新しい人
少し。
人の増えた屯所。
新しい顔が。
私を見ると。
変な顔。
失礼な!
そんな中を。
私は。
ある部屋に向かって走る。
目当ての部屋。
障子に。
ちょっとだけ。
爪を立てて引き。
中を覗く。
「おや、セイちゃんいらっしゃい」
部屋の主に。
すぐ気づかれた。
所持を開けに来て。
私を。
部屋に入れてくれたのは。
最近。
籠りがちになった。
山南さん……
いつもの様に。
本を読む。
山南さんの。
膝の上でまったり。
みんなには。
見せないけど。
土方さんが。
山南さんを。
凄く心配してるの。
知ってる私。
ここに来るのが。
日課になった。
不意に。
どこからか。
近藤の。
笑い声が。
聞こえた。
誰かと。
話してる感じ。
煩いなぁ……
「どうしました?」
いきなり。
顔を上げて。
唸る私の頭を。
優しく。
撫でてくれる。
山南さん。
はぅ…… 気持ちいいぃ
「あの声は、伊東さんですね」
山南さんの。
呟きに。
思わず。
ムッとする。
伊東菓子太郎。
………………。
なんか。
違う気もするけど。
まあ、良いや。
伊東は。
山南さんや。
平助の知りあいで。
今、近藤の。
大のお気に入り。
でも。
そいつが来てから。
隊の中が。
なんか。
変な感じ。
土方さんが。
警戒してるから。
私は嫌い。
山南さんの。
知り合いだけどね……
うぅ……
やな気分。
全部。
近藤が悪いっ!
なんて。
不機嫌さを。
丸出しにしてたら。
「困りましたね」
と言う。
静かな声が。
優しい手と共に。
私の。
背に触れた。
声に引かれて。
振り仰ぐと。
優しい膝の主は。
とても。
複雑な笑みを浮かべて。
私を。
見下ろしていた。
「何としなければ…… いけませんねぇ……」
消えそうな。
呟きが降って来て。
私は。
首を傾げた。
山南さんは。
何も言わず。
ただ。
優しく笑って。
撫でてくれた。
まるで。
感触を確かめる様に。
ゆっくりと……
私は。
山南さんの熱を。
確認する様に。
あ泣かにすり寄ると。
膝の上で。
丸まった。
なぜか。
胸がざわざわ……
大丈夫だよね?
何が?
か、分からないけど。
不安な気がして。
その日はずっと。
山南さんに。
くっついていた。
大丈夫。
きっと……
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名前解説。
伊東=伊東甲子太郎
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