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8.ようこそヤーバンへ



町の入口の看板には『ようこそ剣闘士の町ヤーバンへ』と書かれている。


レンガ調の街並みの中央に、コロシアムっぽいのが見える。

私は馬を進めながら町を眺める。


コロシアムを中心に大きな通りが4本あり、その間に建て物や小さな通りが有る。

北の通りは貴族街なのだろう、建て物が豪華だ。

その他は平民が住んでいるのだろう、統一感のある旧ヨーロッパで見られたような赤レンガの建物が並ぶ。



「さーて、冒険者ギルドはどこかな、っと」


「ひひーん(喉が渇いたっす)」


「ん? それじゃ、先に宿を確保しようか」



近くの馬小屋付き宿の前で停める。

町の探索にはゲーム時間で1日は必要だろうから、宿を利用する必要がある。


別に町の外で野宿してもいいのだけど、あまりそれをすると門番に怪しまれる。

目立つことはしたくない。


宿の扉を開ける。



「すみませーん」


「はい」



若い女性が出てきた。



「宿を1泊。馬の世話と3食付きで」


「3000Gになります」


「ほい」



名前を書いて、宿代を払った。

残り1000Gしかない。

ま、お金の当てはあるのだけど。



「あちらの馬ですね。鍵は外出の際にフロントへお預けください。

ごゆっくりどうぞ」



階段を上がり、部屋に入る。

うーむ、狭い。

本当に寝るためだけの部屋って感じ。


部屋を出て階段を降り、フロントに鍵を預け外へ出た。


馬は馬小屋にて水をがぶがぶ飲んでいる。



「ひひん(あ、もう準備OKっす)」


「馬を使うよー」


「畏まりました」



世話係の少年が馬をひき、私に手綱を渡す。


「さて、冒険者ギルドへ行きますか。

少年、どこにあるか知ってる?」


「コロシアムのやや南に、剣と盾の看板があります。

そこが冒険者ギルドです」


「どうもありがと」



馬に乗り、冒険者ギルドを目指す。



◇ ◇ ◇ ◇



冒険者ギルドの前に馬を停め、手綱を駐馬スペースの棒に括りつけて、中に入る。


中は食堂になっているらしいが、今の時間帯は昼3時くらいなので、雑談スペースと化している。


私は受付に直行し、さっさと要件を済ませることにした。



「冒険者ギルドに登録したいのですが」


「少々お待ちください。登録料は1000Gです。ここに名前を記入していただけますか?」


「ソフィアっと」



この世界の人間の識字率は100%なので、別に字が書けるからといって驚かれたりはしない。



「では冒険者カードを渡します。

二重登録は重犯罪、再発行は10,000G必要なのでお気をつけください。

ソフィアさんのランクはGです」



冒険者プレイをする人は、ここからランク上げを一所懸命頑張るのだろうけど、私はランクなぞどうでもいい。

それより情報の方が大事だ。


ギルドの掲示板に移る。

依頼情報の他に、ダンジョン情報や周囲の地図などが載っている。


ふむ、私のダンジョンはまだ見つかっていないようだ。

お、町の近くに1つ、私のとは違う、プレイヤーの物と思しき侵入不可のダンジョンが有るらしい。

侵入不可のダンジョンは保護期間中のダンジョンであり、ほぼ間違いなくプレイヤーのダンジョンだ。

たまに運営が準備中のイベントダンジョンの場合があるけど。


私はメニューを開き、スクリーンショットを撮る。

メモなんてとらなくても、ボタン1つで画像保存しておけば、後から読み返せる。

ちなみに録音や録画機能もある。


ゲーム実況者は専用ソフトを立ち上げなくても良いので、非常に助かるらしい。

今のところ日本では実況者が1000人超えをしているので、優良動画を発掘するのは大変そうだけどね。

ま、そのうち納まってくるはず。


スクショを撮ったら、次は金策だ。

この町で暮らすつもりはないけれど、商人から買い物をするための金が欲しい。

何でもかんでもDPで買うのは、リアルマネーがいくら有っても足りない。


ってことで、ギルドの買い取りカウンターにゴー。

今のところ役に立っていないインゴット類を売るのだ。

物陰に隠れてインゴットを取り出し、買い取りカウンターへ向かった。

重い。



◇ ◇ ◇ ◇



「金のインゴットx1、銅のインゴットx2、鉄のインゴットx2、ダイヤモンド原石x1、緑鉄のインゴットx1ですね。

合計103,840Gとなります」



インゴット類を売り払うことにした。

1つあたりのおおまかな市場値段は、金のインゴットが80,000G、銅のインゴットが3,000G、鉄のインゴットが5,000G。

ダイヤモンド原石が50,000G、緑鉄のインゴットが30,000Gといったところかな。

もちろん価格変動で買い取り値段は変わる。


ギルドの買い取りコーナーでは、市場価格の5割程度で買い取りを行っている。

何でも買い取ってくれるわけではないが、よほど変な物や使い物にならない物でない限りは買い取りしてくれる。



「買い取り価格の各詳細を希望されますか?」

「いや、いらない」

「では、こちらお金になります」



この場所で、お金をアイテムボックスに収納してはいけない。

アイテムボックスはダンジョンマスターしか使えない能力だ。

ここで使ったら怪しまれる。


というわけで、貰ったお金はそのままポケットに収納。

荷物を仕舞うための袋が欲しいなぁ。

ま、物陰に隠れてアイテムボックスを使うんだけどね。



◇ ◇ ◇ ◇



町に出て、必要最小限の小物を購入することにした。


サイフ2,800G、携帯ナイフ5,000G、服14,000G、背負い袋3,500G。

これで手持ちの残りは78,540G。

買い物をしていると夕刻(ちなみにゲーム内の時間経過は現実世界の5倍)になった。


馬に乗り、そろそろ宿に行こうかと思っていたら、黒髪ポニーテールの少女が入ってる檻を引く馬とすれ違う。



「うわーん! 出してくださいー!

私ダンジョンマスターですけど、何も悪い事してないですー!」


「黙れ! 人間の敵、ダンジョンマスターめ!

よくもノコノコと現れたものだ!

一生牢獄の中に居るが良い!」


「そんなー?!」


「……」



どうやら、馬鹿正直にダンジョンマスターを名乗って捕まったプレイヤーさんらしい。


一応詰み防止機能として、敵対NPCに一定時間拘束されている場合は自分ダンジョンへワープ出来る。

まあリアルで2日くらい経たなければ駄目なのだけど。


さーて、宿に戻りますか。


え? 助けないのか、だって?

やだよ、他人の尻拭いなんて。

面倒くさい。


いずれ町を敵に回すつもりだけど、それは今じゃない。

攻めるのだって準備というものが必要だ。

どこを攻め滅ぼすと旨みがあるか、どうやって攻撃するか等、下調べが必要なのだ。


私は宿の自室へ帰り、一眠り。

ゲーム時間内の翌朝になる。


宿をチェックアウトし、馬に乗って町を適当に見回る。

しばらく馬を走らせた後、町の外に出て、外で待機していたスライム達、おもちとおはぎと合流。



「ぶにょにょ(ソフィアの姉御! 町はどうだったんだ?)」


「んー、微妙。はずれだね。攻めても旨みが少なそう」


「ぶにょーん(お姉さま、これからどうするの?)」


「ダンジョンに帰ってログアウトするつもり」



スライム達を私の後ろに乗せ、自分のダンジョンまで馬を走らせる。

そしてダンジョン内でログアウトした。


なぜダンジョンに戻ったかというと、DPによる買い物は自分ダンジョン内でのみ可能だからだ。

明日は課金予定だもんね。


ついでに毎日ボーナスも自分ダンジョンで手に入るよ。

ダンジョンをほったらかしにするな、という運営の熱いメッセージなんだろう。



◇ ◇ ◇ ◇


本日の結果。

所持:1,800DP

78,540G


「サイフ(レア度E)」

「携帯ナイフ(レア度E)」

「服(レア度E)」

「背負い袋(レア度E)」

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