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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
ドラグニティ魔法学園に入学 ~王子のことが大好きな令嬢と大嫌いな令嬢編~

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成長の可能性

 ――私の魔力量が多すぎて回りの人の魔力を満タンにしちゃったのか。ベスパ、満タンから魔力が増えることってあるの?


「ありませんね。魔力を枯渇させないと魔力量は増えません。なので、頭痛や吐き気、倦怠感を催す魔力枯渇症より、魔力過多の方も危険です。放っておけば、体が壊れてしまいます」


 ――えぇ。じゃあ、しっかり制限しないと、私は皆を殺しちゃうかもしれないってこと。


「そうなりますね。キララ様は普通にお風呂に入れば十分、周りの者の魔力を回復させるだけの力が得られるはずです。ただ放出される魔力と『女王の輝き(クイーンラビンス)』の違いがはっきりわかったと思われます」


 ――練った魔力とただ放出される魔力で受け取れる量が違うんだね。


「練った魔力を水とするなら、放出される魔力は水蒸気。同じ容器でも水蒸気だとすぐに一杯になってしまいます」

「なるほどね。だから、クイーンラビンスは相手が魔力過多にならないんだ……」


 私はブツブツと独り言をつぶやき、周りから若干引かれていることに気づいていなかった。


「あ、あぁー。あはは、私、何か言ってました?」


 私は周りの様子に気づき、苦笑いをうかべながら、苦し紛れに誤魔化す。

 居心地が少々悪くなり、体をさっさと洗ってお風呂場を出た。体を乾いた布で拭き、ベスパが用意していた下着と寝間着を着る。濡れた髪はヒートとウィンドの合わせ魔法で乾かす。


「ふふーん、ふふーん」


 私が魔法で長めの髪を乾かしているとなぜか視線を受ける。


「ねえ、キララちゃん。どうやって暖かい風を出しているの?」


 パットさんは目を丸くしながら私の方にやって来て魔法陣から出ている暖かい風に手を当てる。


「え。魔法を二種類使って、って! はっ!」


 私は思い出した。魔法を二種類同時に使うのは普通にぶっ飛んでいる技術だと。


「んんっ! た、たまたま、温かく感じたんじゃありませんか?」


 私は『ヒート』の魔法陣を消し、『ウィンド』だけの状態にする。


「あれ? なんか、さっきよりもぬるくなった気が。気のせいだったのかな」


 パットさんはブラジャーを付ける素振りを見せず、普通に薄着を羽織る。


「パットさんは胸当てを付けないんですか?」

「え、あはは、もう、やだなー。私に付ける必要ある?」


 パットさんは軽く笑い、手を振って恥ずかしがっていた。


 ――いや、あなた、普通に胸があるからね? ノーブラで生活していたら服の上から大切な部分の位置がばれてしまうよ。


 案の定、パットさんの薄手の内着の胸に二カ所、押したくなるボタンが生まれていた。そんな状態を他の男子に見られたら発狂ものだ。


「パットさん、あなたは胸があります! 私みたいな人間をないと言うんです!」


 私はすっとーんと真下が見えるほど、平らな胸を見せる。内着を着ていようとも内着の布地に空間が空き、届きすらしないのでボタンは現れていなかった。悲しきかな。


「でも、私が胸当てをして何か意味があるの?」

「そうですね、胸の形がよくなります。あと、少しぎゅっと内側に縮めるような品を付ければもう少し大きく見せることも可能です」

「え……。ほんと!」


 パットさんは私の両肩を持ち、真剣な眼差しを向けてくる。


「はい。一回り大きく見せることが可能です。なんなら、偽物の乳を入れてもっと大きく見せることだって。まあ、気づかれたら最悪ですけど」

「じゃ、じゃあ、つけてみたい。キララちゃん、私用のブラジャーを作ってほしい!」


 パットさんは胸に大なり小なりコンプレックスを抱いているようなので、彼女専用のブラジャーを作る。胸を内側にぎゅっと縮め、少し大きく見せるブラジャーをベスパは作成してきた。


「どうぞ」


 私はベスパからブラジャーを受け取り、パットさんに手渡す。


「よ、よし……」


 パットさんの乳は何もしていない状態でCカップだ。なら、内側に寄せればあれよあれよという間にDカップに大変身。何なら、Eカップに見えなくもない。


「お、おぉー。す、すごい。ちょっと谷間が見える!」


 パットさんの胸が内側に寄せられ、持ち上げられた結果、Dカップのいい具合な乳の形になっていた。


「凄い……、凄いよキララちゃん!」


 パットさんは泣きだし、大喜び。私の体にムギュっと抱き着いてくる。大きすぎない乳はほのかに暖かく柔らかい。石鹸の良い香りがして、元気なスポーツ少女感満載だ。


「はは……、喜んでもらえてよかったです。締め付けが苦しかったら外してもらって構いません。少し柔らかめの生地も作れますから、気軽に話しかけてくださいね」

「うん。もう、お金を払いたいくらい良い品だよ! 本当にありがとう!」


 パットさんは自分の体を脱衣所にある洗面台の鏡で見ながら喜んでいた。まあ、胸があるに越したことはない。別になくても赤子に授乳できれば問題ないのだけれど、男からどう見られるかは別問題だ。


 私は胸に少なからず劣等感を抱いているわけだが、致し方ないこと。だが、そういうことで簡単に諦めが付くわけではない。まだ、一二歳だ。成長期真っただ中。可能性に掛け、女性ホルモンを沢山分泌させるために夜更かしせず潔く眠る。これが一番大切だ。沢山眠る。これに勝る成長を促進する効果がある方法はない。

 髪を乾かしたあと、寝間着の状態で部屋に戻る。鍵を使って部屋の扉を開け、中に入るとフルーファとフェンリルがあくびをしながら転がっていた。ほんと似た者同士だ。


「ちょっと、寝転がっていたら汚くなるでしょ。伏せにしておきなさいよ」

「えぇー。こうやってゴローンとしているのが気持ちいいのに」


 フルーファは両手両足をあげ、犬掻きをしている。あまりにも情けない恰好だ。


「そうそう。われは神獣。このように大胆にしている方が神っぽいだろう」


 フェンリルは伏せではなく、クマや虎の毛皮のようにでろーんと手足を伸ばして尻尾を振っていた。

 この二体は仕事がないと怠けるように頭の中がすでに整ってしまっている。簡単に変えることはできないだろう。


「はぁ、私がいる時は私の言うことを聴きなさい。じゃないと、ブラッシングしないからね」


 私はブラシをトランクから取り出した。

 フルーファとフェンリルはブラシを見た瞬間に体を起こし、お座りの状態になった。あまりにも速い動きに苦笑いしか出ない。


「まったく、最初からそういうふうに動いてよ」


 私はお風呂に入って来たフェンリルではなく、フルーファの方からブラッシングした。


「ああぁー、至福……」


 フルーファは舌をだらんと垂らしながら全身の力を抜いてブラッシングされていた。黒いつやつやの毛がぎっしり生えている。夏が近づくにつれてブラシに沢山の黒い毛がついていた。そう思ったら、毛が魔力になり私の中に吸収される。私の魔力で形成された毛だったらしく、抜けて死んだので戻ってきたらしい。

 どれだけモフモフの魔物を飼っても抜毛を気にしなくていいのは最高だ。


「あぁ、キララ、キララ。われもわれもー」


 フェンリルは幼稚なおっさんの声を出し、私に飛びついてくる。こいつの年齢はこの世界とほぼ同じのはず。そのため、数億と、数万年は硬い。なのに、こんなにバブバブされるとうざい……。


「はいはい。そんな赤ちゃんみたいに声を出していたら威厳がないから、スンっとしてなよ」

「ブラッシングの前にスンっと出来るわけがなかろう!」


 フェンリルは逆切れし、私の体の周りを高速で走る。


「もう、わかった、わかったから、止まって!」


 フェンリルは私の前でピタリと止まり、背中を向ける。ぺろぺろキャンディーのように丸まっている尻尾が可愛いと思うのは相手が純白の狼なので仕方がない。

 体の汚れを取るように綺麗にブラッシングしてあげると。


「くーん、くーん」


 フェンリルは本当の犬みたいにとろとろになり、溶けた雪のように床に倒れる。


「はぁー、悔しいけど、かわええ……」


 私の可愛さに負けず劣らずの純白狼が溶けた姿は写真で激写したいくらい可愛い。SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)で配信したい。そうすれば容易く一〇〇万再生を超えるだろう。まあ、神獣のフェンリルなら一億再生も余裕かもしれない。はは、フェイク動画だと言われて炎上するのが落ちかな。


「ぎゅーっと」


 私はフェンリルに抱き着き、モフモフ具合を堪能する。


「ちょ、キララ、そんなおっさんに抱き着くなよ……」


 後方から若いウォーウルフのフルーファが寄り添ってくる。


「ふふふっ、われの魅力にこのおなごもやられているのだよ」

「調子に乗らないの」


 私はフェンリルのお腹をわしゃわしゃと掻く。


「あ、あぁう~。きゃぅ~っ」


 フェンリルの可愛らしい声が鳴り、神獣の雰囲気は一切無い。

 私はストレスを二体のモフモフに癒してもらったあと、椅子に座り勉強する。明日はクラスの者と出会い、夜はパーティーだ。疲れるだろうから、勉強を終えたらさっさと眠らないとな。


 ――それにしても、ミーナ、遅いな。場所はわからないわけないし、先輩と話しこんでいるのかな?


 私はミーナの帰りを待つ。部屋の戸締りをしておかないといけないので、早く帰ってきてほしいのだが……、中々帰ってこない。


 私が待っていると、少々疲れているミーナが帰って来た。


「はぁ、はぁ、はぁ……。まさか、夜中にモクル先輩と力比べをする羽目になるとは」


 ミーナは疲れたのか、そのまますーっとベッドに流れていき、ぱたりと倒れる。


「ミーナ、勝ったの?」

「うーん、スキルを使ったら勝てたけど、使わなかったら負けてた」

「なるほどね。まあ、お疲れ様。眠って明日に備えよう。明日は八時五〇分に各教室に行かないといけないらしいからそれまでに起きて朝食をとって園舎に向かわないといけない。わかった?」

「うぅーん、キララに任せる…………。すぴぃ…………」


 ミーナは気絶するように眠った。あまりにも早い睡眠だ。気絶と同じで危ないのだが、ミーナの体力なら問題ないか。


 私はカーテンを開けておき、陽光がしっかりと入るようにしておく。部屋の照明を消し、月あかりに照らされている部屋の中をゆっくりと歩いた。

床が軋む音すらせず、部屋の作りがしっかりしているとわかる。


「ふぅー。やっと眠れる。明日は寝坊しないようにしないとな」


 何とも長い一日をやっと終え、私は実家の匂いが染みついた安心感満載の布団一式の上で眠る。フルーファが飛び乗って来て、フェンリルも私を挟むようにして寝ころぶ。川の字になって眠るのは良いが、夏になったら暑苦しくて仕方ないだろうな。

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