シルシ
「んー、黄色かな?」
これは井上源三郎……
源さん。
「そうですねぇ、白とか」
これは沖田総司。
「どうせなら、浅葱色なんて如何です?」
これは山南敬助さん。
「お、なるほど、良いじゃないか浅葱色」
これは近藤勇……
「緑とかは?」
これは藤堂平助。
「何にでもあう黒!」
これは原田左之助。
「黒は地味だろう、可愛らしく桃色とかどうだ?」
これは永倉新八。
土方さんが。
ウロウロしながら。
いろんな人に質問してる。
私は。
その後をついて行く。
何だろう?
土方さん。
何か悩んでるみたい……
土方さんは。
部屋に戻ると。
文机の前で胡坐をかき。
何か考えてる。
むー、私を見てくれない。
かまって欲しくて。
私は土方さんの。
広い背中に登ってみた。
すると。
綺麗な。
赤い結い紐が揺れる。
ゴクリ……
嫌ああぁ!
それ欲しいいぃん!!
私は堪らなくなって。
紐に飛びついた。
「いででで!! ばっ、セイ!! 爪を立てるんじゃねええぇ!!」
あうぅ……
怒られちゃった。
「もう、それで良いのでは?」
ん?
なぜか山崎烝が。
部屋の中に居る。
い、いつの間に!
「あ? あぁ、なるほど」
烝の言葉に。
何やら納得して。
私を見る土方さん。
「仕方ねぇ、行って来るか」
土方さんが立ちあがる。
「結局、甘いですね? 副長」
「うっせぇっ!」
土方さんが。
どっか行っちゃううぅ!
私もおおぉ!!
「セイはお留守番」
嫌ああぁ!
ついて行こうとしたら。
烝に捕まった。
「すぐ帰って来るから、良い子にしてろ」
むぅ……
ホントにすぐ?
仕方ないから。
烝に遊んでもらって。
「はぁー、セイは元気良すぎっ」
なんか烝が。
ぐったりしたところで。
ふて寝する事にした。
「……イ」
んん?
チリリン……
「セイ」
っ!!
土方さん!!
チリン……
「起きたか? 似合うじゃねぇか」
土方さんの。
優しい笑顔。
ドキドキするっ
ん? 似合う?
何が?
チリリン…… チリン……
大きな手が。
私を撫でる度。
小さな音がする。
何やら。
首に違和感が……
「お前も赤が似合うな」
赤?
ああぁ!!
私の首に。
小さな鈴の付いた。
赤い結い紐が巻かれてる。
「無くすなよ? お前がここのもんだっていう印だからな」
ひ、土方さんと。
同じ色おおぉ!!
嬉しいいぃん!!
私はおもいっきり。
土方さんに抱きつくと。
力いっぱい。
絶対に、無くしません!!
と、意志表示した。
「おまっ、毛を擦りつけるんじゃねぇ!」
……ちょっと。
不評だった。
「へぇ、赤かー、似合う似合う」
皆も褒めてくれて。
すっごい。
幸せ!
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