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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
ドラグニティ魔法学園に入学 ~王子のことが大好きな令嬢と大嫌いな令嬢編~

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自己紹介

「うーん、どうなんだろう。この顔ぶれで思い浮かぶのは学園の実技試験の時くらいしかないからあの件が関係しているのは間違いない。もしかすると、あの試験、組分けの試験だったんじゃないかな」


 パーズは顎に手を当てながら、ブツブツと呟いていた。頭が冴えているから、朝っぱらからでも思考ができると思われる。


「なるほど、その節はあるね。僕達以外、あの実技試験を突破した者はいないらしいから、この人数でもおかしくない。まぁ、実技試験を突破できたのはキララさんの影響が大きいけど」


 レオン王子は私の方を見てきた。他の三名も私の方を見てくる。なんか、私だけ異質な存在のように見るのをやめてもらってもいいですか。


「い、いやぁ、あの時は必死だったから。あはは~」


 私は笑って空気をなごませる。笑っておけば大概何とでもなるのだ。

 現在の時刻は午前八時四〇分。あと一〇分で授業が始まる。まあ、今日の授業は午前中だけ。大した内容はしないだろう。


「あらー、ここの教室であっているの?」

「えっと、普通にここだと思うけど。間違えたかも」


 黒髪の女性と紫髪の眼鏡が教室に一瞬入ってきたか、すぐに扉を閉めて出て行った。


「やっぱりここだわ」

「ここか」


 黒髪の女性と紫髪の眼鏡はすぐに出て行ったのにすぐに戻って来た。


「おはよう」


 レオン王子は私と同レベルのキラキラ笑顔を浮かべ、黒髪の女性と紫髪の眼鏡に挨拶する。


「おはようございます。まさか、レオン王子と同じ組になると思ってもいませんでした」


 長い黒髪が黒曜石のようにつやつやで日光に当てられ光輝いていた。キューティクルが抜群すぎて、私の髪とためを張れる。あの髪で筆を作ったら物凄く良い字が書けそうだ。


「えっと、サキアさんであっているよね?」

「はい、サキアであっています。よく見たら、顔を知っている方ばかりですね。よかった~」


 シーミウ国の黒髪令嬢、サキアは両手を合わせ、三大美女張りの微笑みを浮かべた。女神に近しい笑顔にライアンとパーズは普通にぽーとしている。

 服装の黒と赤のブレザーが黒髪と会っており、喧嘩していない。ほんと黒髪美人は反則だよな。私もどうせならもう一度黒髪が良かった。茶髪も嫌いじゃないけど、黒髪の神秘さは案外いない場所でないとわからないもんだよ。

 胸も一二歳とはおもえないほどおおきく、括れとお尻のラインがS字で色気まで持っていた。脚が異様に長く、八頭身なのは間違いない。子供で八頭身って。大きくなったら九頭身くらいになってしまうんじゃなかろうか。そこまでのモデル体型だと逆に怖い。


「フラァー」


 黒髪の髪留めかと思っていた蝶々型の虫『バタフライ』がふわりと浮かび、ベスパのもとにやってくる。


「おはようございます。私、ベスパ・マンダリニアともうしま……へぶしっ!」


 ベスパはバタフライの大きな羽ばたきに叩き落とされ、床にへばりついた。


「フラァ~」


 バタフライは私の指に止まり、翅を上下に動かして挨拶してくる。


「よろしくね」


 微笑みかけると、バタフライはふわりと浮いてサキア嬢の頭に戻る。


「うぅー、なんで僕がこんなところに。絶対何かの間違いだ。そうじゃなかったらおかしい。僕がこんなきらきらした場所に居られる訳がない。もう、僕はこの日陰の隅っこで授業をうけよう。そうしないと灰になって消えてしまう」


 紫髪の眼鏡は大きな魔導書を抱きしめ、黒いローブを羽織っていてわかりにくいが私達と同じドラグニティ魔法学園の制服を着ていた。彼は陰になっている一番後ろの奥側の角に座り、大きな魔導書を開いて私達と距離をとる。見るからに学者という感じ。

 七名がそろった。あと一人。一番元気な赤髪の少女が残っている。だが、午前八時四八分になってもあと一人がやってこない。


「メロア、なにをしているんだ。もう、五〇分になっちゃうよ……」


 レオン王子も懐中時計を持参しており、時計と入口を何度も見回しながら、心配していた。


「この学園、広いから迷子になっているんじゃないかー」


 ライアンは椅子に座り、後ろ足の二本だけでバランスをとりながら、呟く。それ、絶対にひっくり返る。


「探してこようかな……」


 レオン王子は懐中時計を閉じ、ポケットにしまった。すでに午前八時五○分になり、大きな鐘の音が鳴った。どうやら、授業が始まってしまったらしい。メロアは初日から遅刻したようだ。そう思っていたが。


「あぁー、なんで、どうして、こうなるのーっ! いやぁーだぁーっ!」

「残念だったな、メロア。今日から、私の監視付きの日々が始まるんだよ」


 教室に入ってきたのは肌の露出が多い冒険着を身にまとったフェニル先生と肩に担がれた赤髪の少女。その名をメロアという。


「やーやー、皆さん。お揃いで。おはようございます!」


 フェニル先生は教卓の前に移動すると大きな声を出して挨拶した。


「おはようございます!」


 私とミーナは大きな声であいさつできたが、他の六名はあっけに取られていた。


「どうしたどうした。そんな声じゃ、全然聞こえないぞ。おはようございます!」

「お、おはようございます!」


 私達はもう一度大きな声を出して挨拶する。


「よーし、いい感じ。今日から一年間この一の八組の担任になったフェニル・フレイズだ。よろしく! 好きなことは眠ること食べること、強い奴をぶっ倒すこと。嫌いなのは残業と悪い奴だ。特技はー、うーん、戦うこと?」


 フェニル先生は入ってきて早々、自己紹介を始めた。

 私はすでに知っていることが多いが、フェニル先生と面識が少ない者はポカーンとしている。未だに状況が理解できていないのだろう。だって、未だにメロアを担いだままなのだ。まずは、床に置いてあげてよ……。


「じゃあ次、メロアの自己紹介。第一印象は大切だぞー。もうすでに、お姉ちゃんにおんぶにだっこ状態だと思われている。この自己紹介で払拭しないとお姉ちゃん大好き人間だって思われちゃうからな」


 フェニル先生はメロアを床に降ろす。それも、泥袋を床に降ろす感じにどかんと……。


 メロアは両足で床に着地し、足先から頭のてっぺんまで電撃が走ったかのような苦笑を浮かべ、涙目になりながら前を向く。

 まあ、彼女はレオン王子の許嫁だ。管理されるのはわかるけど、さすがに過保護すぎやしないか。


「え、えっと。メロア・フレイズ。自己紹介って、他に何を言えばいいの?」


 メロアはフェニル先生の方を向き、質問した。


「そうだなー。名前と趣味特技、これから頑張りたいこととか、興味があることとか。自分を知ってもらうための時間だ。このクラスは人数が少ないからな。時間はたっぷりあるぞー」

「うぅ。そ、そんなこといわれても。趣味は戦うこと。特技は戦うこと。これから頑張りたいことは戦うこと。興味があることは戦うこと……」


 私達の頭の中でメロアは戦闘狂だということが印象付けられた。


「まったくー、これだからフレイズ家は。頭がおかしい奴しかいないのか」


 フェニル先生は自分も特大なブーメランを食らっていることに気が付いているのだろうか。


「まあ、いい。メロアはこう見えて案外寂しがりやなんだ。だから、皆、ぜひ、この子と仲良くしてあげてほしい。仲間思いのいい子なんだが、こういう性格だ。友達が出来なくてな。キララちゃんとミーナちゃんはもう、友達になってくれたと思うけど、サキアちゃんも仲良くなってあげてね」


 フェニル先生はメロアのことを勝手に言っていた。なんなら、あなたの方がメロアにぞっこんなのでは。


「も、もう、お姉ちゃん。勝手に私の自己紹介しないでよ! お姉ちゃんは私の何もわかっていないくせに!」


 メロアは激怒し、赤色の髪を魔力で浮かせながら燃えたように見える。


「まあまあ、落ち着け。この学園ではお姉ちゃんじゃなくて、フェニル先生といいなさい。私はメロアの担任だぞ」


 フェニル先生も負けじと魔力をメラメラと出現させ、メロアに威圧する。さすがに練度が違い、圧倒的に強い。


「う、うぅ……」


 メロアは炎に暑がる犬のような声を出し、私達の方に歩いてくる。

 左から二番目の席に座った。


「じゃあ、奥にいる子。前に来て自己紹介して」


 フェニル先生は教室の後ろで魔導書を持ちながら身を隠している紫髪眼鏡を呼んだ。


「うぅ……」


 さすがにずっとその場にいるわけにもいかず、紫髪眼鏡は前に歩いてくる。

 教卓の前に立ち、辺りを見渡しておどおどしていた。いきなり前に立たされて緊張しているのだろう。私だって初めてだったら緊張する。


「は、初めまして。スージア・アーノルドといいます。えっと、趣味は研究で魔法のことが好きです。特技は、えっと、なんだろう、ぱっと思い浮かばないな。特技らしい特技はないんですけど、しいていえばこの魔導書の内容は丸暗記しています」


 スージアは大きな魔導書を前に出し、顔を隠す。そこまで悪い顏じゃないのに、なぜそこまで自信がなさげなんだ。もっと普通にしていれば好青年に見えるのに。


「こ、これから頑張りたいことは勉強と研究です。興味があることは魔法学かな。えっと、魔法のことは好きですけど、明るいのは苦手です。運動も苦手。いや、普通に嫌い。動きたくない……。こ、こんなんでいいですか」


 スージアは振り返り、フェニル先生に話しかける。


「運動が嫌いだとー。もったいない奴め。せっかく男に生まれたんだ、強くなろうとおもわないのか。勉強も大切だが、ちゃんと鍛えないと強くなれないぞ」


 フェニル先生はスージアの肩を掴み、筋肉の付き具合を見ていた。


「まったく、ほぼ骨じゃないか。食事もまともにとっていないだろ。これじゃあ、倒れるぞ」

「そ、そんなこと言われても僕は草食で……」


 スージアはフェニル先生から離れ、一番左の席に座る。


「まあ、しかたない。これから変わってもらうとするか。じゃあ、次はメロアの隣」

「はい」


 黒髪ロングの美人令嬢が教卓の前に立った。


「初めまして皆さま。私の名前はサキア・チャローダともうします。これからよろしくお願いいたします。趣味はお花をめでること、特技は花が咲いている場所を位置すぐに見つけられます。これから頑張っていきたいことは勉強と実技です。興味があることは食べることですかね。私はシーミウ国から来たので、ルークス王国について知らないことばかりなのでぜひ、教えてください。よろしくお願いします」


 サキア嬢は頭を深々と下げた。なんて礼儀正しい方だろうか。

 ローティア嬢の嫌味が全くないバージョンとでもいえばいいのか、完璧な自己紹介だった。ここまで、綺麗な人がいるんだと言葉にしてしまいそうになるくらい、彼女が笑っていると顔の周りに綺麗な花が舞っている。

 私が星光だとしたら彼女は花だ。綺麗の類が違う。キラキラ光っているようなじんわり滲みだしている可愛さというか、もう一言じゃ表せないほど美しい。

 魅了されてしまうのは私だけではないはず。まあ、すでに男子達は彼女にメロメロになりかけだ。

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