苦悩か後悔か
読まない方がいい。
さっきまでは大丈夫だったはずなのに、生活の音が聞こえなくなってからはもうダメだった。
暗闇の中目を閉じても、脳裏に浮かぶのはなんてことのない暇な時間の思い出。
それが明日もまたやってくることを思うと、溜飲が迫り上がってくる。
――くそっ、眠れやしない……。
思考は寧ろ整っていた。
安心しろ、自分。明日も明後日もその次も、なんてことのない時間じゃないか。大丈夫、そんな時間は知らないうちに過ぎ去って、記憶からも消えて過去でさえなくなるさ。
分かっている。分かってはいるが、体は素直で正直だった。
頭が痛い。胃に溜まっている気体はなんなんだ。体が重い。
眠気と意思はあっても、体がーー脳以外の全てが、睡眠を拒んでいる。明日が来ることを、拒んでいる。
枕を替えても体勢を変えても、温度を変えても寝付けない。
時間には余裕があるものの、万が一を思うとさらに息が詰まる。
これが……アルバイトだと……!?
本当にごめんなさい。