SF作家のアキバ事件簿210 エクソシスターズの解散
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!
秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。
ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。
ヲトナのジュブナイル第210話「エクソシスターズの解散」。さて、今回は幽霊屋敷で除霊女子"エクソシスターズ"の死体が発見されます。
悪霊に取り憑かれた説が飛び交う中、捜査線上には呪い合う夫婦、怪しい除霊ヲバさん、幽霊特番のプロデューサーなどが浮上しますが…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 幽霊ハンターの死
深夜の東秋葉原。路地裏に響く犬の遠吠え。摩天楼の谷間に登る満月が、赤煉瓦の古い屋敷を照らす。
「今、時刻は23時03分。リビングルームで電磁界強度計が激しく反応してるわ」
5Kカメラで動画を撮りつつ屋敷の中をライト片手に歩くワンランボディコン。彼女は幽霊ハンターだ。
扉が閉まる大きな音。突然、シャンデリアが明滅を始める。女は闇の中でライトとカメラを振り回す。
「ねぇ!誰かいるの?」
何かが動く物音。シャンデリアが消え、リビングは真っ暗だ。闇に支配され、悲鳴を上げるハンター。
「マジ?ハッキリ見えるわ。マジなの?お願い、ヤメて!」
絶叫。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
悲鳴。
御屋敷のバックヤードをスチームパンク風に改装したら、ヤタラ居心地良くて客の回転率は急降下だw
ましてや今宵はビデオ鑑賞会。ゾンビ映画に常連達が無邪気な悲鳴を上げている。
「やめて!私をゾンビへの盾にしてる?」
「まさか。画面が良く見えるように…」
「あれ、どこへ行くの?1人でトイレに逝くとゾンビに襲われちゃうぞ」
常連のスピアが立ち上がる。
「ごめんね。シュリとLINE電話の時間なの」
「常連会の楽しいゾンビタイムはどうなるんだ。後にしろよ」
「だって、時差もあるし今しかないんだもの」
スピアの新カレはNYに留学中だ。僕の出番。
「スピア。相手に合わせる優しさは貴い。しかし、健全な関係と言うのはお互いを尊重するモノだ。どちらか一方が相手の都合に振り回されるのは、決して良いコトじゃない。つまり…」
「テリィたん。スマホが鳴ってる」
「え。」
ホントだ。
「ごめん。ちょっち待ってくれ…ラギィ?OK!直ぐ逝くょ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
今宵の殺人現場は幽霊屋敷だ。地下アイドル通りに殺到したパトカーで裏通りは赤い回転灯で溢れる。
「スピアはNYの音楽院に落ちて以来、シュリに遠慮スルようになった。自分が新カレと対等だとは思えなくなったンだ」
「そんなコト、全然心配スル必要ナイわ。スピアとシュリは同い年でしょ?主導権は女子にアル」
「そうかな…やや?"エクソシスターズ"?」
ラギィと、グランデカップのコーヒー片手に現場に入る。彼女は万世橋の敏腕警部だ。
現場に停められているのは、除霊動画の再生No.1を誇る"エクソシスターズ"のバン。
「コレだからエクソシスターズは好きさ。人が死ぬや否や、即、幽霊探しにワンレンボディコンで出動スルとはサスガだな」
「あんな馬鹿げた動画を見てるの?」
「おいおい。素晴らしいの間違いだろう。ジャラ・シンラはアキバ1の幽霊ハンターだ」
フト立ち止まるラギィ。
「待って。ジャラ・シンラって…」
「高校の同級生?」
「いいえ。被害者の名前ょ」
え。
「幽霊ハンターが幽霊になったのか」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
幽霊屋敷の大家から事情聴取。
「彼女には、特番の撮影と聞いて1晩貸したンだ」
「なぜここに?」
「知らないのか?ウチは超常現象派では有名な屋敷ナンだ」
超常現象派って印象派みたいな奴かな?ナゼかドコか自慢げに語る大家は自宅が近いのかパジャマだ。
「あの屋敷を買って20年、貸し手からは、毎晩その手の苦情が寄せられてね。実は参ってる」
「今は誰か住んでます?」
「空き家だ。みんなすぐに出て行く。だから"エクソシスターズ"から取材のオファがあった時は、やっと来てくれたと思ったょ。彼女達が除霊してくれれば、やっとマトモな貸家業が出来ると思ったが、まさかこんなことになって…ぎゃ」
大家のおしゃべりは、フロアの死体を見て唐突に止まる。耳から耳まで喉をバッサリ切り裂かれてる。
鮮血の海に沈むボディコンの死体w
「上甲状腺動脈も総頸動脈も切断されてる。この傷から判断して、犯人は近くから切り付けた。かなり接近してたハズ。ただ説明がつかないのは…」
「犯人の靴の痕?」
「YES。それから血の飛び散り方もよく見て。こんなに動脈を切れば、大量の血が勢いよく噴き出るに決まってる」
因みに彼女はリモートだ。超天才ルイナはラボから僕のタブレットをハッキングしてレクしてくれる。
「だから、フロアの一面に噴き出てるよ…あ。本人も、かなりの返り血を浴びてるハズだ。で、フロアのその部分には血飛沫はかかってないハズなのに、一面血の海だ」
「でしょ?妙なのよ。こんなのありえない」
「わかった!きっと血は犯人のカラダをスリ抜けたんだ。犯人は…幽霊だ!」
ルイナはタブレットの画像の中から、ラギィに目をやる。小さく首を振るラギィ。
「ダメょルイナ。テリィたんの話に乗らないで」
「おいおい。ついに彼女達の手に負えない幽霊が現れたんだぜ?エクソシスターズは幽霊ハントに失敗して殺されたのさ!」
「…えっと。第1発見者から話を聞きましょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「俺は、彼女と組んで4年のプロデューサーだ」
「OK。じゃルルヲ。通報前のコトを話して」
「ジャラは、22時頃に屋敷へ入り、直ぐロックダウンに入った」
「ロックダウン?」
ラギィが聞き返す。警官でごった返す深夜の殺人現場。
「彼女は、いつも一晩家に鍵をかけて過ごすんだ。幽霊ハンターは皆いつもそうスル」
「彼女1人で?」
「ソレが売りだからな。若い頃はレオタードだったが最近は需要がなくて…いつも現場に誰もいないコトを確認してた。それから鍵をかける。コレがロックダウンだ。俺は、黒いバンでモニターを見てる」
ラギィは首を傾げる。
「すると、カメラはずっと回っていたのね?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
黒いバンの狭い車内で、カメラ画像と幽霊を探知スル赤外線画像の2つの画面を見比べる。
"今、時刻は23時03分。リビングルームで電磁界強度計が激しく反応してる"
得意分野なのでラギィにレクする僕。
「電磁界強度計は、悪霊退治の道具だ。アレで心霊エネルギーの上昇を探知スル」
あれ?ラギィ、何で僕を睨むんだ?
"ねぇ!誰かいるの?…マジ?ハッキリ見えるわ。マジなの?お願い、ヤメて!"
「マジって犯人に聞いてどーする?あれ?」
突然2つの画面歯全て砂嵐になる。
「なぜ絵が消えたの?」
「カメラの信号が途切れた」
「こんな風に信号が途切れる原因は何です?」
両肩をスボめるプロデューサー。
「さぁな。初めてのコトだ。わからない」
「あの屋敷には、別の誰かがいたのよ。彼女に敵はいませんでしたか?」
「いないと思うけど、彼女は、現場到着時にかなり動揺してたな」
狭いバンから外に出る。赤煉瓦の屋敷を見上げる。
「ココには車で来たのかしら」
「さぁな。タクシーで来て、直ぐロックダウンだ」
「他に屋敷の鍵を持ってた人は?」
プロデューサーは即答。
「ジャラ・ケット。エクソシスターズの専属カメラクルーだ」
「おや、ジャラは何処だ?ロックダウンの時はいつもエクソシスターズと一緒だろ?」
「ソレが、ロックダウンの前に昼間ジャラと口論になって…ジャラはクビになったンだ」
フト考える。
「ジャラなら、カメラを自動停止スルようにセッティング出来るかな?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋に捜査本部が立ち上がる。
「ジャラは、事件のあった夜は22時にホテルを出てるって」
「ジャラが殺された23時には十分間に合うわ」
「ダメだわ。ジャラのスマホは留守電ょ」
スマホを切るヲタッキーズのエアリ。因みに彼女達はメイド服だ。だって、ココはアキバだからね。
「マリレ。ホテルの支配人がジャラのカード情報くれたわ。どこかでカードを使ったら足がつく」
「OK。私はジャラの映像を、犯人が写ってないか良く見てみるわ」
「…ビンゴ。ジャラ・ケットはなかなか忙しいわ。神田リバー水上空港のそばのストリップクラブでカードでお金を使いまくってる。あらあら。殺人の1時間後からだわ」
PC画面に写したカード履歴を指差すエアリ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
捜査本部の取調室。僕とラギィでカメラマンを締め上げる。
「お楽しみ中に悪いわね、ジャラ」
「かなり豪遊してたらしいな。ラップダンスは満喫できたか?イッパイじゃなくてヲッパイかな?」
「俺は別に誘拐はしてないぜ。噂話をしてただけだ。ストリッパーにラップダンスをさせたら違法かよ?ちょっとムカつくコトがあっただけだ」
ソッポを向くジャラ。解雇がかなり応えた様子だ。
「貴方、ジャラと喧嘩したんですって?」
「ジャラのコトで呼んだのか。ジャラとはよく喧嘩したが、それももう終わりだ」
「何かあったのか?」
カマをかける。
「土壇場になって今夜は撮影に入るなと言われた。俺を出し抜こうとしやがった」
「理由は?」
「特に聞いてはいない。大方、手柄を俺に持っていかれるとでも思ったんだろう。多分妬みからだ。所詮は女さ」
ウソぶくジャラ。
「そもそも、東秋葉原の幽霊屋敷は俺のネタで、俺が下調べをしたンだ。ところが、ジャラは特番化に反対してた」
「アキバの幽霊屋敷なんて視聴率UP間違いないのにどうして?」
「ジャラは秋葉原で育ったくせに、ヲタクやこの街を嫌ってた。だから、俺の持ち込み企画をボツにしようとして、あの屋敷には死んでも入らないと言っていた」
"分水嶺"を超える時だ。
「じゃ死ねば良いと思ってたのか?」
「何だって?死ねば良い?」
「ジャラ・シンラは、今夜あの屋敷で殺されたわ」
ラギィがキメ台詞。すると…
「なんだって?ジャラが殺された?」
「ジャラ。なぜオーナーに鍵を返さなかったの?」
「いや。興奮しててツイ忘れたんだ…マジでアイツは死んだのか?」
マジで驚いてる。演技カモしれないが。
「カメラのセットは君がしたのか?」
「YES。だから?」
「いや。何、ならカメラの設置場所を知っていて、画像に入らないように忍び込めるし、カメラがオフになるよう停止予約も出来ると思ってね」
畳み掛ける僕←
「おいおい、おまわりさん達。俺はジャラを殺してない。殺人現場にはいなかった。神田リバー水上空港のセキュリティチェックに引っかかって、シンガポール行きの飛行艇に乗り遅れた。だから、空港近くのストリップクラブにいた。(スト)リッパーのジョベに聞けばわかる!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
歩きスマホで捜査本部の中をグルグル歩くラギィ。
「確かにジャラは21時45分に神田リバー水上空港のセキュリティチェックを受けてるわ。こーなると殺害時刻に現場にいるコトは不可能ね」
デスクに腰掛けるベケット。傍らに立つエアリに制服警官が書類を手渡し去る。
「カメラを鑑識が調べた。撮影が自動的にオフになるような予約はされてなかった。つまり、ジャラが潰したのは同僚じゃなくて時間だけ」
「いよいよジャラが無実か。すると、やはり考えるべきは…」
「テリィたん!犯人が幽霊って言ったら殺すから」
ラギィに指差され、僕はエアリと顔を見合わせる。因みに彼女はメイド服だ。だってココは(以下略)。
「じゃ彷徨える魂だ…で、血飛沫の説明はついた?鑑識の見解は?」
「今は未だ説明出来ないけど、必ず出来るようになる。ホラ、タクシーで彼女が到着した時に、彼女は動揺してたと言ってたわね。そこで何をしてたかを調べなきゃ。タクシーは何処で彼を乗せたか。先ずは、ソレからね」
「ROG」
エアリは出掛けて逝く。ラギィは僕を見る。
「コレも他の殺人事件と同じよ。被害者の生活や環境。捜査が進めば、全て説明がつくわ」
「いいえ!ソレじゃ解決しないカモ!」
今度はマリレが飛び込んで来る。因みに、彼女は(以下略)
「屋敷の中の映像を見て、犯人がいた証拠がないかを探してた。とにかく変なの。まぁとりあえず自分の目で見て」
タブレットの画像をオン。画面を4分割にして屋敷の中を撮影して歩くジャラの姿を多方向から写す。
「スロー再生にスルね。この横にアル三脚を見てて。ココょ」
マリレがリモコンで画像をコマ送りにスルと…何と撮影用照明を載せた三脚がジリジリと…動き出す?
「ね。見た?」
息を飲むラギィ。さらにジリジリ動く三脚。
「何なんだコレ?」
「コレも全部説明がつくハズょ」
「そうさ。コレはポルターガイストだ」
僕が指差すと…画面は砂嵐w
第2章 最後の目撃者
朝焼けが捜査本部の窓をオレンジ色に染める。僕は、一心不乱にホワイトボードに描き込みしてる。
「まさか徹夜したの?」
「え?…確かに寝てないカモ。でも、その甲斐はあった。幽霊屋敷の歴史を調べたら、幽霊ハンターのジャラ・シンラに何が起こったのか、事件の真相が見えてきたょ。あ。ソレ、ラギィのだ。どうぞ」
デスクの上のグランデカップを指差す。ラギィがウレしそうに手にして飲んだら…空だ。マズい。
「あ。そっちじゃなかった。隣の方」
で、そっちも空。
「ごめん。飲んじゃった。後で買ってくるよ」
ホワイトボードに向き直る僕。
「あの幽霊屋敷、1922年に建設されたポンプ所で関東大震災でも焼け残った奇跡の赤煉瓦らしい。焼け残ったのは良いけど、多くの焼死者の怨念を背負い込んで、以来オカルト話が絶えない。映画版"お面ライダー"で悪の人体改造基地のロケに使われ以来8件、猟奇的な殺人事件が起きてる」
「あ、その映画なら私、見たカモ」
「最初の所有者で1932年に絞殺されたロバトから8人目のメラニは2023年だ。今の大家のフラヲは建物の解体を希望しているが、特別区の歴史的建造物に指定されているから改築出来ない」
完璧な調査に根本的なケチがつく。
「色々調べてくれてthank you。で、今回の事件と何か関係アルの?」
「説明しよう。ほぼ全ての事件で犯人は、こう主張している…覚悟はOK?じゃ逝うぞ…"コレは悪霊の仕業だ"」
「悪霊?マジなの?」
マジでガッカリしてるw
「ちゃんとオカルト雑誌の"ラー"に、そう描いてアル。創刊号から徹夜で読破したンだ」
「じゃ悪霊がジャラを殺したとして、どーなるの?幽霊屋敷で悪霊が現れるのを待ってプロトンパックで捕獲スルとか?」
「キャハハハ」
笑い転げるメイド達。CEOとしての威厳を込めて舐め回すと、急に咳払いとかして明後日の方を向く。
「あのな。プロトンパックは架空の産物だ。モノホンの悪霊ハンターは、あんなモノは使わない」
「そもそも、悪霊ハンターなんているの?」
「あぁ事件に役立つ情報を調べた人はいナイの?」
ホワイトボードをクルリと裏返すエアリ。
「任せて。ジャラは38丁目と9番街の角でタクシーを拾ってた。周辺の聞き込みをして、彼女が何をしてたかを調べてみるわ。先ず通話記録からね」
早速とりかかるエアリ。続いてマリレ。
「何でジャラが撮影を嫌がったのか、やっとワケがわかったわ。高校時代の友人に話を聞いてみたの。ジャラは昔、ポンプ所の近くのに住んでた。でも、不気味だとあの赤煉瓦の建物には近寄らズ、遠回りをしてたらしいわ」
「やっぱり。この赤煉瓦屋敷には何かあるんだ。因みに、最後の住人は…」
「ダメ」
再びホワイトボードをクルリと回転しかけた僕をラギィが力ずくで止める。真実を知りたくナイのか?
「最後の住人は… 4年前に突然大慌てで退去したらしい」
「何で?」
「聞いてみないと!」
気が早る。
「ご勝手にどうぞ。1人で行って」
「一緒に来ないのか?」
「私は仕事がアルの」
赤いメイド服のマリレがすり寄る。
「じゃ私がお供スルわ」
ラギィの冷ややかな視線。僕達は目を伏せる。
「テリィたん。ラギィが私達を見てるわ」
「僕なら慣れっこだ。振り向くな」
「未だ見てるw」
2人でスタスタと捜査本部を横切る。ラギィはデスクの上の空のグランデカップをチラ見して溜め息。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
数分後。ラギィはギャレーのエスプレッソマシンの蒸気で指を火傷してる。蒸気の向こうからエアリ。
「外でマリレと会ったけど、テリィたんと幽霊ハントに行かせたの?」
「え。だって良いヲ目付役になるし、有益な情報をゲット出来るカモしれないし」
「手がかりが欲しいのならちょうど良いカモ。指紋が出たそうょ。ソレも生きた人間のね」
自分のタブレットを見せる。イカレ女のUP。
「名前はロンバ・ガーガ。裏アキバ在住。今、連行されて来るわ」
「前歴は?」
「蔵前橋に8年間、服役してる。ナイフを使った強盗だって。不法侵入はお手の物らしいわ」
右手にマグカップ、左手にスチームミルクのステンレス缶を手に、俄然関心を示すラギィ。
「出所はいつ?」
「5週間前」
「いかにもって感じね」
ウレしそうだ。
「まだアルの。被害者のジャラと面識がアル。"エクソシスターズ"が蔵前橋でロケした時に、ロンバの傍らに幽霊がいると言い出して…彼女も出演してるのょ。あら?AVだわ」
「刑務所に幽霊が出るの?ソレでなくても定員オーバーなのに…ロンバって霊感が強いのかしら」
「カラダを触られたとか言ってたそうょ」
呆れるラギィ。
「幽霊にセクハラされたの?よほどTVに出たかったのね」
「でも、ソレが裏目に出て、ロンバは刑務所の中で笑いモノになり、怒った彼女は番組に抗議の手紙を書いてるわ」
「"私をこんな目に遭わせたジャラ・シンラに血で償わせてやる"?うーん犯人が見えてきたわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の取調室に召喚されるロンバ。正面にエアリが座り、ラギィはドア近くで腕組みして立ってる。
「確かに手紙を書いたけど殺してナイわ」
「昨夜21時頃、どこにいたの?」
「アパートでアニメを観てたわ」
ウソかホントかワカラナイ。
「幽霊屋敷に貴女の指紋があった」
「あ。ソレにはワケがアルわ」
「どうぞ」
時間は腐るほどアル。
「私は仮釈放中で…とにかく!あの刑務所には戻さないで。特に、あの房は無理。絶対に嫌よ。あそこは…出るわ」
「出る?貴女、幽霊の心配をしてるの?自分に殺人の容疑がかかってて、アリバイも不確かなのがわかってる?指紋も出てて、貴女には手段、動機、機会の全て揃ってるの」
「わかったわ、わかった。確かに、あの屋敷には行ったけど昨夜じゃなくて1ヵ月前ょ。私が出所したら、ジャラが連絡して来た」
眉唾だわ。ラギィはウンザリ顔。
「貴方が誰かを脅迫した手紙の後で?」
「あの人は、番組のコトで私に謝って来た。ソレどころか頼みゴトまでして来た」
「何を頼まれたの?」
身を乗り出すラギィ。
「幽霊屋敷の中に入って、写真を撮って送れと言われたわ」
「なぜ貴女が出て来るの?貴女、ソンな有名人だったっけ?」
「現場は施錠されてる。うまく侵入出来る奴が必要だったんでしょ」
投げ槍な口調のロンバ。
「何で写真を撮って欲しいかは聞いたの?」
「モチロン聞かない」
「そ。じゃ…その写真を見せて」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
引き続き捜査本部。
「SDカードまで確認したけど、写真の撮影日時は改竄されてなかったわ」
ラギィは、デスクの上に写真を広げてるw
「ロンバはウソをついてなかった」
「彼女が刑務所で幽霊に触られたって話は?幽霊にセクハラされたンでしょ?」
「なぜロンバに幽霊屋敷の写真を撮らせたのかしら?狙いは何?」
警部とメイドの井戸端会議だ。
「見てょコレ全部、事件が起きた場所の写真ナンだけど、結局リビングの写真ばかりになったわ」
「ジャラはロンバを雇って自分が死んだリビングの写真を撮ってた?」
「不気味ね」
ヒソヒソ話は続く。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。僕とマリレは幽霊屋敷の"最後の住人"を訪問。秋葉原ヒルズのレジデンス棟。中層階だ。
「そうね。間違いなくあのリビングルームが超常現象の震源地だったわ」
金髪の上品な夫人。旦那は恐らく外資系の現地法人幹部。クロスが上品なダイニングテーブルを囲む。
「私達も色んな噂を聞いて住んだけど、最初は、まるで信じてなかった。笑ってました」
「最初は平穏だった。でも、ある時期から灯りが消えたり、妙な物音がしたり…」
「ドアが勝手に閉まったり」
顔を見合わせるて微笑む夫婦。
「身の危険を感じたコトは?」
「アルわ。夜、リビングで物音がして…」
「翌朝、リビングがメチャクチャになってたコトがあったな。ね?」
「そうそう。テーブルはひっくり返り、雑誌はビリビリに破けてたわ」
ココで見つめ合い愉快そうに笑う夫婦。この夫婦も何処か不気味だ。幽霊屋敷を楽しんでる?
「マジですか?お引っ越しを考えた?」
「いいや。戦うコトにした。私は私の人生を闘争の末に掴んだ。だから、幽霊ハンターを雇って戦略を相談したんだ」
「幽霊ハンターの中でも一流だって言うから"エクソシスターズ"を差し置いて雇ったンだけど、肝心の彼女が現場を一目見て逃げろと言ったの」
唇に指や当ててしゃべる妻。きっと若かりし頃は"ぶりっ子"で通っていたに違いない。旦那が補足。
「そうだ。名前は確か…交田グラン」
「マジタ?…もしかして"マジ?はっきり見える?"の"マジ"って…」
「ジャックが残した言葉にあった奴?」
初めて気づく。
「マジじゃない。名前だったんだ」
声を潜めるヲタッキーズ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の捜査本部。ラギィ達と意見交換。
「交田グラン。本名メルセ・デスマ。秋葉原にオフィスを構えて超常現象の相談に乗ってる、自称"エスパー相談員"。blood typeは"RED"」
"覚醒"してナイ。非スーパーヒロインだ。
「彼女の犯罪歴を見て。身元詐称に詐欺。聖職者へのナリスマシもアルわ…テリィたん。オフィスの住所を見て。38丁目と9番街の角だわ」
「殺されたジャラがタクシーを捕まえた場所だ。彼女を訪ねた後でタクシーに乗って幽霊屋敷へ行き、死の直前に"マジタ"の名前を口にして死んだ」
「彼女はどう関係してるのかしら?」
顔を見合わせる僕とマリレ。
「じゃ僕とマリレで調べてくるよ。ラギィ達は仕事で忙しいだろ?」
顔を見合わせるラギィとエアリ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"運読み館"は雑居ビルの1室にある。狭い階段を肩をスボめて登ると前を逝くマリレのパンツが丸見えw
「そう。死んだの。出来る限りのコトはした。でも、結局ジャラは救えなかったのね」
「そもそもジャラは何をしにココへ?」
「ジャラは、赤煉瓦屋敷について、私の助言を求めに来たの。悪霊退散に当たってのアドバイスね」
大玉の数珠を首にかけた怪しいおばさんだ。よく見たら…げ。メイド服だ。似合わねぇ。脱いでくれ。
「ソレで貴女は金銭目当てに助言をした?」
「ソコに張ってある料金表に沿ってね。明瞭会計なの…私をペテン師だと思ってますね?でもね、彼女程度の人でも、私がそうならペテン師だと見破ってるわ。そもそも相談に来ませんよ」
「いや。スゴ腕の彼女がなぜ(ペテン師のw)貴女を頼ったのかを知りたいンだ」
やっとソファを薦められる。
「彼女にとって、赤煉瓦屋敷は特別だった。ある時から、彼女は赤煉瓦屋敷で起きた殺人事件の夢を見るようになった。最初はチラッと部屋の1部が見える程度。でも、次第にリアルになって、ついに夜な夜な死体が現れる悪夢を繰り返して見るようになったのょ」
「死体が見えるって…誰の死体?」
「わからない。でも、彼女と話すにつれて、私は確信した。ソレは夢じゃないって」
ナゼかドヤ顔のヲばさんメイド。
「夢じゃナイ?じゃ何なの?」
「記憶ょ。彼女は、過去に恐ろしい光景を目撃したけど、ソレを心の奥に閉じ込めてきた。でも、時に強烈な記憶が蘇ってしまったのょ」
「ソレはどんな記憶?」
身を乗り出すマリレ。ますますドヤ顔になるヲば。
「スーパーヒロイン。大量の血。音波銃を持ってたたずむ男」
「男は誰?」
「ジャラは、男の顔がボヤけてたけど、最近ようやくハッキリ見えて来たと言ってたわ。だから、私は言ったの。惨劇が起きた現場に戻れば、きっと全てが蘇るカモって」
そして殺された…ヲばさんに殺されたようなモンだが、ソレで死ぬ間際に"はっきり見える"と言ったのか。
「彼女は記憶が蘇った直後に殺されたンだ」
「赤煉瓦屋敷の最後の殺人事件は20年前。確か目撃者は無しと記録されてる」
「いいえ。1人はいたの。ジャラょ。スーパーヒロインが殺されるトコロを彼女は目撃していた」
第3章 ピヨヤンからの手紙
万世橋の捜査本部。ホワイトボードに凄惨な殺人現場の写真を貼り出すマリレ。
「メラニ・ベトン。"blood type BLUE"。2023年に音波銃で射殺されてからナイフでメッタ切りにされた。で、何処で死んでたと思う?」
「リビングルームだろ?」
「ピンポーン!2023年、当時ジャラ・シンラは夢見る12才。未だ近所に住んでた。きっとその犯行を目撃したんだ」
マリレと妄想スタート?珍しいな。パンツを見たせいカモしれんw
「でも、夢見る処女、じゃなかった、少女は犯行を目撃して、なぜ犯人にバレないの?」
「きっとジャラは新聞配達をしてて、赤煉瓦屋敷は新聞配達のルート上にあった。配達中に殺人を目撃あるいは悲鳴を聞いて覗いたのカモ。その時の光景が、最近になって夢に蘇り、彼女は悪夢の意味を探ろうとした」
「ソレで刑務所仲間のロンバにリビングの写真を撮るようにリクエストしたのか!」
僕とマリレの"妄想ハレーション"を胡散臭げに見ていたラギィが、やっとって感じで口を挟む。
「で、2023年の犯人は逮捕されたの?」
「ソレが捕まってないのょラギィ。野放しょ」
「ジャラ・シンラは、記憶が戻ったせいで口を封じられた。犯人を思い出し、そして黙らされたのさ」
溜め息をつくラギィ。
「当時の事件の担当者は誰?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
マチガイダ・サンドウィッチズ。美味そうに名物の"チリドッグ"を頬張る元警官スミス・スミズ。
「警察を退職してもう10年だが、この事件はずっと気になってた。ダイナーのテーブル席
私が第一発見者だが、マッラ・ベトンがしたコトは写真よりも酷い」
「マッラ・ベトン?夫がスーパーヒロインの妻を殺したと?」
「ご近所からの聞き込み情報では、夫婦はかなり不仲だったらしい。事件の夜に指名手配をしたが、夫のマッラ・ベトンは行方をくらまし、今もって蒸発したママだ。コレがどーゆーコトかは明らかだ。夫マッラ・ベトンが本件の犯人だ」
勝手に結論し勝手に納得。元警官に多いタイプだ。
「夫マッラ・ベトンに関する情報は、その後何か無いんですか?」
「半島にいるとの情報があった。だが、もう15年も前のコトになる」
「目撃情報?」
首を振るスミズ。
「妹に葉書が届いたんだ。ピヨヤンの消印だった」
「葉書には何て描いてあった?」
「内容は、いつもと同じ。スーパーヒロインである妻の死は、自分のせいではなく、幽霊の仕業だと言っていた」
率直に驚く。
「幽霊が関わっていたと?」
「YES。だが、そんな話、どこのバカが信じるかってンだ。ヲタクをバカにスルにもほどがアル」
「そりゃそーだ」
コーヒーをガブリと飲むスミズ。
「で、その葉書から夫マッラ・ベトンを追跡したんですかスミズ(元)刑事」
「当然だ。インターポールに捜査依頼をかけたが、確たる証拠がないからと言われて後回しさ。マトモに取り合ってもらえなかった」
「でも、目撃者が現れたら状況は変わりますね?」
すると、スミズは鳩が豆鉄砲を食ったような顔。
「もちろんだ…でも、いるのか?目撃者が」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の捜査本部。
「つまり、目撃者のジャラ・シンラを夫のマッラ・ベトンが殺して口を封じたワケさ」
「でも、なんで記憶が戻ったとわかるの?」
「そのコトだけど…」
ラギィと話してたらマリレが飛び込んで来る。
「ジャラの通話記録を調べたら、何と死ぬ1週間前にヤタラとアリマ法律事務所に電話をしてた」
「有馬…記念?」
「アリマ・クビル法律事務所。マッラの妹のピーラの勤務先」
もしかしてビンゴ。
「マッラがピヨヤンから送ったとされる葉書の受け取り人ね?」
「とゆーコトは、ピーラがマッラに警告をしたカモな。赤煉瓦屋敷の事件を探ってる奴がいる、コレはヤバいぞって」
「あり得ーる」
ティッシュかょ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
昼下がりの秋葉原ヒルズ。アリマ・クビル法律事務所は中堅ドコロでヒルズにオフィスを構えてる。
「兄が半島から葉書を送ってきたのは15年も前の話です。以来、連絡は絶えてありません。件の葉書は警察に渡しました」
そびえる本棚。巨大な机。彼女は…成功者だ。
「その後、何の連絡もしてませんか?貴女自身は、
ジャラ・シンラと話したコトはありませんか?」
「ジャラ・シンラ?どなたでしょう?」
「昨夜殺された幽霊ハンターだけど」
美しい顔を歪めるピーラ。タイトスカートの脚を組み直す。パンチラ…女弁護士の。法廷でもヤルのかな。
「その人とは話していません」
「でも、彼女はココに何度も電話をしています」
「赤煉瓦屋敷のウワサについて電話して来るマスコミ関係者は大勢います。その人の身に起きたコトは極めて残念ですが、私自身は電話を受けていないし、兄とはもちろん話してません」
ラギィが突っ込む。
「コチラの事務所の通話記録を調べても?ピヨヤンに電話はしてないと?」
「ウチは秋葉原では大手の法律事務所で、マルチバース中にクライアントがいます。もちろんピヨヤンにもいますから」
「では、通話記録を見せてください」
立ち上がるピーラ。海外ドラマの主人公みたいだ。
「令状を取って来てください。でも、令状を取れるだけの証拠は無いでしょ?…車は?」
「地下の車寄せです」
「では、失礼します。みなさん、私が誰だかわかってますか?」
答えを聞かずに秘書に見送られエレベーターへ。その背中に(聞こえないように小声でw)…
「巨大メディアの女社長だっけ?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
再び万世橋の捜査本部。
「弁護士ご用達エグゼクティブ専門のハイヤー会社からピーラへの1ヵ月分の請求書をゲットしたわ」
ラギィが入って来る。
「普段と何か違ったコトは?」
「4日前に誰かを迎えにやらせてる。神田リバー水上空港の国際線ターミナル2」
「マッラが帰国したの?行き先は?」
ラギィが読み上げる。
「レコル・アクシヲム。悪の巣窟ホテルだわ。ヲタッキーズ、マッラの写真を持ってレコル・アクシヲムで聞き込みょ。マッラ・ベトンを見た人がいるか探して」
ホワイトボードから写真を外してメイド達に渡す。追っかけてモニター画面からも超天才ルイナの声。
「エアリとマリレのスマホに、加齢シミュレーションしたマッラ・ベトンのモンタージュを送っておいたわ。20年後の彼ょ。ご参考まで」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。
「テリィ様。最近の事件を解決スルのに昔の本を読むのですか?」
「ミユリさん。ラギィみたいだな…全ての事件、殺人事件もポルターガイストも、全部リビングで起きてるんだ。理由は何かな?」
「悪霊が家具を気に入らなかったから?そうです。リビングをお洒落に模様替えすれば、きっと事件は解決では?」
僕は溜め息だ。ソコへセクシーくのいち見参…良く見たら常連でハッカーで元カノ会長のスピアだ。
「いつもセクシーな人がさらにセクシーになった。スピアのミニスカくのいち、決まってるな。NYのシュリにzoom電話スルのにワザワザ?」
「まさか。今宵はコスプレパーティに行くコトにした。"クラブ忍者屋敷"の"くのいちナイト"ょ。シュリからの電話は、もう待ちくたびれたわ!」
「hallelujah!楽しんで来い!」
「OK。いってらー」
スピアを見送り、ミユリさんと顔を見合わす。
「あのシースルーでミニの忍者服、心配した方が良かったかな」
「心配すべきはテリィ様ではなくてNYのシュリですね。今宵のコスプレを見たら…」
「シュリはNYから飛んで帰って来るな…おっとNYからビデオ回線だ」
御屋敷の衛星回線に着信だ。
「テリィ様。切っちゃいますね。まるで私達の会話を盗み聞きしてたみたいです」
「え。盗み聞き?」
「ソレがどーかしましたか?」
何かひらめきそーだ。
「赤煉瓦屋敷を設計したのは、昭和の高名な設計家で、確か伊賀の里の出身だ。そうか。わかったぞ。"ショーグンの耳"だ!」
「"ショーグンの耳"?」
「江戸時代の大名屋敷の多くは、天井裏に隠し部屋があり、忍者はそこで客の会話を盗み聞きするんだ。あの赤煉瓦屋敷の建築家は、秋葉原藩の屋敷の隣で育ったアキハ・ダミョ。秋葉原藩の屋敷は"ショーグンの耳"が有名な屋敷だった。建築士のアキハは"ショーグンの耳"の現代版を、自分が設計した赤煉瓦屋敷にも作ったに違いない」
「つまり、赤煉瓦屋敷には隠し部屋があるってコトですか?」
ミユリさんの簡潔なまとめ。
「YES。ソレで全て説明がつく。超常現象がリビングルームに集中してるのも、犯人が神出鬼没なのも全部さ。なるほど!」
「では、隠し部屋を探しに参りましょう。私、念のためムーンライトセレナーダーに変身します」
「え。今から?」
驚く間もなくまばゆい光の中でスーパーヒロインに変身する推し。セパレートのヘソ出し黒メイド服。
僕のお気に入りさ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
深夜の赤煉瓦屋敷。ミユリさんが変身したムーンライトセレナーダーが発電器官から放電で暗闇を照らして先導してくれる。
「現場は、万世橋の鑑識が何度も捜査してる。隠し部屋ナンか、とっくに見つかってるハズだけど」
「隠し方が巧妙なのでしょう。ところで、テリィ様は隠し部屋があったら、実は後悔されるのでは?」
「鋭いな。ラギィは、警部なら当然だけど、ただひたすら証拠をたどり、あらゆる現実的な可能性を探るコトで生きてきた。だから、犯人は、常にありふれた普通の人間である必要がアル。まぁ悪霊に取り憑かれた殺人鬼って線もアルけどね。で、ムーンライトセレナーダーはどう思うの?」
真っ暗なリビングの真ん中で、僕を振り返り、思案顔のスーパーヒロイン。
「私ですか?私は…」
突然、音をたててドアが閉まる。薄暗く点灯していたホコリまみれのシャンデリアが明滅して消える。
「変ですね、テリィ様」
「変ドコロじゃない。コレはジャラ・シンラ殺害の時と全く同じ現象だ」
「でも、ジャラの時と違って、テリィ様には私がついています。さ、メイド服の陰に。少し明るくしますね」
ムーンライトセレナーダーは体内の発電器官の電圧を上げる…が、指先の光は急に消えて、闇に戻るw
「ミユリさん。電池切れ?」
「テリィ様。"サイキック抑制蒸気"が焚かれてます。スーパーパワーが使えません…何ソレ?」
「あ、ごめん。確か、サイドテーブルの仏壇の脇にマッチがあったハズだ」
マッチで燭台の蝋燭に着火。とこらが、直ぐに吹き消すように消えてしまう。も1度。やはり消える。
「テリィ様。鼻息を止めて」
「違うだろ?隙間風だょ。リビングの天井から六甲おろし的に隙間風が吹き下ろしてルンだ」
「わかりました。テリィ様、私を肩車して」
顔の両側にミユリさんの太腿。最高。さらに僕の肩の上で立ち上がり、リビングの天井に手を伸ばす。
「テリィ様、持ち上げて…あ。ソコです、天井が動くわ。ダメ。下から見てはいけません!」
そうは逝われても、推しのヘソ出しメイド服を下から見上げると逝う、今の人生で最高のシチュエーションなのだ。やはりマリレよりもミユリさんだな!
「もぉテリィ様ったら…見ても良いですが、動かないでね。じっとしてて…1、2、3!」
大きな音がして天井板が後ろにひっくり返る。
「ジャラが死ぬ前と同じ音だ」
「天井裏に上がってみます。私の足を持っていただけます?はい、持ち上げて!…あ、ごめんなさい!」
「ワザと?」
推しのヒールで踏まれる。最高の夜だな。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
天井裏は、実は中2病、じゃなかった、背の低い中2階みたいなつくりで隠し通路が張り巡らされてる。
「犯人は、このバーに体操選手みたいに逆さにぶら下がってジャラに切りつけたんだ。だから、血飛沫は、犯人にかかるコトなく、フロア1面に飛び散ったんだな」
「テリィ様。隠し通路の先に何かあります」
「秘密の通路に隠し部屋か。やれやれ、超常現象の可能性がドンドンなくなって忍者屋敷か…おや?コレは何かな?」
通路の先は壁に囲まれた狭い部屋だ。天井から下がったLED電球を点けるとボンヤリ明るくなる。
粗末な机が1つの鰻の寝所みたいな部屋だ。机の上に重そうなコイル?が鎮座している。その時w
「あぶない!」
画鋲みたいな何かがスゴい勢いで宙を飛んでコイルに文字どおり吸い付く。電球の明かりが揺らめく。
「コレは強力な磁界発生器だ。多分ムーンライトセレナーダーの発電器官に反応した。ミユリさん、今以上にパワーを上げちゃダメだょ」
「ROG。サイキック抑制蒸気が天井裏は低濃度なので反応してしまったのですね」
「恐らくフルパワーなら、カメラの撮影を止めたりシャンデリアを消したり出来る。僕達がビデオで見たように三脚が動いたのも、この磁界発生器のせいだ。ジャラの殺害は、誰かが念入りに計画したんだな」
電力会社勤務だった僕の電気知識が映える。一方、ムーンライトセレナーダーはフロアを指差す。
「テリィ様。フロアの傷を見て。ベッドの跡です。誰かがココで寝泊まりをしていたのカモ。もしかして、2023年に射殺されたメラニの失踪中の夫、マッラ・ベトンは、ココに潜んでいたのでは?」
「なるほど。メラニ・ベトンの事件後、赤煉瓦屋敷は、幽霊屋敷の噂が立ってホボ空き家状態が続いたからな。マッラが見つからなかった理由はコレか。ずっとココで息を潜めて暮らしてたンだ。そして、恐らく今も」
その時、誰かの足音。
マッラ・ベトンか?僕はドアのサイドに隠れノブに手をかける。正面のムーンライトセレナーダーは必殺技"雷キネシス"の発射ポーズ。僕にうなずく。
「なう!」
勢いよくドアを開けたら、実は向こうは壁だったンだけど、ドアの裏側からは、背広を着てネクタイを〆た、ミイラ化した誰かが音を立てて崩れ落ちる!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
急遽ミイラを超天才ルイナのラボに持ち込む。
「歯科記録から失踪中のマッラ・ベトンと確認出来たわ。30年後をシミュレーションした、私の予測モンタージュだけど、全然似てなかったわ。テヘペロ」
「ソレは良いけど、ミイラの死因は?」
「断定は出来ないけど、組織サンプルに関して仮報告的に言うと、あの隠し部屋に放置されたのは、恐らく20年位前からね。その間にミイラ化が進んだって感じ」
僕は首を傾げる。
「ソレは、つまりメラニが殺された時ってコトだ。奥さんが射殺された時に一緒に殺された可能性が高い」
「犯人は、マッラの遺体を隠すコトで、失踪した夫が犯人であるように見せかけ、自分に捜査の手がおよばナイようにしたンだ。賢いな」
「YES。ソレが20年間上手くいってたけど流行りの幽霊ハンター"エクソシスターズ"ジャラ・シンラの登場によって想定外の展開になったのですね」
やはり妄想ハレーションはミユリさんとが最高だ。息がピッタリ。久しぶりにパンツを見たせいかな。
「でも、テリィ様。マッラが20年前に殺されたのなら、なぜ15年前に妹のピーラ・ベトンにピヨヤンから葉書が届いたのでしょう」
「俄然ピーラが怪しくなってきたね。女弁護士を詳しく調べてみよう」
「アリマ・クビル法律事務所ですね?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「フザケてルンですか?兄について知ってるコトは全部警察にお話ししました…しかし、ムーンライトセレナーダーって、ホントに冬でもヘソ出しなのね。寒くないの?」
腰に手を当て怒る女弁護士ピーラ・ベトン。
「はじめまして、ピーラさん。でも、貴女はウチの御主人様に全てを話しては下さいませんでしたね?つまり、メラニ・ウデル、後に貴女の兄と結婚しメラニ・ベトンとなった女性が、実は自分の元婚約者であったコトを」
「メラニ・ウデルは、貴女と別れ、お兄さんと結婚スルことによってLGBTも卒業したってコトをね」
「…私達は上手くいかなかった。いずれ彼女が結婚スルのは覚悟していたわ」
黒歴史を暴かれ、なおもウソぶく女弁護士。
「でも、その後も貴女は吹っ切れず、独身を貫いたんだね。貴女が受け取ったピヨヤンからの手紙は、自作自演だったのかな?」
「いいえ。アレは兄からでした」
「ソレは不可能だとわかってますよね。お兄さんは亡くなってます。20年前に」
すると…息を飲むピーラ。しばし絶句。
「…死んだ?兄が?」
「赤煉瓦屋敷で遺体を見つけたわ。終わりょ」
「待って!私が…私が兄とメラニを殺したと思ってるの?マジ?」
ヨロヨロと後退りし、自分のデスクにペタンと尻餅をつくピーラ。演技とも思えない。
「事件の夜、どこにいました?」
「コト細かに答えられる。新カノのヤヌズと食事をしてた。19時半からダイナーで食事をして、21時には店を出てレズビアンバー"薔薇屋敷"に寄り、セブンアンドセブンを飲んだわ。ウェイターの名はパトリ。あの事件以来、その日の記憶が脳に焼き付いて、どうしても忘れられないの」
「…わかりました。一応、万世橋の方で裏を取らせていただきます」
ミユリさんの応答。ピーラは僕を直視。
「では、兄はメラニを殺してナイのね?」
「恐らく。犯人は別にいる」
「てっきり気性の激しい兄が殺したモノとばかり…兄はメラニが浮気をしてたと信じてました。ソレは、もしかしたら、婚約寸前までいった私のコトかと…」
え。ちょっち待て。
「メラニは浮気をしてたのか?ところで、貴女は、お兄さんにはカミングアウトしてたの?」
「いいえ。メラニと婚約してからと思って」
「じゃお兄さんは、メラニの浮気相手は男だと思ってたワケだ」
兄が無実と知り、今にも泣き出しそうなピーラ。
「兄は、浮気相手は職場の男だと言ってました」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ミユリさん指示で"浮気調査"をして来たヲタッキーズの報告を"潜り酒場"で聞く。
「ミユリ姉様。メラニの元上司に確認したけど、浮気相手は職場の男じゃなかったわ。職場の男は2人で結婚してた」
「あら。2人とも?」
「いいえ。2人"は"結婚してた。ゲイょ」
複雑だな。いや、単純かw
「その会社は、裏アキバの高層タワーに入ってる。当時のテナントとか調べてみます?」
「マリレ。その必要ナイわ。姉様。姉様が隠し部屋で見つけたLED電球覚えてる?製造番号を調べてみたら、フラヲ不動産が一括購入してた」
「フラヲ・ステヴの不動産会社?赤煉瓦屋敷オーナーの?手広くやってるのね」
パジャマ姿が間抜けな印象だったが。
「つまり、フラヲのオッサンは赤煉瓦屋敷の隠し部屋を知っていたンだな。ソレを警察や僕達に黙っていた理由は何だ?」
「まさか、メラニの浮気相手もフラヲのオッサンだったりして」
「ところが、関係がこじれて2人を殺して赤煉瓦屋敷にマッラの遺体を隠した?」
ヲタッキーズのエアリ&マリレと妄想をハレーションさせる。ミユリさんは…加わらズに微笑んでるw
「すると、赤煉瓦屋敷を解体しようとしたのは、証拠を消すためかしら」
「少なくとも、秘密の通路を使って幽霊屋敷に仕立て上げ、誰も住まないようにしたのね」
「ところが、ソコへ流行りの除霊師"エクソシスターズ"が嗅ぎ回って来た」
「だから"エクソシスターズ"も殺した!」
メイド達の妄想は絶好調で盛り上がってる。ココでやっとミユリさんが口を挟む。
「ちょっち待って。状況証拠ばかりじゃラギィ警部は次長検事を説得出来ないわ。フラヲの尻尾をつかむには、も1つ作戦が必要ね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
赤煉瓦屋敷を見通す裏通り。駐車中の車内。
「来ると思う?」
「わかりません」
「明日のコトは伝わってるかな」
灯りを消した車内でミユリさん、じゃなかった、ムーンライトセレナーダーはうなずく。黒のヘソ出し…(以下略)
「はい。明日、赤煉瓦屋敷の隠し部屋を万世橋が調べると」
「もしオーナーのフラヲが犯人なら、マッラ・ベントの遺体を回収に現れるハズだね。でも、ヲタッキーズが逝ってるみたいに、フラヲが犯人とは限らない。違う可能性もアル」
「実は、私もそう思います。だけど…しっ。誰か現れました。赤煉瓦屋敷に入ります。鍵を持ってるようです」
深夜の暗闇の中を屋敷に入って逝く人影。
「もちろん、オーナーがトイレ修理のために来たのカモしれないね」
第4章 ソンビにセクハラ
赤煉瓦屋敷のリビング天井からミイラが顔を出す。
ロープが下ろされて、人影がリビングに降り立つ。
「フラヲさん。ミイラを下ろすのをお手伝いしましょうか?」
ムーンライトセレナーダーが必殺技"雷キネシス"を撃つポーズをキメて声をかける。振り向く人影。
「スミズ元刑事?」
「ムーンライトセレナーダー?マジで冬でもヘソ出しメイド服ナンだな。寒くナイのか?」
「余計なお世話です。しかし、貴方が犯人だなんてどーゆーコト?」
元刑事の口からトンでもナイ話が飛び出す。
「メラニは、夫からのドメスティックバイヲレンスに悩んでいた。毎月のように通報があり、私は毎回駆けつけていた。ある時、彼女を訪ね、様子を見に寄ったのだ」
「まさか、彼女と浮気を?」
「浮気じゃない。愛していた」
ソレを浮気と逝うんだょ。
「でも、殺した」
「殺す気はなかった。だが、別れたいと言われて…でも、私は別れたくなかった。ソレにマッラ・ベントは殺されて当然の暴力亭主なのだ」
「ソレで、事件担当の刑事として、犯人である自分から目を反らせるために、失踪したマッラに罪を着せたのね」
警官って犯罪者としても一流だw
「ピヨヤンからの葉書を仕込んだのも君か?」
「おや?国民的SF作家も一緒か?メイドのスカートに隠れて見えなかったぞ。正にその通りさ。全ての元凶マッラには、犯人に祭り上げられる義務がアル」
「ジャラ・シンラの情報はどうやって知ったの?」
意外な答えが返って来る。
「この事件は、俺が必ず解決するとフラヲと男同士の約束をしていた。だから、情報は全て俺に回して欲しい言ってあった。エクソシスターズのコトは気の毒だったが、ジャラは事件を知り過ぎていた」
「明日の隠し部屋のガサ入れの話もフラヲから聞いたのね?」
「さすがスーパーヒロイン。賢いとホメたいトコロだが、忘れてるコトがアル。このリビングは、サイキック抑制蒸気で満たしたから"雷キネシス"は使えない。今のアンタは、ただのイカれたコスプレ姉ちゃんだ」
音波銃を抜き…僕に向ける。え、僕かょ。
「跪け」
はいはい。ただ今。
「テリィ様、大丈夫。彼は撃てません。撃てば幽霊のせいに出来なくなりますから」
「なるほど。幽霊は音波銃は使わないモノな」
「そっか。じゃコレだ」
バタフライナイフを抜く。華麗に刃を開く。
「ミユリさん。殺人犯にナイスなアドバイスしちゃって、どうするつもりだ?」
「諦めろ。ヘッポコSF作家」
「あのさ。悪霊は人前で殺したりはしないよな。でも、今宵は観客が大勢いるんだ」
僕は、リビングに仕掛けた隠しカメラを指差す。
「今の"自白"を録画させてもらったょ」
「な、何?」
「万世橋警察署!万世橋警察署!」
隠れていたラギィ警部以下の警官隊が、拳銃を構えて飛び出す。完全に包囲スル。僕はカメラに頷く。
「逮捕完了。良い絵が撮れた?」
エクソシスターズと大描きされたバン。その中でプロデューサーのルルヲがつぶやく。
「エクソシスターズのために俺が出来るコトと言えば、コレぐらいだものな」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
解散が決まり、後片付けが始まった捜査本部。
「結局フラヲは無関係。隠し部屋も知らなかったわ。LED電球は、恐らくスミスが別の場所の電球を隠し部屋につけたのね。彼は今、セッセと供述書を描いてるわ」
「ラギィ。スミズはナゼ愛する人を殺したのかな?」
「弁護士と相談して、悪霊のせいだと供述するコトにしたみたい。多分、法廷で心身喪失を主張スル作戦ね」
ココでラギィが愉快そうに僕を振り向く。
「テリィたん。もう認めるしかないわ。散々幽霊だ、悪霊だと騒いだけど、赤煉瓦屋敷で起きた現象は、コレで全部説明がついたわ」
「そうかな。じゃ昨夜起きたコトは?急にドアが閉まったり、蝋燭が消えたよ」
「え。だって、アレは古い配線や隙間風のせいだったンでしょ?姉様から聞いたわ」
僕はしたり顔で答える。
「とにかくさ。あの時、蝋燭が消えなければ隠し部屋もマッラ・ベントの遺体も見つからなかった」
「ねぇ。わかるように話してよ」
「誰かが僕達に隠し通路を見つけるようメッセージを送ったんだ。ソレは、全滅したエクソシスターズの亡霊が、霊界から僕達を導いたのカモしれない」
ヘラヘラ笑うラギィ。
「じゃこうしない?霊界からのメッセージの可能性は認めるから、悪霊はいないと認めて」
「変な交換条件だな。ま、OKだけど。じゃ今日は帰るょ。お先」
「おやすみ、テリィたん」
その時、エレベーターを呼ぼうとボタンを推そうとしたら…スッと扉が開く。1Fボタンが推してアル。
「あれ?今の誰か見た?エレベーターが…」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。
「テリィたん。おかえり」
「スピア?夜更かしだな。シュリがIP電話に出ないのか?」
「ううん。もう話したわ」
浮かない顔だ。
「じゃ望んでた楽しいビデオ会話が出来たな?」
「ソレが…つまんなかった。シュリは気もそぞろ、私は疲れてたし。時差ナンて、なければ良いのに」
「遠距離恋愛は難しいょな」
すると、スピアは僕に食ってかかる。
「でも、ココまで大変なモノなの?私だけ?」
「…1つ語ろうか。どんな人間関係もブラックパンダー1本食べるより長く持てば必ず困難にぶつかる。でも、関係が壊れるのは大体は困難のせいじゃない。大抵はその関係が最初からモロかったせいさ…少しは楽になった?」
「うーん…全然」
カウンターの中でミユリさんがクスリと笑う。スピアは、突然僕の胸に頭を擦り寄せて来る。大胆だw
「でも、こうするのは好き。昔みたいで。貴方の元カノになる前みたい、って意味だぞ」
仕方なく抱き寄せる。
「コレだけは言える。心から信じたコトは、不可能でも可能になるコトがアル」
「ソレって"人食いゾンビ"も信じれば現実になるってコト?」
「そうさ。"人食いゾンビ"ならなおさらさ」
スピアはリモコンをモニターに向ける。
「あれ?"人食いゾンビ"また見るの?」
「このシーンからょ。未だ途中だったし…きゃ!触らないで!推しの前でしょ?セクハラだわ」
「ゾンビにセクハラだ(意味不明w)」
元カノが他の男の元カノになった夜が更けて逝く。
おしまい
今回は、海外ドラマによく登場する"エクソシスト"をテーマに、余り得意ではない?オカルトものを描いてみました。描き始めると性格的にも楽しめる題材でエンタメ小説の大事な要素を描けた事に満足感が残る結果となりました。引き続き、作品ジャンルを幅広くとって行きたいと思います。
今回のサイドストーリーは、元カノ会長の新カレ騒ぎの続きで、別れ話の方向で描いてみました。
海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、すっかり世界の家族旅行のメッカと化した秋葉原に当てはめて展開してみました。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。