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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
ドラグニティ魔法学園に入学 ~王子のことが大好きな令嬢と大嫌いな令嬢編~

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魔法学基礎の先生

「レオン王子は軍隊の戦いを覚えたら凄く輝くスキルを持っているんですね」

「はは……。今の時代、そんなスキルを持っていても意味がないよ」


 レオン王子が八〇年ほど前に生まれていたら、きっと後世に名を遺すような凄い王様になっていただろう。周りの国が全てルークス王国になっていてもおかしくない。


「次は僕か。えっと、僕のスキルは『思考速度上昇』というスキルで、普通に考えの速さが増すスキルだよ……」


 スージアは眼鏡をグイッと上げ、あからさまに頭脳系のスキルを持っていた。


「『思考速度上昇』どれくらい上がるの?」

「うーん、やりすぎと頭の血管が千切れるくらい痛くなるからあまり使いたくないんだよね。でも、計算とかをする時は凄く便利だよ」

「なるほど。じゃあ、数学が好きなの?」

「別に」


 スージアはあっけらかんと呟いた。スキルの持ちぐされはもったいない。

 まあ、今後、ドラグニティ魔法学園の英才教育を受けて能力が上昇すれば数学者にでも目覚めるかもしれない。ものすごく強い能力だけど、代償も大きそうだ。

 これで皆のスキルがわかった。


 メロアは勇者系スキルの『ブースト』を持ち、あからさまな戦闘狂だ。常識は持っており生徒会に自ら入るほど仲間思いの一面を持つ女の子。


 レオン王子は勇者系スキルの『統率』を持ち、国の第八王子。ものすごくイケメンだが、自己肯定感は低め。スキルも使い方次第で強力なのに弱いと思っている大変もったいない少年だ。


 パーズは聖女系スキルの『完全睡眠』を持っており、超が付くほどの努力家。朝一番に訓練しているから『完全睡眠』を効率よく使っていると思われる。ただ、パーズもレオン王子と同じく自己肯定感が低め。


 ライアンは賢者系スキルの『シールド』を持っている。カイリさんの『バリア』に似ているが耐久力や使用感がいまいちらしい。でも、連発が可能だとか。そんな守りに特化したスキルを持っているのに彼の精神は大変陽キャで、明るい性格だ。お茶らけており男子女子関係なく人気になりそう。まあ、恋人にしたくないランキング一位かも。


 ミーナは勇者系スキルの『身体能力八倍』を持ち、元気な獣族の女の子。戦うことと食べることが大好きで、いつもワイワイ騒いでいる。ライアンと息が合いそう。私の一番の友達だ。


 サキア嬢は聖女系スキルの『バタフライと友達になれる』スキルを持っており、大変美人な女性。黒髪美人はやはりこの世界でも超可愛い。私も黒髪にしたいなーなんて思わされる。話してみると案外話しやすく、面白い女性だった。


 スージアは賢者系スキルの『思考速度上昇』を持っており、一番自己肯定感が低い男子。始めは怪訝そうにしていたが、話してみると普通の男子だった。まあ、戦いは苦手そうだが勉強の面は強そう。わからないことがあれば彼に聴けば大概解決しそうだ。


「よーし、皆、もう一限目が終わるぞ。今日は二限目で終わりだ。新入生歓迎会に参加する者は各自で準備してくれ」


 フェニル先生は立ち上がり、腰に手を当てて私達にこれからの流れを説明した。


「新入生歓迎会は何時からですか?」


 私は手を挙げてフェニル先生に質問する。


「七時から始まる予定だ。九時頃まで食事と各部活の発表があるから楽しみにしているといい」


 フェニル先生は腕を組み、頷いていた。


「新入生歓迎会は行かないとだめですか……」


 スージアは物凄く面倒臭そうに呟いた。


「別に必ず参加する必要はないが、ここで行かなかったらスージアは一生彼女が出来ないぞ」


 フェニル先生は目を細め、圧強めで呟いた。


「え。ど、どういう意味ですか?」

「言い伝えだ。ドラグニティ魔法学園の新入生歓迎会に出なかった者は彼氏、彼女が出来なくなると。なんせ、私がその一人だからな!」


 フェニル先生は胸を大きく張り、ものすごく悔しそうに歯を食いしばっていた。あの時、新入生歓迎会に行っていればとずっと後悔しているらしい。


「……い、行こう」


 スージアはフェニル先生の悔しがる顏を見て危機感を覚えたのか行くと決意していた。


「まあ、ずっと独身でいたい奴は新入生歓迎会に行く必要はない。青春を謳歌したいというのであれば参加をお勧めしよう」


 フェニル先生は歪んでいた顏を元に戻し、笑みを浮かべながら私達に助言してくれた。


「さて、もうすぐ一〇時二〇分だ。もう、九〇分も経ってしまったようだな。一〇時三〇分から二限目が始まる。もう、勉強が始まるみたいだが、今日は一限目と同じような話し合いだろう。あまり気張らず、眠るなよ」


 フェニル先生は一〇時二〇分で鐘がなった時、部屋を出て行った。


「えぇ、もう授業が始まるのか。嫌だなぁー」


 ライアンは椅子にもたれながら天井を見て呟いた。


「何言っているの。明日からずっと勉強だよ。そのために学園に来たんでしょ」


 パーズはライアンの姿を見て当たり前のことを突っ込む。


「そうだけどさー。学園で勉強なんてありきたりすぎてつまらねーよ。どうせなら、運動がよかったー」

「体育や基礎訓練もある。そんなに嫌がらなくてもしないといけないことは沢山あるよ。だから、頑張って生活しないとすぐに学園から放り出されちゃうよ」

「それは嫌だな。一年で退学はダサすぎる。国に戻ってから笑いものにされちまうよ」


 ライアンは姿勢を戻し、体を伸ばす。そのまま椅子から立ち上がって屈伸運動していた。


「次って何の授業なの?」


 ミーナは私に訊いてきた。


「えっと。魔法学基礎かな」

「へぇー。私、魔法が使えないからあまり面白くなさそう」


 ミーナは溜息をつきながら机に突っ伏す。もう、やる気がない状態だ。


「魔法学基礎は魔法を使うための勉強じゃなくて、魔法がどうやって生み出されたとかそう言う基礎的な内容を学ぶらしいよ」


 私は予習してきた内容を軽くミーナに話した。誰かに話すと自分の頭にも定着する。効率がいい勉強法だ。

 なぜ、先生の頭がいいのかと言ったら生徒たちに教えているから。その都度頭がよくなっていく。繰り返せば繰り返すだけ、頭に定着していき、適当なことを考えていても授業が出来てしまうようになるという。まあ、その先生がいい先生かどうかは疑問だけど。


「フーン、まあ、優しい先生ならいいなー。怖い先生だったらちょっといや」

「誰だってそうだと思うよ。でも、怖い先生だからって悪い先生じゃないからね」


 私とミーナは軽く話し、時間を潰した。この一年八組の教室は無駄に広い。その割に生徒数が八名と極端に少ない。

 もう、廃校寸前の学校と何ら変わらない。でも、だからこそ仲が深まるのだろう。八〇人ほどの生徒がいたら一年間でも友達になれるかどうかわからない。

 私は八人程度の教室も悪くないと思っている。これだけ少なかったらいじめも起こらないだろう。逆にこれだけの人数でいじめが起こっていたらすぐにわかってしまうため、フェニル先生が対処してくれるはずだ。


「あ、もうすぐ一〇時三〇分だ。皆、席に座って」


 すでに学級委員長の顔になっているレオン王子は私達に椅子に座るよう指示した。もう、体がすーっと動き、考える必要もなく椅子に座る。これが『統率』の効果だろうか。まさに学級委員長が持っていてほしい力だな。


 一〇時三〇分になったころ、鐘が鳴った。すると教室の扉が開き、黒いローブを羽織った男性が部屋の中に入ってくる。

 私達はその男性にものすごーく見覚えがある。

 顔は少々老け、白い髭が軽く生えており、強者の風格が背中から伝わってくる。教壇に上がり教卓の後ろに立つと被っていた魔女帽子を脱いだ。綺麗に整えられた白と黒混じりの短髪が見え、顔が全て露出された。


「いやー、皆、入学おめでとう。これから、一の八教室で魔法学基礎の授業を受け持つ、キース・ドラグニティだ。よろしく」


 ドラグニティ学園長はピースサインをしながら笑っていた。


 ――あんたが教師して良いんですか?


「ど、ドラグニティ学園長先生。なんで……」


 レオン王子は目を丸くしてピースピースと両手でハサミを持っているかと思うくらい前に出しているドラグニティ学園長を見ている。


「レオン王子、ドラグニティ学園長先生など長い良い方はしなくていい。キースさん、キース先生の方が短くてわかりやすいだろう」


 キースさんは両手でピースしながらいう。この世界でもその手のサインは共通なのだろうか。


「じゃ、じゃあ、キース先生。えっと、なんでキース先生が授業を?」

「入学試験の時、実技試験で最後まで残ったのはレオン、メロア、パーズ、ミーナ、スージア、サキア、キララの八名だけだった。まあ、簡単に言えば、わしが直々に教えたくなるような生徒を選ぶ試験だったということかな」


 キースさんは髭を撫でながら、笑っていた。もう八〇代の高齢なのに先生をこなすってなかなか厳しいと思うんだけど。


「まー、わしが戦闘訓練してもよかったが、古い考えを押し付けるのも悪いと思ってな。若いフェニル先生が担当している。逆にわしは古い話ができる魔法学基礎を教えようと思ってここにいるということだ。他に質問は?」

「はーい、はーいっ! 私、魔法が使えないんですけど、それでも魔法学の勉強ってしないといけないんですか!」


 ミーナは獣族特有の質問をキースさんにしていた。


「いい質問だ。確かに、獣族は魔法が使えない。だが、魔法を使えないからこそ魔法に付いて学ぶ必要があるとわしは思っている」

「ん? どういうことですか」

「そうだなー。獣族の者は魔法がどうやって使われているか理解できるか?」

「いや、魔法を使っている知り合いがいないのでわかりません」

「そう。獣族は魔法の使い方がわからない。原理がわかっていないんだ。逆に他の生徒でいつの間にか魔法が出来た生徒はいるか?」


 キースさんが視界を回りに向ける。すると、スージアが手を挙げた。


「おおー、天才系がいた。珍しいー。まあ、人間は魔法を使っている。誰にも教わらずに魔法が使えてしまう者がいるわけだ。それはなぜか。周りに使っている者がいて原理を理解してしまったからだ」


 ――あぁ、ライトにも当てはまりそう。つまり、ライトも天才系ってことか。わかってたけど。

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