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短編置き場(異世界以外)

六股先輩の観察日記

作者: 斎藤くん

 俺が社会人になった頃、六股交際をしていた先輩がいた。

 最近では、二股や三股が問題になっているが、それどころではない。

 六股である。

 月曜日~土曜日まで女性と付き合っており、日曜日はお休みらしい。

 ちなみに毎日でなはないが、月曜日に会う人、火曜日に会う人といったように曜日ごとに会う人を決めていた。

 俺はそんな六股先輩をリアルタイムで見ていた。



──────



 【六股先輩の見た目】

 同性の俺が言うのもなんだが、六股先輩は格好いいし仕事が出来る。

 下手な芸能人よりも格好良かった。

 現に店で一緒に働いていた時も、お客さんからよく格好いいですねと言われていた。

 ちなみに言われ慣れていたのか、さらっと流している。そこも良いらしい。

 で俺? そういえばいつもダシにされていたなあ。

 俺、並だし……並かなぁ。

 とりあえず一緒に並ぶと引き立て役になったね。



──────



 【六股先輩の主義】

 六股先輩は、女の子と付き合う為に金を稼いでいた感じがあった。

 で、その先輩のまだ許せる所は女性にたかっていなかったことだろうか。

 飯やらデート代は全て先輩が出していたと言っていた。

 変にプライドも高かった。

 で、旅行に行ってはちゃんと人数分のお土産も買っていた。

 クリスマスプレゼントなども全員分買っていた(全部同じ物)。

 ちなみにそれまでに付き合っていた女性全員から、告白してきたと言っていた。

 で、月曜日から土曜日までの六人までなら大丈夫と言っていた。

 ただ六人居る場合には、付き合っている彼女がいるからと断るそうである。

 俺には理解の出来ない話である。



──────



 【六股先輩の苦労】

 六股先輩に「デートとかどうするんですか?」と聞いてみた。

 聞いたところ、映画は同じ映画にしないとボロが出るから同じ映画を六回見ると言っていた。

 ただ三回目以降飽きるから眠らないでいるのが大変とのことだ。

 で、あとデートなども同じ所に行くと言っていた。

 間違えて行ってない所へ行ったと答えると修羅場になりそうだから注意しているとのことである。

 ちなみに六股先輩のよく言うキーワードは『修羅場』である。

 この『修羅場』というのを心の底から恐れているのだ。

 で、次がミソである。

 六股先輩は、彼女の名前を普段言わないのだそうだ。

 六股先輩は恐れていたのだ。間違って違う人の名前を言うことに。

 ────ていうか、何度か間違ったことがあって大変な目に合ったからと笑ってい話していた。

 ちなみに、口を滑らせた時の答えは店の従業員の名前とごまかしたらしいが、余計な出費と気苦労が増えたと愚痴っていたが、それは自業自得だと思う。



──────



 【六股先輩の後輩への悪行】

 ぶっちゃけ俺に対しての事である。

 六股先輩は、何かにつけ俺の名前をダシにしているようだ。

 飲み会に行く時やクリスマス関連など俺の名前を使う。

 いや名前だけじゃない。

 飲み会、クリスマスなどのイベントは何故か俺と六股先輩で過ごすことが多い。

 特にクリスマスイブとクリスマス当日は毎年一緒である。……一緒に仕事の残業である。

 クリスマスを潰すために無理やり残業をしているといって過言でない。

 他の従業員にクリスマス休暇をあげ、六股先輩の本質をしっている俺と深夜まで残業である。

 六股先輩曰く「いや、クリスマスって誰と過ごしていいかわからないじゃないか?」と。

 そういえば、クリスマスに彼女たちから電話があって三人ほど俺と会話したっけ。

 一言二言話しておしまいだったが、あれもとばっちりだよな。

 



──────



 【六股先輩と修羅場】

 そんな六股先輩がある日打ちひしがれていた。

 「どうしたんですか?」と聞くと、六人の女性と付き合っているのがばれたと言っていた。

 一人バレたら芋づる式に全員にバレてみんな別れたと言っていた。

 で、「買ったノートパソコンも返してくれない」と言っていたが、俺からすると当たり前のよっちゃんである。

 「人形とかは投げて返したのに……何でノートパソコンや掃除機は返してくれないのかな」と、どうやら値段の安い物は投げ返されたらしいが、高価な電化製品などはちゃっかり自分の物にされたらしい。六股先輩と付き合った女性もかなりしたたかというべきか。

 で、全員にビンタを喰らったらしいが、六股先輩的にはビンタをしたんだからノートパソコンは返して欲しかったらしい。無論、その場では言えなかったらしいが。

 ちなみに六股先輩の彼女たちは全員一人暮らし。で、六股先輩は実家暮らし。一人暮らしにすると家に来ると困るから実家暮らしにしているそうだ。変に計算高いのも考え物である。

 その六股先輩、学業の方も優秀である。県内有数の進学校に通っていたが、バイト先で働いていたら学業よりも働く方が楽しいと言って大学に行かずにバイト先へ就職してしまったという親泣かせな一面を持っている。まあ親だけじゃなかったのだが。



──────



 【六股先輩の新たな道】

 六股先輩と付き合っていた彼女たちは美人だった。

 で、六股先輩はノートパソコンを返して貰えなかった……ビンタして振られたことがキッカケで美人な人が苦手になった。

「斎藤くん(俺)、やっぱ女性って顔じゃないんだ。心なんだ。ほら、オッパイも寝ると余程じゃない限り変わらないじゃん」

 六股先輩がよくわからない迷言を言った。

『寝ればほとんどのオッパイが一緒』

 この人はどこに向かって行くのか他人事ながら不安になった。

 で、俺の予想が当たることになる。

 そこから六股先輩は、美人からだいぶ外れた人が好きになった。

 しかも受動態から能動態に変わった。

 なんで痛い目にあったのに、行動的になったのか一般人の俺には全く理解が出来ないが、六股先輩曰く

「斎藤君、自分から動かないと何も変わらないんだよ」

 本当にどこに行くのか不安いっぱいであるが、傍から見ている分には面白いものである。

 けれど世の中、そんなにうまく話がいくことはない。

 六股先輩はイケメンである。

 これがネックになったのだ。

 なんで格好いい人が私にアピールしてくるのか?

 告白された女の子が不安に思ったのだ。

 騙されているんじゃないか?

 六股先輩からすると本気だが、彼女からすると不安いっぱいである。

 けれどそこは六股先輩。

 今まで付き合っていた女性の人数が違う。ケタがそれこそ違うのだ。

 結局、彼女は不安を抱えながら付き合うことになった。

 珍しいことに本命を決めたようである。




──────



 【六股先輩の結婚】

 で、まさか俺も六股先輩が、その子(本命)と結婚するとは思わなかった。

 道中にあった浮気の数は俺の知っているだけで三人いた。

 ちなみに俺と先輩は店が違ったので時々会うだけだ。

 それでも三人居た。女の敵である。

 で、他の女の子と付き合いながらの結婚である。

 ぶっちゃけ六股先輩の悪い病気である。

 ただ六股先輩は、この病気さえなければ完璧超人である。

 まあこの病気が深刻なのだが……。

 結婚式当日の日(俺も当然呼ばれた)、花嫁の友達が六股先輩を見て大興奮。

 「格好いい!」と。

 で、最近格好いいとあまり言われていないのか、六股先輩も嬉しいらしく、友達一人一人と記念撮影。

 ……ってか、それでいいのか結婚式? 俺の微妙な不安はどうも杞憂に終わったらしく花嫁も自分の旦那が格好いいと言われて嬉しいらしい。だからしょっちゅう浮気されているんじゃないのか? と思ったが、それを言うと大変なことになるから言わない。

 俺の口は超固いのだ。だから六股先輩も安心して喋るのだろうが。

 実際、言うと俺にも多大な被害を被るから言わないだけなのだが。我が身こそ一番可愛いのだ。



──────



 【六股先輩の現在】

 その後、たまに会うと六股先輩は独身っていいよね! と口にしているが、かれこれ結婚して十年経つが離婚して独身になる兆しはない。

 すでに子どもも三人も生まれているし。

 まあ当然というか、悪い火遊びも続行中らしいが。



──────



 で、ここで俺の結論。

 やっぱ人の本質は結婚しても簡単には治らないんだなぁと。

 子ども生まれてもそう簡単には治らないと。

 そんな人と付き合ったら、覚悟しないといけないね。

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