表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
ドラグニティ魔法学園に入学 ~王子のことが大好きな令嬢と大嫌いな令嬢編~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

995/1181

レオン王子のスキル

「えぇ。び、ビーって、あのビー? よくブンブンと飛んでいる虫のこと?」

「うん。あのビー達を操れるスキル」

「まあー、キララさん。私と同じ使役スキルだったんですね。嬉しいです。私一人だけ不遇な使役スキルだと思っていましたー。まさか、同じクラスに似たようなスキルの方がいると思いもしませんでしたよ!」


 サキア嬢は物凄く喜んでいた。自分よりも下のスキルの者がいたと喜んでいるようにしか見えない。実際、普通の人が聞いたらザッコ! と思うだろう。だって、地球だったら蚊を操れるだけのスキルだと思われるのだ。普通に弱そうじゃん。

 皆が思っているよりも弱くないんだよな。数が無数過ぎて。


「え、でもでも、キララは試験の時、ビーをいつ使っていたの。ビーよりもウォーウルフの方が使役の対象なんじゃないの?」


メロアは鋭い所に気が付いた。


「えっとね。私が使役している一体のビーは普段見えないんだよ。みんなにも見てもらおうかな。ベスパ、顕現して」

「わかりました!」


 ベスパは魔力体から実態へと変わる。すると、可視化できるようになった。


「初めまして皆さま。わたしはキララ女王様の下僕件社畜のベスパと申します」


 ベスパは私達の中央に飛び、蝶ネクタイをグイグイと直し、頭を深々と下げた。そのままくるりと一回転して皆に挨拶する。


「な、なにこの子、可愛い~っ!」


 メロアはベスパの姿を見て頬に手を当てながら目を輝かせた。ベスパのどこが可愛いのかわからないが、メロアにとっては可愛く見えているようだ。


「ビーが人のような形になっているのはどうしてですか?」


 サキア嬢は私の方に視線を送り、質問してくる。


「えっと、普通はビーの状態だけど、私、ビーが物凄く苦手で……怖くないように人型になってもらっているんです」


 私はベスパに視線を送る。切りそろえられた金のショートヘアーに、私と同じく整った顔立ち、触覚のような突起が二本生えている。だいぶキモイ。

 二頭身から三頭身くらいで体長は一八センチメートルほど。大きさは変えられるらしいが、見やすいので少し大きめになってもらっている。キモイな。

 服装は燕尾服のような黒と白が基調の服で、お尻はオオスズメバチのような黄色と黒のまだら模様の腹部っぽい部分が残っている。まあ、もう慣れたからいいのだけど、見直すとやっぱりキモイな。


「キララ様、さっきからキモイキモイと連呼しないでくださいよ。私はこんなに美しいんですから」


 ベスパは短い手を使って前髪を靡かせた。自称ナルシスト……、もう、トップ営業マン張りのイケメンなのに残念なイケメンだ。こう見えて中性なのも頭がおかしくなる。


「な、なんか、やっぱりキララに似ているよね」


 ミーナは苦笑いを浮かべながら私の方を見てきた。


「え、なんでそう思うの?」

「ええ、だって、今日の朝も自分で『今日の私も可愛い~』って言っていたから……」

「……」


 ――やべぇー、めっちゃはずぃー。


 私は女子の前で自分の気持ちを高めるという行為を暴露され、顔が燃えそうなくらい熱くなってしまった。

 ここで引いたらただの痛い奴だ。ここで引かないのがプロ根性。


「あははー、聞かれていたかー。誰にも言ってもらえないから、自分で言って心を強くしているんだよ。可愛いとか、綺麗って言うと、女の子は強くなれるの」

「えぇ、そうなの?」


 私の話にメロアとミーナ、サキア嬢が食いついた。


「そうだよ。誰にも惑わされない不屈の精神は女の子を強くするの。私、可愛いと綺麗って心の中で思い続ければ本当に可愛くなるし綺麗になって、強くなる!」


 私は一八〇パーセントの笑顔をうかべ、三人に見せた。


「ぐうううううっ! ま、眩しいっ!」


 メロアとミーナ、サキア嬢は目を手で覆い、私のキラキラ笑顔を遮る。一〇〇パーセントの笑顔を超えると光り輝きすぎて直視できないようだ。ほぼ、攻撃じゃん。


「でも、キララが強い理由はそこにあるのかも。ビーを操るとかいう雑魚スキルでドラグニティ魔法学園に入学できるくらい凄い。自分に自信を持つのが大切なんじゃないかな」


 メロアは勝手に解釈して頬を要手でもみ込む。


「わ、私は、か、可愛い。き、綺麗。くぅぅ、は、恥ずかしすぎるぅ……」


 メロアは耳まで赤くして縮こまった。自分が可愛いと思っていないとなかなか言えないので、メロアは自分に自信がないのかな?


「私、可愛い~、超綺麗~」


 ミーナは余裕で言えた。だが、ただ言っているだけにすぎず、本心でどう思っているかわからない。


「私は可愛い~、綺麗~」


 サキア嬢は大変良く出来ていた。自分に自信を持っており、惑わされない強い心をすでに持っているようだ。


「さあ、皆一緒に~、私は可愛い~! 超綺麗~!」


 私は笑顔の光度を落とし、一一〇パーセントの笑顔を辺りに振り撒いた。


「私は可愛い~、超綺麗~」


 メロアとミーナ、サキア嬢は私に続いて自分が可愛いと口に出しながら笑う。こんなナルシストみたいなことをして何になると思っているだろう。

 でも、案外変わるものだ。心の持ちようは体の持ちよう。心から体に現れることだってある。


「なんか、女子が可愛いと綺麗を連呼しているぞ。怖いんだが」

「そ、そんなこと言うなよ。確かに可愛くて綺麗な子ばかりだけどさ」

「お前達は誰が好みだよ。俺は断然サキアさんだな。大人っぽくて可愛い」

「ぼ、僕もかな。優しいし」

「私はメロアが可愛いと思う」

「悔しいけどメロアが可愛いかな」

「なんだよ、キララとミーナは可愛くないのか?」

「いや、キララさんは神々しすぎて……」

「うん……それな」


 男子の方からぼそぼそした声が聞こえてくるが、よく聞こえない。

 私達とは全く違う話をしているらしい。


「なんか、心がぽかぽかしてきた気がする。私って綺麗なんだ~」


 メロアは頬に手を当てて笑っていた。先ほどよりも大分自然に笑えており、可愛さが八割増しになっていた。


「いいねいいね~。メロアさん。ものすごくいいよ~。いやぁ~。眩しすぎて直視できない」


 私はメロアを存分によいしょする。心の持ちようは笑顔に直結する。女の笑顔は一番可愛いのだ。笑顔さえよければ大概何とでもなる。


「キララさん、凄いお話が上手ですね。本当に同い年ですか?」


 サキア嬢は私に向って呟いた。


「同い年だよ。逆にサキアさんだって凄い大人っぽい喋り方、さすがお嬢様ですね」

「そんな、私はとろいだけですよ。せかせかするのが苦手で」


 サキア嬢は頬に手を当ててお嬢様っぽく首をかしげる。そんな姿も絵になるほど美人だ。


「はぁ~。やっぱりお話をするのって楽しいね。皆のこと、もっと知りたくなっちゃうよ」


 ミーナは両手を上げ、私達の顔を見回す。


「あ、そろそろ二〇分が経つみたいだよ。いやぁー、話し合っていると時間がすぐに立っちゃうね。半分半分で交代か」


 私は懐中時計を見ながらレオン王子に視線を送った。すると気づいたのか、男子の方も半分に分かれた。

 私とミーナ、レオン王子とスージア。メロアとサキア嬢、パーズとライアンの四名に分かれる。


「レオンって本当に王子様なの?」


 ミーナはレオン王子に普通に喋っていた。


「本当だよ。まあ、私は八男だから、王子と言ってもいいか微妙な所だけど……」


 レオン王子は後頭部に手を置き、苦笑いを浮かべる。あんたの顔はちゃんと王族の顔だよ。アレス第一王子に似てカッコいいし、普通の女子なら余裕で落とせる。


「へぇー、王子様ってあの大きなお城に住んでいるの?」

「私以外の王族は王城で寝泊まりしている者が多いかな。まあ、兄弟の仲はそれぞれだから、食事は別のことが多いかも。私はあの王城から出られてほっとしているよ」

「そうなの? あんな大きなお城で住んで楽しくないの」

「楽しくないというか、窮屈というか。大変かな。私は王族に向いてないよ」

「へー、なんでそう思うか知らないけど、私はレオンが王様になったらいいなって思うよ」


 ミーナは笑いながらレオン王子を無意識によいしょする。いやー、上手いこというね。


「そ、そんな。私が王の座に就くなど考えただけで吐き気がするよ。あんなの、常人が出来ることじゃないから。私は絶対王様にならない。いや、成れないが正しいかな」


 レオン王子は王位を継げる王家の生まれなのに、トップに立とうとしなかった。まあ、長男のアレス王子もルークス王みたいになれるわけがないといっていた。そうとう辛い仕事なんだろうな、王様って。まあ国民の代表だし、辛い仕事ばかりか。

 私とミーナはスキルを軽く話した。先ほどと同じような反応され、普通に雑魚スキル扱いを受けるわけではなく、心配されてしまった。


「じゃあ、次は私のスキルに付いて話すよ。私は『統率』のスキルを持っている。自分の意思を周りに上手く反映させられる。簡単にいえば指揮官みたいなスキルだよ」


 レオン王子の話が多くの者に関与し、統率を上手く取らせていたのはスキルの影響だったようだ。

 そんなスキルを持っているのなら王族としては物凄く良い能力なのではないだろうか。


「『統率』って王様にピッタリのスキルじゃん。大当たりだね」

「そうとも言えないよ。相手を支配するような力だし、大人数過ぎると効果が薄い。せいぜい中隊くらいの人数しかまともに使えない」

「なるほど。命令ではないの?」

「命令じゃない。『全員自害しろ』って伝えても納得されなければ意味がない。私のスキルはただ自分の考えを周りに理解させられるだけ。そんなに強力なスキルじゃないよ。まあ、団体戦とかだと強力なスキルだけどね」


 レオン王子はもう少し自分が輝けるスキルが欲しかったと思っているようだが多くの者に自分の意思をしっかりと伝えられるのは、すごくいいスキルだと思う。

 経営者なら何が何でも欲しいスキルだ。

 社長の考えがわからないおバカな社員にも社長の考えを伝えられるなど、経営する上でこの上ない長所になる。

 無能な味方はバカで自分勝手に行動するが、ロボットのように頭の者に従って動けば物凄く脅威になる。レオン王子の頭は賢王の息子なだけあってものすごくいい。

 その者に『統率』のスキルを使ったら多くの者が将棋の駒、又はチェスの駒みたいに自分の役割をしっかりと全うできる。情報戦がものをいう団体戦で相手は全員に自分の意思を送れるというだけで情報機器がある時代よりも凄いのではないだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ