カラス屋 二
「まーた変な奴らを事務所内に入れやがって……、こりゃまた引っ越しか?」
「そういうことになるかな……、それとこれは俺のせいじゃない。こいつと…こいつと…」
そういうとカラスは一人一人の覆面を取っていく。
「こいつらだ。まぁ、大体予想はついていたけどな」
「へぇ……、こいつはめずらしいね」
サクラが物珍しそうな顔をし、カラスがため息をついた。その理由は目の前に倒れているカラスを襲った者たち全員が女だからである。
「女達だけでで襲ってきたのか、男がいないところを見ると『アマゾネス』の連中か」
「アマゾネス……、あぁ、あの女しか雇わない確か……Aランクの依頼屋か。すごいなカラス、お前明日からやばいぞ」
「まったくだな。原因はお前だが、しわ寄せは全部俺に来るもんな。でも今回も引っ越しするから当面は大丈夫だな」
さてと、とカラスが一息つくと、潰れた自分専用デスクから車のカギと、床一面に散乱している依頼書の中から今回の依頼書を取り出すとドアのない玄関に向かった。
「おい!こいつらはどうすんだ?」
サクラがカラスを襲ってきた女達を指差す。サクラに肩をつぶされた女の体は震えていた。
「これ以上そいつらに手を出したら、アマゾネスから死ぬまで俺もお前も狙われるハメになるぞ」
「……、それもそうか、確かにそれは面倒くさいな」
さっさと階段を降りて、自分の車のあるところに向かおうとするカラスをサクラが追いかる。
しばらくすると車のエンジンがかかる音が響き、車が出て行くのがわかった。