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第1話 Zウイルス感染症 若者の未来……

 22世紀の初頭に発生したウイルス感染症は女性だけに感染し、全人類女性の多くの命を奪った。その結果、地球上の男女の人口比は8対1と大きくバランスを崩した。人類存続の最終危機ということから、その名称は『Zウイルス』と名付けられた。そんな中で若い世代の純一と拓也は、喫茶店で将来への不安を語り合っていた。


 28歳独身の純一が、かつての高校の同級だった友人拓也に語り掛けている。


「Zウイルスの発生で、婚約者『恵美』を亡くしてしまった。これから、俺はどう生きていけば良いんだろう。もう、この情勢では結婚は望めないな。それにしても、この店、コーヒー遅いな……」


「純一、これからどうするんだ? 恵美さんがZウイルスで亡くなったのは悲しいけど、前向きに結婚を考えないといけないね。俺なんかは、彼女が居なかったから悲しみは半分も分からない。でも、これからのパートナー探しは、女性が居ないんだから絶望的だね。昔の人の様に、恋愛やマッチングで結婚したかったな……」


「仕方ないよ。女性が極端に少ないんだから。俺たちに、これから普通の出会いは無理だね」


 ウェイターのSAYURIが、二人にコーヒーを運んできた。


「お待たせしました。熱いのでお気を付けください。何か他にご注文が有れば、そちらのタブレットでご連絡下さい。それでは、ごゆっくりどうぞ」


 その言葉を受けて、純一が話を続ける。


「あんな()でも、一緒に居てくれたら楽しいだろうな。俺は、パートナーがアンドロイドでも全然良いと思ってる。今は、女性が恋しいな……」


「えっ、純一。どうしてあの()がアンドロイドって分かったの? 全然、分からなかったよ。見た目も、会話も普通の女性だしさ」


「胸に付いてるプレートを見たんだよ。名前が『SAYURI』って、書いてあっただろう? ウェイターが人間の女性だったら、アルファベットでは書かないからね。どうしたら、あの()お付き合いできるのかな」


「どうして、純一はそんなこと知ってるの?」


「恵美が亡くなって、遺体の確認で家族と一緒に立ち会った時『近い将来、家族の同意が有れば、生前の恵美さんと変わらないアンドロイドを提供できますよ』と生命維持管理局の人に言われたんだ。その時、ご両親には『恵美さんのアンドロイドと結婚したい』とお願いしたよ。生前の個人と全く同じアンドロイドが作られるとなると、家族の思いや肖像権など家族の許可も必要みたいだからね」


「アンドロイドとの結婚ができるようになったら俺も考えてみようかな。でも、子供は持てないんだろうね? それでも、一人で暮らすよりは良いよね」


「国会で、Zウイルス対策の審議が始まるらしい。少しだけ楽しみにしてるんだ。国が制度化してくれれば応募したいと思ってる」


「日本も人口が大分減ってるみたいだけど、これからどうなるんだろうね」


 二人がそんな会話をしていた数日後、日本の国会では『Zウイルス感染症対策における緊急審議』の様子がテレビで中継されていた。純一も審議の様子を見つめている。国会で議長が開会を宣言し審議が始まった。


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