壊滅!
はぁ、はぁ……
どうして?
みんな。
どうしちゃったの?
怖い……
「床下に逃げられない様に、平隊士達で固めて下さい」
山南さんが。
怖い顔。
「見つけたー!!」
私の前に。
平助が立ちはだかる。
「さあセイ、観念しなよ?」
「手間かけさせやがって!」
左之と新八も。
私を。
追い詰める。
どうして?
怖い、怖いよぉ
みんな、みんな。
いつもと違う。
私……
嫌われたの?
「うぎゃあぁぁああぁっ!?」
はぁ、はぁ……
何とか。
三馬鹿から逃げ出す。
「どこへ行くんですか? セイ」
冷たい声。
総司が。
私を睨む。
「あ! 山南さん、そっちに行きました!!」
夢中で逃げたら。
屋根の上。
「もう、逃がさんよ?」
烝が。
回り込んで来た。
どうして?
みんな、怖い。
「どわああぁあぁぁっ!?」
烝の脇をすり抜けて。
私は。
中庭へ飛び降りる。
そこには……
「良く来たなセイ、もう逃がさねぇぞ」
思わず。
土方さんの腕に。
飛び込んじゃった。
でも。
「さあ、行こうな」
低く、冷たい。
土方さんの声。
どうしちゃったの?
怖くて。
怖くて。
悲しくて。
震える私。
その私の首を掴んで。
目の前まで持ち上げると。
土方さんは。
唸る様に私に告げた。
「その糠味噌臭ぇ匂いが消えるまで、きっちり洗ってやるから覚悟しやがれっ」
お風呂。
嫌あああぁっ!!
土方がセイを抱えて、風呂場に向かうのを眺めながら山南が呟く。
「何故こんな事に?」
「どうやら糠床を開けっぱなしにしてたらしくて…… 申し訳ない」
頭を掻きながら、井上が話し続ける。
「そこに落ちて抜けだそうともがいて、糠だらけになった様で」
何とか抜けだしたセイは、興奮して屯所内を逃げ回った。
糠を撒き散らして……
全員総出で捕獲を試み、もれなく引っ掻き傷と噛み傷を貰う事に。
更に撒き散らした糠味噌を、掃除する羽目になり全員涙目。
「やれやれ、猫一匹に新撰組隊士が全員傷だらけですか……」
情けなさで精神的にも打ちのめされ、さしずめ壊滅寸前の様相。
これは、絶対に外に知られてはいけない……
最重要機密にしなければ。
心に固く誓う。
山南であった。
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