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獣人と歩む異世界  作者: 佐々木ブルー
第一章 獣人との出会い
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2.獣人の家

 俺の言葉を聞いたフリアはこっちを一度見ると、問いかけてきた。


「いいんですか?貴方も捕まってしまいますよ?」


 その言葉にすぐに返事をする。


「ああ、覚悟の上さ」


 というが、覚悟何て全くできていない。捕まるかもしれないと考えるだけで恐ろしい。


「あいつも仲間だ!」


 誰かの声が響く。

 早く逃げないと捕まってしまう。咄嗟にフリアの手を掴み、走り始める。


 広場のようなところに来て、辺りを一瞬見渡すと左と後ろから何十人も追いかけてきていた。より急いで、前へ走ろうとしたら、前からも人が来ていた。

 こうなるともう右しか行けない。


「右だ!」


 俺の言葉に反応し、フリアは走る方向を変え、ただひたすら俺と走る。

 もう体力も限界に近いが、走る。

 逃げ切れるかもしれないと希望を持ち、走る。


 だけど、希望は前に人が見えたことにより、絶望へと変わる。

 前も後ろ人だらけ。いつの間にか人も増えていて、見えている限りでも50人はいる。

 絶対絶命、ヤバい。


 どうすればいいのか、考えろ、考えろ。何か打開策はないのか。俺に何か力があれば、どうにかなるかもしれないのに。ここで、魔法とかの隠れた才能が開花するとかないのか。


 いや、本とかでは念じたら何かが起きていた。限りなく可能性は低いが、こんな魔法があったり、魔物がいたりする世界なら何か起きるかもしれない。


 だが、魔法よ出ろと念じても、我に力を与えよと念じても何も起きない。

 このまま捕まってしまうしかないのか。

 そんなことを考えているととある声が聞こえた。


「アイ オア オーカイ!」


 声が聞こえると同時に光に包まれる。その光はこの世界に来た時に包まれた光のようだった。


 ★


 光が収まると、何百人もの獣人が洞窟のようなところで過ごしている様子が見える。


 今何が起こったのか整理しよう。

 フリアは獣人で、フリアと一緒に男達に追いかけられて、囲まれてしまい、どうすればいいのか悩んでいると『アイ オア オーカイ!』という声が聞こえ、光に包まれると、獣人ど思われる人々が過ごしている洞窟にいた。

 大体、こんな感じだ。


 多分、『アイ オア オーカイ!』というのはフリアがいっていた魔法だろう。

 より一層地球とは異なる異世界であることを自覚する。


 そうして、何が起きたのかを理解していると、フリアが近くに歩み寄ってきた。


「私を助けてくれてありがとうございます」


 笑顔で感謝の言葉述べるフリアを見ると、追いかけられたことなど、どうでもいいことのような気がする。


「いや、別にただの恩返しだ」


 正直、フリアに出会ってなかったらあまりこの世界のことを分からずに詰んでいただろう。そう考えると、当然のことだ。


「恩返し、ですか、私は助けてくれたことに値するだけの話が出来たでしょうか?」


 俺からしたらフリアとの話はとても助かった。

 そういえば、追いかけられて、言いそびれたことがあった。それも伝えよう。


「ああ、めちゃくちゃ助かった。こっちからもありがとう」


「いえ、そんな感謝される程のことはしてません。まだ助けて貰った恩は返しきれてません」


 別にそんなことはないけど、丁度、疑問に思ったことがあった。フリアが恩を返しきれていないというなら、そのことについて質問して、それで恩を返しきったということにしよう。


「それなら、一つ質問いいか?」


「ええ、私に分かることなら何でも」


「一体、ここはどういう場所何だ?」


 洞窟のような家等と比べると住みづらいところにこんなにも、それも獣人だけがいるのはおかしい。何か理由があるはずだ。


「獣人の家と呼んでいる人間や魔物から逃れるための隠れ家です」


 確かに、この洞窟なら人間に見つかることはあまりないだろう。だけど、住み心地は悪そうだ。

 どうして、獣人は人間も魔物も避けて、このような洞窟に暮らさなければならないのか。この世界の獣人とは本当に何なんだ。多分、それが今一番知るべきことだろう。


「後、一つ質問があるんですけど、どんな魔法を使っているんですか?」


 予想外の質問だ。魔法?何かおかしなことでもあったのだろうか。それは、地球から来たからなのか検討がつかない。

 そうして、首をかしげるとフリアが口を開いた。


「獣人特有の耳が見えていないじゃないですか、それをどんな魔法で隠しているかってことです」


 え、俺獣人だと思われていたの。

 取り敢えず、事実を伝える。


「え、魔法なんて何も使ってない。というか生えていない」


 獣人と思われていた驚きを隠しつつ、そう伝えると、フリアはとても驚いた表情をして、質問してくる。


「ということは、貴方は人間ですか?」


「そうだけど?」


 どういうことだろうか。俺が人間だということを知ると、その場で考え込み、ブツブツと何かを言っている。


「光太郎さん、貴方が人間だということは必ず隠して下さい。獣人を人間が助けること何て普通じゃ考えられないです。」


 あの追いかけている人々を見たため、直ぐに獣人を人間が助けることはないということを理解した。


「もしバレたら?」


「この獣人の家に人間が来た何てことが分かったら、殺されてしまうかもしれません」


 殺されるというのは流石にヤバい。内心結構焦っている。


「ここから出る方法は?」


「迷路のような道を辿った先です。付いて来てください」


 フリアに着いて行くと、本当に迷路のように入り組んだ道で、フリアは迷いなく、進んでいく。恐らく、道を覚えているのだろう。


 そうやって進んでいると、地上が見え、洞窟から出ると、そこは山の頂上だった。遠くにはフリアと出会った高原が見える。

 そこで、フリアが問いかけてくる。


「これから、どうするのですか?」


 さて、どうしたものか、取り敢えず大まかに伝える。


「適当に、この世界について探りつつ、旅をする」


「あの、良ければ私も一緒にいっていいですか?」

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