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獣人と歩む異世界  作者: 佐々木ブルー
第一章 獣人との出会い
18/43

18.弱い勇者

 剣から声が聞こえると、剣は光り出した。

 その瞬間、誰かの記憶が流れ込んでくるのを感じた。

 そして、俺は剣をブルードラゴンに向ける。

 理由は分からないが、そうしなければならない気がしたのだ。

 すると、ブルードラゴンは炎を吐くのをやめて、俺に向かって炎を吐いてきた。


「危ない!」


 フリアが俺に向かって叫ぶ。

 俺はその声を聞き、その攻撃を避けようとするが、足の速さは変わっておらず、その攻撃を食らってしまう。

 しかし、その攻撃を食らっても、俺は傷ひとつ負わなかった。

 おそらく、俺には炎が効かないのだろう。

 そして、ブルードラゴンは炎の攻撃が無意味だということに気付いたのか、炎を吐くのを止め、腕を振り下ろしてきた。

 俺はその攻撃を何とか寸前の所で避け、ブルードラゴンの腕を刺す。

 

「ブルウウウウウ!」


 刺した所から紫色の血が出ると、ブルードラゴンは苦しみ出した。


「アエ オア ライキ イル!」


 フリアがそう唱えると、光の剣が現れ、ブルードラゴンの腕を刺した。


「ブルウウウウウ!」


 すると、ブルードラゴンが暴れ出し、危険だと考えた俺は剣を抜き、その場から離れ、フリアも同じようにその場を離れた。

 そして、ブルードラゴンは暴れ回りながら空へ飛び、直径50cm程の炎の玉を口から出し、落とし始めた。

 周りは逃げているが、人が多すぎて中々逃げることが出来ず、兵士が50人程しかいない。

 そのような状況ではとても今いる全員を守れそうにない。

 そんな様子を見て、フリアは唱える。

 

「アイ オア オフェロ イル!」


 フリアは光の盾を出し、何とかブルードラゴンの攻撃から人々を守る。

 俺のこの剣で誰かを守るのは出来そうにない。

 だったら、することは1つだ。

 俺は、もう1度剣をブルードラゴンに向ける。

 さっきのことから考えるに、この剣を向けることで、ブルードラゴンの標的を俺に変えることができる筈だ。

 そして、俺の考えどおりに、ブルードラゴンは降りてきて、俺に腕を振り下ろす。

 俺はその攻撃を何とか避け、ブルードラゴンの腕をもう1度刺そうとしたが、ブルードラゴンは攻撃後すぐに飛び、尻尾を振り下ろしてきた。

 俺はそれをギリギリのところで避ける。

 尻尾が振り下ろされた地面は(えぐ)れていた。

 こんな攻撃をまともに食らったら、ひとたまりもない。

 だが、尻尾が地面にめりこんで、中々尻尾を地面から抜けだせてない、チャンスだ。

 俺はブルードラゴンの尻尾に剣を刺す。


「ブルウウウウウ!」


 ブルードラゴンの紫色の血が出る。

 まだ、尻尾は抜けそうにない。

 そう思った俺は、剣をブルードラゴンの尻尾から抜き、もう1度刺した。


「ブルウウウウウ!」


 ブルードラゴンは前回の時より激しく暴れ始めたため、剣をブルードラゴンから抜き、その場から離れる。

 ブルードラゴンは暴れながら、俺に炎を吐くが、俺には全く効果がない。

 そして、ブルードラゴンは尻尾を地面から抜き、ブルードラゴンは爪に炎を纏わせて、フリアを引っ掻く。

 フリアはその攻撃を光の盾で防ぐが、ブルードラゴンの攻撃で光の盾が壊れてしまった。

 このままでは危ないと考えた俺は、剣をブルードラゴンの方に向ける。


「ブルウウウウウ!」


 ブルードラゴンがすごい勢いで突進してくる。


「まずい、これは避けられな……」

 

 そう言った時、フリアの大きな声が聞こえた。


「アイ オア オフェロ ウル!」


 目の前には大きな光の盾があり、フリアが俺を守ってくれたことに気付いた。


「光太郎さん……もう魔力がほとんどありません」


 俺のせいだ。

 俺が、もっと考えていれば。

 いや、今はそんなことを考えている場合ではない。

 このままじゃ、フリアに攻撃されたら、確実に食らってしまう。

 だったら、俺が1人でブルードラゴンを倒さなければ。


「ブルードラゴン!こっちだ!」


 そう叫びながら、俺は剣をブルードラゴンに向ける。

 少し、光が小さくなってきたと思ったが、今はそんなことを考えている暇はない。


「ブルウウウウウ!」


 ブルードラゴンは再び突進してくる。

 今度は前より距離がかなり離れているため、避けられる筈だ。

 そう思っていたが、ブルードラゴンは俺とは少し違う方向に突進している。

 何かがおかしい。

 そして、俺はとあることに気付いた。


「しまった!」


 ブルードラゴンは俺を狙っていると思ったが、フリアの方へ攻撃している。

 俺は剣をブルードラゴンに向けたが、ブルードラゴンはフリアに突進し続けていた。

 フリアを庇ったら多分死ぬだろう。

 だが、考えるより先に体が動いた。


「フリア!」


 フリアを押す。

 フリアは何とかブルードラゴンの攻撃に当たらないぐらいの場所まで移動した。

 誰かがブルードラゴンを倒し、フリアが獣人と人間が共存できる世界にしてくれることを願うと、ブルードラゴンは俺の背中を鋭い爪で引っ掻いた。

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