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摩訶不思議食堂のほっこり飯

今井淳平の正直に生きるためのほっこり飯

作者:修羅観音
最新エピソード掲載日:2026/03/22
10数年前、大学生だった今井淳平は、高地純也という男に導かれ、情報の速さを金に変えるネットビジネスの世界に足を踏み入れた。トレンドアフィリエイトで莫大な富を手にした彼は、地道に働く人々を「負け組」と見下し、万能感という毒に侵されていく。大学を中退し、実態のない高額コンサルティングで弱者を搾取し続けたが、未完成の商材を販売したことで悪行が露呈。師と仰いだ純也には即座に切り捨てられ、ネット上に住所や実名を晒された末にフィリピン・セブ島へと逃亡する。しかし異国でも居場所はなく、結局は這いつくばるように帰国。現在は東京の安アパートで、過去から逃れるように息を潜めていた。

30代前半となり、再起を懸けて挑んだ企業の面接で、淳平はかつての同級生・佐藤と再会する。今は立派な人事課長となった佐藤は、淳平の不誠実な過去と社会常識の欠如を冷徹に糾弾した。かつて淳平が顧客を突き放すために使っていた「退路を断て」「時間の無駄」という無責任な言葉をそのまま刃として突き返され、淳平は即座に不採用を告げられる。完膚なきまでに否定され、己の歩んできた道の醜悪さを骨の髄まで思い知らされた。

打ちひしがれてビルを後にした淳平の手に残されたのは、佐藤が手渡した交通費の封筒だった。そこには5,000円札と、「幸運を」というメッセージを添えた「777円」の小銭。自分を案じてくれた旧友の真っ当な優しさと、自らの情けなさに淳平は涙を流す。夜の公園で独り、かつて北海道の実家で母が作ってくれた、具がぎっしり詰まった温かなサンドイッチの味を思い出す。そんな彼の前に、銀髪にベレー帽という異様な風貌の少女「えらいこっちゃ嬢」が突如として現れた。彼女は淳平の空腹を見抜くように「えらいこっちゃ」と連呼し、夜の静寂を切り裂くような絶叫を上げる。淳平の止まっていた時間が、この奇妙な少女との邂逅によって、再び動き出そうとしていた。
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