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13.孵化


翌日、私は朝食を取りにコンビニへ向かった。


コンビニの建物の上方には、宇宙へと続く物資輸送エレベーター、同じく物資輸送真空チューブが伸びている。

大きい物や割れやすい物、繊細な物などはエレベーターを使って運ばれる。

その他の物は、真空チューブが使用される。


真空チューブ便のコンビニ受け取りを利用し、栄養バーと牛乳の箱詰めを受け取った。

注文した物は、宇宙にある倉庫からすぐに地上へと送られる。


私は家に帰り、箱を開ける。

栄養バーと呼ばれる、スティック状の携帯食料をボリボリ食べる。

そして200mlの牛乳の紙パックを開けて、飲む。


――――――――――――――――――――――――

……もっときちんとした朝食を摂るべきでは?

――――――――――――――――――――――――


人工音声さんに心配されるが、別に栄養的には問題ない。


自炊って一人分だけだと、よほど工夫しない限り意外とお金かかるんだよね。

単に私の女子力が足りないだけなのかもしれないけど。


なので私の食事は、もっぱら外で買うことにしている。

あミャぞんプライムに加入してるから送料無料!

さらに、届いたのは訳あり商品なので、かなり安価!


浮いたお金?

課金に使いますが何か?


さて、朝の勉強プランに取り掛かる前に、MDO攻略W○KIを調べますか。



「コマンド、ブラウザ『狐ちゃん』起動。MDO攻略W○KIを開いて」


――――――――――――――――――――――――

コマンド受理しました。

『狐ちゃん』を起動、MDO攻略W○KIを開きます……

――――――――――――――――――――――――


さて、さて。

目新しい情報は……おっ。



「孵化にかかる時間って、そんなに短縮されたんだ!」



バージョン1.0.1アップデートによれば、卵の孵化にかかる時間が、最適環境で短縮されたとのことだった。

その具体的な数値に関して、熱心な先駆者達によって調べられた。


以前までは、一律でリアル時間3日かかっていた。

それが、ゲーム内時間で最短3日で済むようになった。


ちなみに、ゲーム内時間5日=リアル時間1日である。

つまり、5分の1に短縮されたということになる。



「ってことは、私の卵、もう孵化してる?!」


――――――――――――――――――――――――

ゲームは、勉強が済んでからにしましょうね。

――――――――――――――――――――――――


「ちょっとだけ! 5分だけでいいから!」


――――――――――――――――――――――――

勉学を疎かにしていると、ご両親へ報告しますよ。

――――――――――――――――――――――――


「人工音声さんのケチー!」



私は、レア魔獣が孵化したことを期待して、午前中は一所懸命に勉強した。


そして昼休み時、ゲームにログイン。



(12話の惨状へ続く)


すぅぅうううううっ。



「ざっけんなコラーー!」



MDO4日目、私は洞窟内で思いっきり叫んだ。

こうでもしなきゃ、やってられない。


もちろんゲーム内は、何をしても近所迷惑にならない。

リアルでストレスが溜まっている人は、ゲームにぶつけよう!

そのゲームをしたせいでストレスが溜まる? 知らんな!


――――――――――――――――――――――――

毎日ログインボーナス:+500DP

所持:319,900DP→320,400DP

――――――――――――――――――――――――


孵化して間もないスライム達は、ぷるぷると不安そうにしていた。

ごめんね、君たちが悪いわけじゃないのにね。


おーけぃ、切り替えていこう。


私は卵を合計21個孵した。

レア魔獣は出なかった。

確かに残念だった。


しかし、レア魔獣だけが魔獣なのではない。

見よ、このスライム達の種類を!


――――――――――――――――――――――――

卵が孵化し、以下の魔獣が仲間になりました。

「プチ・スライムx9」

「スライム・ダブルハンド」

「スライム・ダンサー」

「スライムx5」

「スライム・シーフ」

「スライム・シスター」

「スライム・ウィザード」

「スライム・ソーサラー」

「スライム・タンク」

――――――――――――――――――――――――


腕を2本持つ、スライム・ダブルハンド。

茶色の彼は、何とプレイヤーと同じく、武器を装備する事が出来る。


スカートのピラピラのような物が付いた、赤い体のスライム・ダンサー。

彼女は、味方にバフを付与するのが得意だ。

対人戦では、かなり重要な立ち位置になるだろう。


スライムは、初期に居た彼と同じ。

スライム・シーフとシスターも、おはぎやおもちと同じだ。


スライム・ウィザード。

青色の彼は、攻撃魔法を使う事が出来る。


スライム・ソーサラー。

紫色の彼は、敵にデバフを付与する事が可能だ。

この子も、対人戦で輝くことだろう。


スライム・タンク。

黄色の彼は、今回の一番の収穫かもしれない。

何せ、私はガンナー。

タンクが居ると居ないとでは、戦略が大違いだ。


よし、せっかくたくさんDPがあるから、景気良くやっちゃいますか!



「スライム・ダブルハンド、スライム・ダンサー、スライム・シーフ、スライム・シスター。

スライム・ウィザード、スライム・ソーサラー、スライム・タンクをお助けキャラとして登録」


――――――――――――――――――――――――

以下の魔獣がお助けキャラになりました。(20,000DPx7):-140,000DP

所持:320,400DP→180,400DP

「スライム・ダブルハンド」

「スライム・ダンサー」

「スライム・シーフ」

「スライム・シスター」

「スライム・ウィザード」

「スライム・ソーサラー」

「スライム・タンク」

――――――――――――――――――――――――


ダンジョンの魔獣は、1体につき20,000DPでお助けキャラとして登録を行うことができる。

お助けキャラ登録した魔獣は、ダンジョンの外へ出る事が出来る。


外に出るのは、何もプレイヤーに付いていくことだけが目的ではない。


ダンジョンの外の探索、周囲の警戒、役に立つ物の採取など、色々な事を任せることが出来るのだ。



「名前決めるよー。ダブルハンドは、茶色だから『チョコ』で。

ダンサーは『赤ワイン』。シーフは『おはぎ2号』。シスターは『おもち2号』。

ウィザードは『ラムネ』。ソーサラーは紫芋っぽいから『おいも』。

タンクは『カレー』。異論は認めませーん」



言いつつ、ダブルハンドのチョコに錆びた銅剣を2本渡す。



「チョコ、赤ワイン、おはぎ2号、おもち2号、ラムネは、チームを組んで、ダンジョン周囲の探索をお願いね。

で、私と一緒に来るのは、おいもとカレーね」



スライムと、プチ・スライムが「ぶにょ(ボクらは?)」と尋ねてくる。



「君たちは、ダンジョンの警護よろしく!」


「ぶにょり(イエス・マム!)」



ぽより、ぽよりと、スライムとプチ・スライムは散らばった。


さて、と。

そろそろ人工音声さんに怒られそうだ。

ログアウトして、午後の勉強プランに取り掛からねば。



「じゃあ、皆、また後でねー」



私はログアウトし、ヘッドセットを外し、体を伸ばした。


それから、夕方まで勉強を始めるのだった。



◇ ◇ ◇ ◇


本日の結果



――――――――――――――――――――――――

ダンジョン名:『スライム天国』

ダンジョン傾向:水の洞窟

ダンジョン階層数:5

ダンジョン内魔獣:お助け9その他16

ダンジョン階層ボス:1

所持:180,400DP

78,540G

――――――――――――――――――――――――




例によってストックはありませぬ。

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