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第2話 Zウイルス感染症 特別法案可決

 テレビでは、Zウイルス感染症についての特別審議が中継されていた。


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本橋議長

「これより、Zウイルス感染症問題における緊急審議を行います。上杉研究官、国内の感染状況について説明をお願いします」


上杉研究官

「日本では、Zウイルス感染症の影響で若い女性の7割近くが亡くなりました。これにより、男女比のバランスが大きく崩れています。現状で、日本全体の出生率は1.3パミールです。このままでは、数十年後の日本は消滅します」


木原議員

「この日本の危機を回避する方法は無いのでしょうか?」


本橋議長

「上杉主任研究官、説明を……」


上杉研究官

「現状では、極度な出生率低下で人による自然増を望むことは出来ません。アンドロイド婚を検討しています」


木原議員

「アンドロイド婚とは、どのような施策でしょうか?」


上杉研究官

「結婚については、従来通りの両性の同意に基づく結婚、もう一つは、男性の意志で決定できるアンドロイド女性との結婚の2通りの方法を考えています。現状のアンドロイドは、『ガイノイドV7型』と呼ばれ性能は高い水準に達しています。最新の女性型アンドロイドは、容姿や動作、対話・判断などで人間同様の高い能力が保たれるようになっています」


木原議員

「しかし、アンドロイドですから生殖能力は無く人口増加には繋がらないのではないでしょうか?」


上杉研究官

「女性は一生涯に約500回程度の排卵を行いますが、自ら直接の出産に関わる卵子以外は全て国の共有財産として管理、政府の『卵子バンク』に凍結保存する事を協力して頂きたいと考えています。

 全ての卵子および受精させる男性側のDNAや人格・身体特性は事前にデータベース化して収集し、一番マッチング精度が良いと考えられる遺伝子情報の組み合わせで受精させます。

また、アンドロイド婚の場合は、人工授精となりますが、国の『卵子バンク』から提供を受けた卵子で受精させ、『胎児ファーム』という施設で育てます。

 通常の出産で産まれることが適切とされる体重3,000g程度に発育すれば、アンドロイド婚の受け入れ家庭に実子を届けるという方法です」


木原議員

「もし、アンドロイド婚をした男性が子供を要らない、子育てはしたくないというケースがあると思われますが、どのように対処されますか?」


上杉研究官

「結婚後の育児についてですが、女性アンドロイドは、完璧に育児を実行できます。男性側が子供とのスキンシップを望むなど、必要な時に接すれば問題はないと考えています。

 次に、子供そのものを欲しくないという気持ちへの対応ですが、政府は、アンドロイド婚をして子供を育てた場合の男性には、生涯の就労義務日数を、3,000日減らすという施策をとります。早期リタイアという特典を付与し生活を保障したいと思います。

 現在は、平均寿命が100歳を越えて平均的な定年が77歳前後となっています。その場合に当てはめると、69歳がリタイアして余生を楽しめる開始年齢となります。

 約8年間の就労短縮があり、子を持ち育てる意欲も増すと思います。また、卵子を提供して頂く女性側にも、実収入や生活面で手厚い保障を致します。

 尚、提供される女性アンドロイドは、非常に高性能で人間と区別が付かないため、法律施行後の戸籍登録上の名前はアルファベットとさせて頂きたいと考えています」


本橋議長

「これより、Zウイルス感染症関連の採決を行いますが、竹田総理からの見解を求めます」


竹田総理

「Zウイルス感染症により、日本国の存続が関わる危機的な状況を迎えています。どうか、皆様のご判断で速やかに国難を乗り越えることを希望します。本法案の可決にご協力をお願いします」


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こうして、『アンドロイド婚に関する特別法案』は、本審議により全会一致で可決された。

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