表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/15

7.強奪と町


ここは学校。

今日の実験はカエルの解剖だ。


解剖した後、主な臓器の名前、働きを理解すればクリア。

帰ることが出来るというわけだ。


私はちゃっちゃと解剖を済ませ、先生の試問を受ける予約をする。

しばらくすると私の名前が呼ばれた。


「次、土倉花さん」

「はい」

「この臓器は?」


赤い三角形っぽい臓器。


「肝臓です。解毒、栄養の合成分解貯蔵など代謝、胆汁の生成、クッパー細胞による免疫といった機能があります」

「よろしい、ではこの臓器は?」


丸いドックンドックン動いてる臓器。


「心臓です。全身に血液を送るポンプ機能があります」

「他に?」

「……分かりません」

「内分泌機能もあるのです。まあいいでしょう。92点です。

合格です。気を付けてお帰りください」


1時間ほどで、学校の実習を終わらせ、帰ることにした。



◇ ◇ ◇ ◇



自宅に帰った。

さっそくMDOを始めよう。


私はトイレを済ませた後、ヘッドギアを被り、ベッドに寝転がる。

ゲームの世界へと、飛びこむ。


――――――――――――――――――――――――

毎日ログインボーナス:+500DP

所持:1,300DP→1,800DP

――――――――――――――――――――――――


視界が暗転し、うす暗い洞窟内へ現れる。

私のダンジョンだ。


――――――――――――――――――――――――

入手 ダイヤモンド原石x1、鉄のインゴットx1、緑鉄のインゴットx1

――――――――――――――――――――――――


採掘所Aでインゴットを回収していると、白黒の2匹のスライム、おもちとおはぎが迎えてくれた。


「ぶにょにょ(うぃーっす!)」

「ぶにょーん(ソフィアお姉さま!

今日の予定はどうするの?)」

「街道を西に進んで、町を探そうか」


ちなみにプレイヤーは方角や座標が分かるため、道に迷ったりしない。

よほどの方向音痴とかでない限り。


「よーし、おもち、おはぎ、準備してー」

「ぶにょにょ(準備なんていらねぇ!)」

「ぶにょーん(私達、装備もアイテム使用も出来ないからねぇ)」


そういや、スライム系はそんなデメリットもあったっけ。


「ならすぐに出発しますか」

「ぶにょーん(行きましょう)」

「ぶにょにょ(おうさー!)」


私達は洞窟を出て、街道へ向かった。



◇ ◇ ◇ ◇



街道沿いを歩いていると、馬に乗った、鎧に身を包んだ5人組の兵隊さんを見かけた。

おっと、こちらに気付いたらしい。


「止まれ! 貴様、何者だ!」

「ただの町人ですよー」


馬から降りた兵隊さん達が近づいてくる。

スライム達は草の陰に潜伏している。

このあたりの草は背が高いので、そうそう見つからない。


「最近、この付近に賊が居るそうだ。

念のため、冒険者カードを提示したまえ」

「私、冒険者じゃないよ?」

「ほぅ、ならばその上等な鎧はどういった理由で所持している?」


しつこく絡んでくる兵隊さん。

うざいなぁ。


私はパチンと指を鳴らす。


「?」


じゅううううう!


「うぎゃぁぁあああ?!」


肉の焦げた臭いと、兵隊さんの悲鳴。


「何ごt……ああぁぁぁあああっ?!」

「いったいどうし、くそっ!

野生のスライムの奇襲だと?!」

「ええっ?! スライム?!」


先ほどの合図は、スライム達への攻撃合図だ。

酸液によって、あっという間に3人を死体に変えてしまう。


「兵隊さん! 大丈夫ですか?!」

「何を白々しい! 貴様さてはダンジョンマスターだな?!」

「……チッ」


カシュン! カシュン!

残り2人の兵隊さんのボディに、矢をプレゼントした。

あの程度の装甲なら、このクロスボウと矢の性能ならば鎧ごと体を貫通出来る。


「ぐっ……くそっ……」


兵隊さんたちの死体が消え、ドロップアイテムが現れる。

おっ、お金も落とした。

NPCが使っているお金はゴールドだね。

所持金の10分の1がドロップするはずだ。

……って、この前の冒険者2人は一文無しだったのだろうか。


――――――――――――――――――――――――

以下のアイテムを入手しました。

「薬草x8(レア度E)」

「良質の鉄鎧x1(レア度D)」

「良質の靴x1(レア度E)」

「ヒトの肉x4(レア度E)」

「ヒトの骨x2(レア度E)」

「7,000G」

――――――――――――――――――――――――


今の兵隊さんを見て分かる通り、ダンジョンマスターは基本的に人類の敵だ。

ただし、ダンジョンマスターに好意的な種族も居る。

例えば黒いエルフ族、通称ダークエルフや、角と尻尾を生やした魔人族など。


ダンジョンマスターが人類と仲良くしたい場合、自身がダンジョンマスターだとばれないプレイを心がけなければならない。

ま、今みたくこちらから積極的に攻撃をしかけたり、魔獣を引き連れたりしなければバレないことが多い。


ただし、私に殺されたNPCは、復活してもそのことを覚えている。

つまり、彼らに見つかったらダンジョンマスターだとバレて面倒なことになるのだ。


ではなぜ、彼らを殺したか?

見ていただきたい、ここに居る5匹の馬を。

随分と大人しい、良い子達じゃあないですか。


町で馬が欲しいと思っていたところだったから、丁度良い。

いつまでも歩きで世界を探索するわけにはいかないからね。


「さて、これ以上装備云々で絡まれないように、初期装備に着替えておきますか」


ボタン1つで麻の服に着替える。

そして馬に乗る。

スライム達も私の後ろにポヨンと乗る。


本物の乗馬なんてしたことないけれど、そこら辺はゲーム。

くらも無しに、普通に乗ることが出来る。


「残りの4頭の馬はオークションにかけておこうか」


世話するの面倒だし。


メニュー画面から、オークションを選択。


オークションは、一人5品まで出品することが出来る。

24時間、あるいは出展者が指定した金額に達したら落札される。


「盗んだ馬1頭、開始価格5,000DP、オークション打ち切り価格100,000DPっと。

これを4頭分出品、よし」


馬4頭が消えた。

ちなみに落札者が居なかった場合は、元の状態で戻される。


「ついでにイベント武器も流しておこうか。

狂虎天龍槍きょうこてんりゅうそう・対霊有効付き、開始価格5,000DP、打ち切り価格100,000DPっと」


イベント武器自体は珍しいものではないが、対霊有効は有用なので、欲しい人は欲しいはず。

ま、さっさとオークションで落札されてDPに換えられることを祈っていよう。


馬を走らせ、街道に沿って進む。

スピードは時速40kmくらいだろうか。


「ぶにょにょ(うひゃー! この振動がたまらねぇー!)」

「ぶにょーん(ちょっと! その汚い触手を仕舞いなさいよ!)」


後ろの2体が騒いでいると、ようやく町が見えてきた。


さすがにスライムは連れていけないので、2体は外で待機だ。


「止まれ。何者だ」


門に居たのは人間の男。


人間の町かぁ。

魔人族の町なら仲良く出来たかもしれないのに残念。

せいぜい利用して絞り取った後、滅ぼされるだろう。

私や、私以外のダンジョンマスターによって。


「しがない旅人です。愛馬を連れて、旅をしています」


「荷物を見せろ」


もちろんクロスボウや矢、その他アイテムはアイテムボックス内に収納してある。

人の骨なんて見せたら何言われるか分かったもんじゃないからね。


「……ふむ、問題なし。

通行料は3000Gだ」


「通行料って、町の人も取られるんですか?」


「出る時は取らないが入ってくる時は取る。

しかし、町人や冒険者ギルド所属なら100Gで済む。

あんたも冒険者ギルドに登録しておけばいい」


「はーい」



高い通行料を払い、人間の町に入る。

さっそく冒険者ギルドに登録しに行かなきゃ。

他所のダンジョンの情報が入手出来るかもしれないからね。



◇ ◇ ◇ ◇


本日の結果。

所持:1,800DP

4,000G


「ダイヤモンド原石x1(レア度C)」

「鉄のインゴットx1(レア度D)」

「緑鉄のインゴットx1(レア度C)」


「薬草x8(レア度E)」

「良質の鉄鎧x1(レア度D)」

「良質の靴x1(レア度E)」

「ヒトの肉x4(レア度E)」

「ヒトの骨x2(レア度E)」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ