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歴概念なし、ラングナハト2

テストが忙しすぎなのです。

十八:歴概念なし、ラングナハト2





「…それは本当ですか?」

「…はい。…と、ティナさんは見ていないのですか?おれが気を失った時、そこにいたんですよね?」

「…いえ。」


(…それはおかしな話だ。あの光は永遠についえることが無い、と由里子は言っていた…。あの場所に着くのに多少の時間差があったとしても、ティナさんが光を見ないわけは無い…。それとも半分夢うつつだったのか…?)

 そもそも、世界を渡る仕組みがわかっていない彼にとっては、あの『光』が本物かどうかなど、確かめようもなかった。


「…しかし、もしヒロさんが本当に光を見たのだとすれば、それは重要な手掛かりです。 そのことを自己紹介ついでに、後で皆さんに話していただけますか。」


 今一つ自分の見たものに自信が持てないヒロだったが、とりあえず了解した。





 それからしばらく経って、一番大きなテントに村人が集まり、会議のようなものが開かれた。



「さて、今日集まったのは、この村にしばらく同行するものが現れたからです。」

 一番年長と思われるじいさんが始めに話し出した。

「ちょっとこっちに来て、自己紹介などしてもらえるかな。」

 そう言われると、ヒロシはテントの中央に出て、自己紹介を始めた。


「どうもはじめまして。ヒロシと言います。ヒロと呼んでください…。」


彼は自分が『呪』をかけられて移動させられたうえ意識を失ったらしいことや、気を失う直前に光を見たことなどを話した。

「…ふーむそれが本当だとしたら、我々の終着点は近いのかもしれん…。」


「ただ、先程ティナさんは見てませんと言っていましたし、もしかしたら半意識の中で見た夢だったのかも…。」と、ヒロは自信なさげに言うと。


「本当ではないかもしれん。しかし、それは本当かもしれないと言うことだ。確かめる価値はあろうな。なに、代々に渡って旅をしてきたわしたちだ。今更徒労だった所でそれを徒労と思う感覚すら失っている。ティナ、ヒロを見つけた場所は覚えておるかね。」


「はい。だいたい。あれはここから西にある平原の端の方。森の木の実を取りに行く途中に見つけたのです。

 それほど遠いところではありません。」


「では、この会議が終わったらとっとと出発してしまおうか。おっと、自己紹介がまだだった。わしは長老のアルベウス=ラクシュウェル。よろしくな。他の者も自己紹介してくれ。」

と、言うと村人は年寄りそうなほうから若そうなほうへ順に自分の名前を言って挨拶した。

 ティナは若い方から五番目。小さな子供を除けば一番若いようだ。


「では、出発準備を。」





 この世界は、おれと同じ人間に思われるような動物がいる他は、おれがいた世界と全く違う…。 たくさんの家畜と荷物と数十人の列に混じって道なき原野のようなところをひた進む。

 植物は生えているけど、暗闇のせいか、そもそもそう言う色なのか、真っ黒に見えて、葉っぱらしきはなく、ただにょきにょきと膝の高さくらいまで伸びている。

 空には雲が一つもない。ただ満面の星空だけが広がっている。よく見ると、お月さまくらいの円い、ただ緑色の星が三つ四つ浮かんでいた。

 なによりも、一面の闇。あけることのない闇。無限の闇の中、ただ村人人の松明だけが、ぽっと、そこに列をつくっていた。それは確かに幾分まわりより明るかったけれど、かえって言い様のない寂しさ、闇に取り残されていることが一層感じられるがゆえの寂しさ、孤独…。


 言い様のない不安…。これが永遠に続くと云う不安。ラクシュウェルの人々が、『光』を求める気持ちが少しわかった気がした。


「あと、どのくらいなのでしょう。」

 ヒロは隣りにいたティナに話しかけた。

「そうですね、今迄歩いた距離の倍くらいでしょうか。」

 …と言われたものの、暗闇ばかりの旅路では、自分が幾何歩いたのかピンとこなかった。

 時間にしたって、時計もなにもない…。空を見れば……。

 …と、再び空を見上げて気付く。

(そういえば、もう随分たつのに、空は何にも変わらないな。あの月たちも全く動いていないようだ…。)

「あの、おれたち、歩き始めてからどれくらい経ちました?」

「さあ、どうでしょうね。」あまり興味がない風にティナが応えた。

「何か時間とかわかるものってないんですか?」

「時間?それはなんですか?」


 …やっぱり。

 この世界にはあの世界のようなはっきりした時間概念もないのだ。空の様子が全く変わらないのだから、それも無理のない話だが。

(誰が、より先に生まれたか、位の感覚しかないのか…。) 

それから更に、彼の感覚的には数時間歩いたころだった。


「この景色…。」

 光を追いかけることだけに意識がいっていたから、あまり覚えてはいないのだが、ヒロは何か自分がその時これに似た景色にいたような気がした。

(おれがあの時いた場所はもう近いのだろうか…。)

ありがとうございました。色々頑張っております。

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