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クリスタルパレスは、延々と続く長い城壁で囲まれている。
その壁は、長いだけでなく高く頑丈で、外からの侵入を許さない造りになっていると同時に、内側へと向ける視線をも完全に遮断している。
神都に暮らす第四位から下の神民たちは、おいそれとクリスタルパレス内を覗くことすら出来ない、ということだ。
中へと通じる門はひとつだけ。もちろんその鉄製の門は、常にがっちりと封鎖され、帯剣した番人たちが威圧的に立ちはだかって、許可なき者が入り込まないように、鋭く目を光らせている。
教皇のサインの入った書類を提示してようやくその厳重な門を通り、クリスタルパレス内に入ると、今までほとんど周囲に関心を見せなかったクーもさすがに、「……うわ」と感嘆するような、または呆れるような声を出した。
「思っていたより、広いだろ」
クーの後ろで馬の手綱を握りながらそう言って、カイトも同じように周囲を見回した。
なにしろ、クリスタルパレスの中に入ったことは、まだ数えるほどしかない。
この場所の際立った豪華さに慣れず、目が眩みそうになる、という点では、カイトもクーとそう変わりなかった。
凝った意匠を施した窓が行儀よく並ぶ壮麗な建物は、どれも四階や五階はあるのに、驚くほど大きなものばかりだ。
そびえるように建つそれらの周りには、噴水がのどかに水を噴き出す公園のようなものもあれば、小さな森までがある。どこを見渡しても美しく整備され、管理の手が行き届いていた。
静謐で落ち着いた雰囲気が漂い、ここでは空気までが澄んでいるように感じられる。
──このクリスタルパレスが、「永遠の繁栄が約束された場所」と呼ばれているのも頷ける、豊かさ、華やかさ、平穏さだ。
「キリクが、ここはひとつの街だって言っていたけど」
馬上から顔を巡らせていたクーが、不思議そうに言った。
「店がないね」
「ああ、クリスタルパレスの中に店はない。その代わり、商人が出入りする。朝になると、食料や日用品をぎっちり詰め込んだ馬車がずらっと門の前に列をなして、そりゃ大した眺めらしいぞ」
この地にあるのは基本、ソブラ教皇の居住する宮殿、神殿、上位の神民の住居くらいなのである。その他にもいろいろな用途の建物はあるが、商店や飲食店などというものはない。
……だからここは、生活感というものをほとんど感じないんだろうなあ、とカイトは内心で呟いた。
多くの人間が住んでいながら、活気に乏しく、昼間だというのに静まり返っている。人の姿は見かけるが、あまり目的もないようにゆったりと足を動かしているくらいで、子供が騒ぐ声すら聞こえない。あの賑やかな棄民の街にいたクーからすると、ここは幽霊でも暮らしているのかと気味悪くなっても無理はないと思う。
正直、カイトもこういうのは苦手だ。
いつものことだが、クリスタルパレスに入ると、なんとなく足元から得体の知れない何かがぞわぞわと這い上ってくるような気がして、落ち着かない。
「……なんか、やな感じがする」
自分の内心の声とかぶるように、ぼそりとした声が前から聞こえた。
上体を傾けて、クーの顔を覗き込む。その渋面はあまり顔色が良くないようで、カイトは眉を寄せた。
静かすぎて不気味、ということではないらしい。
「大丈夫か? 気分が悪い?」
ついさっきまでは何ともないように見えたのだが、今になって疲れが出てきたのだろうか。
「そういうんじゃないけど……なんだか、このへんがざわざわする」
このへん、と言いながらクーが自分の手で押さえたのは、胸のあたりだった。
「馬に酔ったか? ずっと長時間、乗りっぱなしだったからな」
ここと棄民の街の往復だけでも、結構な時間を要する。母親を乗せていた時は、馬をかなりゆっくり歩かせていたし、彼女を病院に入れる手続きにも手間がかかった。
そのせいで、多少気が急いていたのも否めない。もっと休憩を入れてやるべきだったか、とカイトは後悔した。
キリクが手綱を引き、こちらに寄ってきた。同じようにクーの顔を覗き込む。
いつも冷静なキリクらしく、心配するというよりは、医者が患者の様子を見るような目をしていた。
「クー、つらいかもしれないけど、もう少し我慢してくれるかい? 神殿まではもう少しだ」
「うん」
こくりと頷いて、クーは額の汗を拭った。
「平気。やっぱりオレのような棄民には、こんなところの空気は肌に馴染まないんだ。それだけだよ」
自分を納得させるように言う。
クーを早く休ませてやりたくて、カイトは馬の横っ腹を軽く蹴った。
***
完全に陽が沈んだ頃になって、クリスタルパレスの奥つ城である神殿に、ようやく到着した。
乳白色の石で作られた美しく神聖なその建物は、普通、滅多なことでは部外者に対して容易に門戸を開けない。たとえクリスタルパレスに住んでいる、第三位以上の神民でもだ。カイトにはなおさら、宮殿なみに敷居の高い場所である。
でも、神女を連れてきたという大義名分があれば別だ。大歓迎とは言わないまでも、それなりに節度を持って迎え入れられるものだと思っていた。
……が。
クーを連れたカイトとキリクは、その中に入ることを、自分たちと同じ衛士によって阻まれた。
「な……」
行く手を塞ぐようにして、長い警棒を自分たちの前にかざす衛士に、カイトは目を丸くした。
「一体、なんの真似だよ?」
「理由なき者を、この神殿に立ち入らせることは出来ない」
「おい、なに言ってんだ?」
無表情でこちらを睨みつけてくる男の態度に困惑して、こちらの声もつい大きくなる。
カイトとキリクが、水晶によって選ばれた神女をここまで連れてくる命を受けているのは、もちろんこの衛士だって嫌というほど知っているはずだ。今さら、「理由なき者」などという言いがかりをつけられるなど、意味が判らない。
そりゃ、クーはお世辞にも、清らかな神女、という外見ではないかもしれないが。
「冗談も大概にしとけよ。おまえだって、俺たちが何のためにここに来たのかは判ってるんだろ。こっちは疲れてるんだ、早く神殿の中に入れろ」
「おまえたちに、この神殿内に入る正当な理由があるとは思えない」
「…………」
警棒を下ろす素振りもなく、同じような台詞を繰り返す男を見て、思わず、ちっと小さく舌打ちした。
これはあれか、要するに、きちんと形式上のやり取りを済ませないと中には入れられない、と暗に仄めかされているわけか。堅苦しいこと言いやがってと苛立つが、神殿を守る衛士というのはそういうものなのかもしれない。なにしろカイトはこの仕事に就いてから日が浅いので、衛士間の暗黙の了解的なことにはまだ疎いのだ。
仕方ない。カイトはまっすぐ立って背筋を伸ばし、姿勢を正した。
「キリク・ソロ・リシャル、カイト・サラ・コービィ、ソブラ教皇の命により、水晶に選ばれし神女を見つけ出し、この神殿へとお連れした。長旅で神女はお疲れのご様子、速やかに部屋でお休みいただきたいので、即刻そこを退いて我々を中に入れてもらいたい」
少々嫌味の入り混じった口調になってしまったが、一気にそう言い放ってから、どうだ、というように男を睨み返す。
しかし、こちらの意に反して、相手は態度を改め畏まることも、警棒を下ろすこともしなかった。
ふ、と嘲るような笑いが男の口の端に上る。それを見て、さすがにカイトも困惑以上のものを抱きはじめた。
どう考えても、この成り行きはおかしい。訝しさと、嫌な予感が身の裡を駆け巡る。
……何か、予想もしていなかった異変が起きている。
「神女だと?」
男はそう言って、カイトとキリク、そしてその間に挟まれているクーをぶしつけに眺め、鼻で笑った。
「そちらこそ、なんの冗談だ。おまえたちは一体、どこに行って、何を連れてきた? もしかして、そこにいる痩せたガキが神女だとでも言うつもりか。この神聖な場所に、そんな穢れたものを入れるわけにはいかん」
それを聞いて、カイトはカッとなった。
「おい、その言い方はなんだ! こんな格好をしているが、こいつ……じゃない、彼女は確かに、水晶に選ばれた神女だぞ!」
「ふざけるのもいい加減にしろ!」
荒い語調で詰め寄るカイトに、男もまた険しい表情になって、吐き捨てるように言った。
「神女はすでに四人揃った! 水晶で示された神女はもう全員、この神殿内にいるんだよ! それなのに、おまえらは今さら、『何』をここへ連れてきたっていうんだ?!」
***
「……まったく、どうなってんだ……」
カイトは頭を抱えて呻いた。
神女はもう四人揃った、だからおまえたちに神殿に入る資格はない、と言い張る衛士を、キリクが教皇のサイン入りの書類を鼻先に突きつけることで黙らせて、なんとか神殿内に入ることだけは出来たが、状況がさっぱり判らないということには何も変わりない。
入ったら入ったで、神女の居室として用意されていた四つの部屋はすべて塞がっており、また茫然だ。
やむなく、空いていた部屋を強引に開けさせたものの、長いこと未使用だったという室内は、最低限の調度もなく、すっからかんの有様である。かろうじて椅子とテーブルを持ち込み、クーを休ませたが、カイトのほうも倒れそうだ。
「すまん、クー。俺もまさか、こんなことになるとは……。まだ気分悪いか?」
「ううん、もう良くなった。やっぱり、外の豪華絢爛さに当てられたのかな。その点、この部屋はまだ落ち着くよ」
「…………」
クーにそんなつもりはないのだろうが、今はその台詞も、カイトの胸を突き刺すトゲのように聞こえた。
掃除くらいはされていても、窓以外のものはほとんど何もない、殺風景な狭い部屋。
本当なら今頃、素晴らしい調度の整った美しく広い部屋の中で、のんびり寛いでお茶でも飲んでいるはずだったのに。
たくさんのものを犠牲にしてここまでやって来たクーが、どうしてこんな扱いを受けなきゃいけない?
「俺も何が何だか……とにかく、今、キリクが確認しているから」
気の利くキリクのことだから、そのついでに、飲み物くらいは持ってきてくれるだろう。
一刻も早く詳しい事情を知りたいのは山々だが、ここで騒ぎ立てては後々厄介なことになるかもしれないので、キリクが戻ってくるのを大人しく待っているしかない。
「──カイト」
「うん?」
じりじりした気分で閉じられた扉を見つめていたカイトは、自分の名を呼ぶクーの声に、少し緊張が滲んでいることに気がついた。
「棄民のオレが神女だなんて、やっぱり、間違いだったんじゃないかな」
「なに言ってんだ」
クーはどこか不安そうな表情で、椅子に座ったまま、暗くなった窓の外に目をやっている。カイトはことさら声を張り上げた。
普段生意気な態度を取ることが多いだけに、こういう顔をすると、途方に暮れた迷子のように見える。
「間違いなんてことはないよ。水晶は、確かにおまえを神女として示したんだ」
「……もし、神女の話がなしってことになったらさ」
窓に向かっていたクーの目線が、ふらりと揺れた。
「母さんもすぐに、またあの街に追い返されるのかな。せっかく病院に入れて、ちゃんとした食事ももらえて、元気になれそうだったのに」
呟くように出された言葉に、胸を突かれた。
──この女の子は、こんな時でさえ、母親のことを真っ先に案じてしまうのだ。
自分のことを見てはくれない相手でも。
「クー」
カイトはクーの近くに寄り、両肩に手を置いて力を込めた。
クーがようやく窓から視線を外し、こちらを見上げてくる。
「あのさクー、俺はすべてを解決できる力を持ってるわけじゃないし、キリクのように頭がよくもない。だけど、おまえと一緒に迷ったり悩んだりするくらいは出来るから。一人でなんでも抱え込むなよ、いいな? 何があったとしても、絶対に、おまえとおまえの母さんを放り出すことはしない。俺たちのこと、信用して……いや」
そこまで言って現在の状況を思い出し、口を噤んだ。
神女として神殿に来てほしいとここまで連れてきたくせに、不測の事態に右往左往するだけの自分が、「信用してくれ」なんて堂々と言えた立場ではない、と気づいたのだ。
恥じ入るようにしょんぼりと肩を落とし、ぽりぽり頭を掻くカイトを、クーは黙って見上げていたが、
「……うん」
と小さく返事をして、目元を緩めた。
***
しばらくして、キリクが部屋に戻ってきた。
ちゃんと、三人分の飲み物を入れたグラスを載せた盆を手に持っている。そしてどうやったのか、その盆には、美味しそうな種々の軽食までが添えてあった。まだ温かいらしく、湯気が立っているものもある。
今のこの不安定な状況で、食事にまでありつけるとは思っていなかったので、カイトはほとほと感心した。
「さすがキリク、こんな時によくここまで用意できたな。その顔と口先で、誰をどう丸め込んだんだ? 相手は女だろ」
「それは秘密」
キリクはにこやかに笑って誤魔化した。この顔のまま優しげな声で頼みごとをすると、特に女は断れないらしい。
「カイトには出来ない芸当だね」
早速、こんがりと焼き上がったパンを指で摘まんで口に入れ、クーが憎まれ口を叩く。さっきまでの心細そうな表情を綺麗に剥ぎ取ると、そこにいるのは単なる小生意気なガキだった。
そしてクーがそうなると、カイトも黙ってはいられない。どうやら、あちらが子供の部分を出したら、自分の子供の部分もまた、反応してしまうらしい。
ふん、と肩をそびやかした。
「言っておくがな、場所が場所だからおおっぴらに立ち回れないだけで、俺だっていつもならそれくらいは軽く出来るんだよ」
「へえー」
まったく信じていない顔で笑われた。ますますムキになる。
「おまえ、俺のこと、ものすごい役立たずだと思ってないか?」
「まあ、そう悲観すんなよ。キリクほど顔がよくなくて、キリクほど口が上手くなくても、何かひとつくらい取り柄はあるだろうし」
「なぜ慰められているのか、意味が判らない」
「その顔も、キリクの横に並んでるから落ちて見えるだけで、単品で見ればそこまで酷くない」
「俺は別に自分の顔を落ちてるとも酷いとも思ったことないんだけど?! 男だか女だか判らないやつにそんなことを言われる筋合いはないんだっての。大体、俺が言った通り、事前にちゃんとした服に着替えてりゃ、あそこまで奴に言いたい放題されることもなかったんだ」
クーはカチンときたように眉を上げた。
「男か女か判らなくて悪かったな! 男のくせに過ぎたことをいつまでも執念深く言うな、バーカ」
「バカって言うやつのほうがバカなんだ、バーカバーカ」
「……さて、おバカさんたち、そろそろ僕の話を聞いてくれないかな?」
子供のような喧嘩をしていがみ合っていた二人は、キリクの声で我に返って、ぴたりと口を閉じた。
キリクの顔には変わらない微笑が乗っているものの、静かな口調はなんとなく有無を言わせない響きを伴っている。
「お、おう、悪かった」
若干後ずさりながら謝り、横目で見ると、クーも手を膝の上に置き、神妙な顔で大人しくていた。
俺とキリクで、ずいぶん対応が違うな、とは思ったが、口には出さないでおいた。
「──どうやら、神女がすでに四人揃った、という話は間違いないようだ」
真面目な表情になったキリクの言葉に、自分の顔が強張るのが判った。
あるいは棄民のクーと、半民のカイトに対する嫌がらせなのかとも考えていたのだが、そういうわけでもないらしい。
「今、神殿の者が、ソブラ教皇の許へ報告に向かっている。追って、なんらかの指示や命令があるだろう。今のところは、それを待っているより仕方ないね」
「……まったく、なんてこった」
ふー、と大きな息を吐き出す。
四人であるはずの神女が、五人。
水晶が本当に不具合を起こしたとでもいうのだろうか。それとも。
……それとも、五人のうちの一人が偽物、ということか?
戸惑いはますます大きくなるばかりだった。まさか神女を騙るような人間がいるとは思えない。大体、人は欺けても、水晶は欺けないはずだ。そこに作為の入り込む余地などない。
あれは神意なのだから。
しかし、実際、神女を名乗る娘が五人出てきてしまっては……
「オレ、よくわからないんだけど」
腕組みをして唸るような声を出すカイトを余所に、クーは首を傾げていた。
「神女は四人、っていうのは絶対なの? 水晶の間違いってことじゃなきゃ、五人とも神女ってことはないわけ? 一人は予備の神女、みたいな感じでさ」
予備の神女。なんとも気の抜けた響きに、少し噴き出しそうになった。
「クー、神女ってのは、女神の力の一部を受け取る存在なんだぞ。いわば神女は、人でありながら神でもある。そんなものに予備なんてあるわけないだろ」
「それを言うなら、そもそも四人も神女がいる、っていうこと自体がおかしいんじゃないか。女神の力を受け取るって、それは一人じゃいけなかったのか? どうして四人に分散させる必要が?」
「ああ、そうか……おまえは神女のことをよく知らないんだったな」
そういえば、神女になるということを黙っておく手前、母親が近くにいる時は、クーに詳しい説明をすることが出来なかったのだった。そしてあの母親は、起きている時はもちろん、寝る時もずっとクーにべったりくっついて、片時も離れることがなかった。
「クー、この神国アリアランテではね、国のはじまりの時から伝えられる話があって」
キリクが穏やかに話しはじめた。
──その昔、女神リリアナが四人の娘に分け与えたもの。
一人目の娘には、邪なるものを見抜き、正しきものを見通せる、曇りなき眼を。
二人目の娘には、偽りの言葉を弾き出し、真の言葉を拾える、賢明なる耳を。
三人目の娘には、悪しき気配を打ち払い、善なる気配を嗅ぎ分けられる、鋭敏な鼻を。
四人目の娘には、不安を他者から取り除き、慰撫を他者に与えられる、美しき声を。
「それ以来、この国では百年に一度、四人の娘が水晶によって選ばれる。彼女たちはそれぞれ異なる役目を女神より授けられて、神女と呼ばれる存在になるんだよ。その時代の教皇を助け、この国の支えとなるためにね」
「まあ、俺たちも本当のところ、そんなに詳しく知っているわけじゃないんだけどな。なにしろ百年ごとだから、現在この場所にいる誰も、前代の神女の生きた姿を見たことがないわけだし」
この国の民の平均寿命は五十歳から六十歳くらい、とされている。人の身でありながら神の力を持つ神女は、さらに短命であることが多いという。今この時、前代の神女たちを本当の意味で知っている者は存在しないので、直接話を聞くことは出来ない。記録は残っているらしいが、閲覧が許可されるのは、ごく限られた立場の者のみである。
伝承、という形でしか、カイトたちも神女のことを知らない。
けれど、神女は四人。それは神民であれば誰でも知っている常識だ。
一人目は、「眼の神女」
二人目は、「耳の神女」
三人目は、「鼻の神女」
四人目は、「声の神女」
伝えられているのは、それだけ。
……五人目の神女なんて、いるはずがない。