表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/26

舶来品


今日は。

土方さんと。

函館の町を。

お散歩。


いろいろ。

落ち着いて来たので。

改めて。

町の様子の確認。


結構。

賑やか。

人も。

お店も。

思ってたより。

いっぱい。


そして。

ここからだと。

僅かに香る。

潮の香り。


建物とか眺めながら。

ゆっくり歩く。

土方さん。


その土方さんを。

見上げて。

ついて行く私。


二人だけって。

感じで。

はぁ~

幸せぇん。


ずっと。

土方さんを。

見上げてて。




ゴチッ!




………………。

イタイ……


不意に開いた。

店の戸に。

派手に頭を。

ぶつけた。


外開きの扉。

恨みを込めて。

睨むと。




「あれ? ぶつかったかい? 済まないねぇ」




初老の。

洋服を着た。

見るからに品の良い。

男の人に。

抱上げられた。


ベストに。

蝶ネクタイ。

無闇によく似合う。

優しい笑顔に。

思わず。

見とれた私。


逃げ出す。

隙を逃して。

されるがままに。

店の中へ。


ひ、土方さんに。

おいてかれるううぅっ!!






カチ、カチ、カチ……


不思議な。

音の響く店内。


私は。

ぐるりと。

見渡してみる。

時計がいっぱい!




「お詫びに、煮干しでも如何かな?」




私を下ろしながら。

男の人が言う。


煮干しっ

いただきます!!


男の人が。

奥に消えて。

私は改めて。

店内を見る。


ん?

あれは何だろう?


テーブルの上から。

細い鎖が下がっていて。

そそられ……


いやいや。

気になって。

飛び乗ってみる。


あったのは。

銀色の。

まあるい何か。

すんすんと。

鼻を近づけたら。


カチ、カチ……


と、音がする。




「それは懐中時計と言うんだよ」




優しい声がして。

振り返ると。

煮干しが出され。

頭を撫でられた。




「サイズは6、純銀製のハンターケース、両蓋には華麗な花と鳥の彫金……」




シャラ……

男の人が。

それを持ち上げ。

華奢な。

鎖が鳴る。


パチン!


と、音がして。

蓋? が開く。

びっくりしたああぁ!


ビクッとした私に。

微笑みかけながら。

男の人はまた。

私の前に。

懐中時計を置いた。




「綺麗だと思わないかい?」




カチ、カチ……

規則正しい音。

蓋に刻まれた絵。


うん。

綺麗……




「ここに居たのか、済まねぇなウチの猫が邪魔して」




開いていた。

店の入り口から。

土方さんの声。


きゃああぁ!

探してくれたのねぇ!!


私は。

土方さんに飛びつく。

しっかり。

抱きとめて貰って。

幸せえぇん!




「あぁこちらこそ済みません、ドアにぶつかった様でお詫びをしておりました」




煮干し。

美味しかった!




「ん? 何を見てたんだ?」




私が。

テーブルに。

行きたがるのに。

気づいて。

土方さんも。

覗きに行く。




「どうやら、懐中時計を気に入った様ですよ?」




うむ!

音が心地好くて。

好きかも。




「懐中時計?」




――――――――――

――――――――

――――――

――――

――




「あれ? 土方さん、それは……」


「これか? 懐中時計だとよ」


「や、それは知ってますが。

土方さんが舶来品ですか?」


「おかしいかよ、便利だぜ?」


「……結構、合理的なんですね?」




書類を。

届けに来た。

魁くんと。

土方さんの会話。


銀色の。

綺麗な拵えの。

懐中時計は。

土方さんに。

うっとりする程。

よく似合う。


数日後。

魁くんとか。

イバハチとか。

コッソリ。

懐中時計を。

持ち始めた事。


私は。

知ってるもんね~




.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ