手段はいくつかありそうな気はするが……。


「どうにかしてカゲの動きを止めることが出来たら良いのだが……」


「良い作戦があったとしても、カゲに従えられてる魔物やサーベントの関係者にどこかでサーベントに知られてしまうかもしれない。それなら、あまり知られていない光の力を使う? いや、だとしてもカゲに効くものかどうかは分からない……」


 俺は、そのフリアの言葉を聞いてあることを思い付いた。


「ひかちゃん、カゲの魔力を感知することが出来るんだよな」


「勿論だ」


「それなら、サーベントの関係者も感知することができるか?」


「カゲの魔力が分け与えられてるか、あるいはカゲの魔力に近くで長時間当てられていたら感知は出来る」


 なるほど、それなら……。


「ひかちゃん、カゲの魔力は今近くにあるか?」


「いや、今はないな」


「それなら、こっちに来てくれ、フリア」


 戸惑いながらもフリアは俺のいるベッドにきた。

 フリアとひかちゃん、そして俺自身をベッドの掛け布団で覆いかぶせると、俺は小声で話し始めた。


 ★


 次の日の昼、ギルドマスターに冒険者達をギルドに集めてもらった。

 ひかちゃんの力で、既にカゲの魔力が近くにあるかどうかは感知してもらっている。

 そして、俺はフリアの隣で話し始めた。


「集まってくれてありがとう。ここで話したいのは、まぁ、それはギルドマスターを通して伝わっていると思うが、一応もう一度言っておく、サーベントについてだ」


 集まった人数は約30人といったところ。


「サーベントは獣人の売買を行う悪質な組織だ。その実態は不透明で、あまりよく分かっていない」


「だが、俺達はサーベントの情報を掴みつつある」


「そして、少しずつ分かってきたサーベントを潰したいと思っている」


「少し無謀に思えるかもしれないが、サーベントの居場所などについては実はもう既に俺達は掴んでいる」


 冒険者達から少しどよめきが聞こえる。

 そのまま、話を続ける。


「今日、集まってもらった目的は他でもない、このサーベントを潰すために協力してくれる人を募集するためだ」


「協力してくれる者はこの場所に残ってくれ。報酬は勿論、用意するつもりだ」


「「お願いします!」」


 俺とフリアは頭を下げる。

 しかし、冒険者達の反応はあまり良さそうじゃない。


「うーん、やっぱり少しリスキーすぎる。悪いけど、僕は降りる」


「できれば手伝いたいのだけれど……ごめんなさい」


「流石にサーベントは不確定要素が多すぎるからなぁ。正直怖いよ」


 そういった声が聞こえてきて、どんどん人が少なくっていく。

 そんな中、ある冒険者が声を上げた。


「俺もサーベントが気に食わなかったんだ。一緒にぶっ潰そうぜ!」


 その冒険者の声を皮切りに他の冒険者達も一人、また一人と参加を表明してくれた。


「フリアさんと光太郎さんには恩があるからな。それぐらい手伝わせてもらうさ」


「獣人の人達を売買するだなんて許せない!」


 それから、協力してくれる10人の冒険者、一人一人と少し話し、サーベントの関係者かどうかそれとなく探りを入れたが、目が濁っている者はいなかった。

 おそらく、今回のこの参加者達の中にはサーベント側の人はいない。

 今日の一日で、昨日考えた作戦を実行する為の種は蒔くことが出来たと思う。

 後は、無事芽が出ることを祈るばかりだ。

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