第7話〜紫金国動乱〜
走る事数十分、中紫軍野営地に辿り着く思った通りいつもより数が少なく慌ただしい
「紫金国軍はやっぱり出払ってるな」
馴れた足取りで中央国軍の本部テントに向かう
「すいません、こちらから先は旅人には開放されてないエリアです」
「知ってる、でも今は非常事態だろ?総大将に会わせてくれ、レオ・アトラスが来たと言えば通じる筈だ」
訝しげな顔を見せつつ兵士が取り次ぎに行ってくれた
待つこと数分女騎士が駆け寄ってきた
「レオ!久しいな!」
「おう、相変わらず元気そうだなシルヴィー」
シルヴィー、シルヴィア·セントル中央国の王族の血を継ぎながら自ら廃嫡し前線に立つ事を選んだ女傑
「生憎今はドタバタしてましてもてなす事は出来ないのですが···」
「知ってる、紫金国で政変が起きたんだろ」
「既に耳に入ってましたか、ええ、原因は下部組織の暴発、第1王女であるリン様が行方不明となってます」
「あの、シルヴィア様、この方は···?」
と、気まずそうに声をかけてくる兵士
「この方はレオ・アトラス様、私の武術の師匠ですわ」
「教えた事なんて数えるくらいしかないがな」
「その教えてくれた事がどれも的確でしたのでとても恩を感じております」
「な、なるほど···」
ヒソヒソ「おい、シルヴィア様が女の顔してるぞ」
ヒソヒソ「馬鹿!聞こえるぞ」
聞こえてるっちゅうねん、まあシルヴィーの方は気付いてないからスルーするが
「そのリン様だが先程野営地と宿場町を繋ぐ街道で野盗に襲われている所を保護した、今は信用出来る冒険者に護衛を頼んで中央国まで送ってもらってる」
「まあ、ありがとうございます!では、その事を報告に来たのですか?」
「いや、紫金国の政変を治めるのに少しでも人手が欲しいだろうなと思って手を貸しに来た、俺はポーターで身軽だからこのまま紫金国まで向かいたい、転移魔法の使用許可を取りに来た」
「そんな、危険ですよレオ」
「危険でも行かなきゃならん、リン様を保護した瞬間から俺も当事者だ」
「···分かりました、転移魔法の使用を許可します」
「ありがとよ、またお土産品持ってくるわ」
「では、緑木国のコニャックを」
「了解、緑木国にも荷物があるから帰りに寄るわ」
そうして、本部テントの裏で魔法陣を描き魔力を流す
「魔力光が白い?」
見送りに来た兵士の1人が呟く
「【時空間転移】」
目を焼かんばかりに輝きを放つ魔法陣の光に飲み込まれるともう紫金国の裏道だ
シルヴィア視点
「あれ?あの男性が居ない···?」
「ああ、説明していなかったな、レオは特異な魔力を持ってるんだ」
「特異な魔力···あの白い魔力ですか?」
「そう、彼は【時空間の魔力】だと言っていた」
「時空間···ですか?」
「そう、なんでもその魔力を行使すれば時と空間を操れるのだとか、私も詳しいわけじゃないが···今頃レオは紫金国の地を踏んでいるよ」
「だから転移···そんなら魔法があるなら軍略が根底から覆りますよ!?」
「ああ、だがこの世界で時空間魔力の適正を持っていると確認されているのはレオだけだ、それに彼はみだりにその魔力を行使しようとしない」
「ああ、だからシルヴィア様に許可を取ってたのか···セントル家は彼の特異な魔力を知っていたのか···」
「ちなみに、これは特級国家機密だからな、口外したら物理的に首が飛ぶぞ、漏洩した一族ごと」
「ひえっ···墓場まで持っていきます···」
「よろしい」




