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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
ドラグニティ魔法学園に入学 ~王子のことが大好きな令嬢と大嫌いな令嬢編~

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二人部屋

「冒険者寮の皆さん! 男は俺に付いて来てくれ!」

「女は私に付いて来てっ!」


  魔法堂の入口付近で男性と女性の上級生が立っていた。

  きっと寮長の方だろう。冒険者寮の八割が男子だった。いや、男子多すぎだろ。理系かよ。

 ざっと二三〇人。そのうちの二〇〇人ほどが男で、残りの三〇人ほどが女だった。

  私とミーナ、メロアの三名はそのうちの一人。ほんと、冒険者になる女性って少ないんだな。逆に騎士も少なそうだ。そうなると、学者寮が女の一番多い場所なのだろう。


 私とミーナ、メロアは冒険者寮の女子寮寮長らしき栗毛の女性のもとに向かう。


「初めまして! 冒険者女子寮寮長のパット・ノーツです! よろしくね!」


 パットさんは栗毛の長髪だった。後頭部で長い髪を結び、ポニーテールにしている。すっきりとした顔立ちで、クラスで二から三番目に可愛いスポーツ少女といったところか。

 体型は一七〇センチメートルの長身で、筋肉がしっかりとついたスラッとしているモデル体型。

 胸は……Cカップくらいで普通。この世界だと貧乳に分類されるだろう。左腰に剣を掛けており、冒険者感満載だ。


「じゃあ、冒険者寮になった皆は私に付いて来て!」


 パットさんは私達の前をドカドカと歩く。まあ、両手を大きく振って大股で歩いているだけだが、元気があふれ出ていた。


「なんか、凄く元気な先輩だね……」


 私はぼそっとミーナに呟く。


「うん、凄く頼りになりそうな先輩だよっ!」


 ミーナは両手を握り、耳と尻尾を動かす。


「さぁー、人は見た目に寄らないから、案外弱気かもよ……」


 メロアは目を細め、パットさんを見つめる。


 ☆☆☆☆


 私達がやってきたのは大きくも小さくもない寮だった。旅館ほどの大きさで、冒険者寮の女子がいかに少ないかわかる。


「はははっ! 来たかひよっこども!」


 寮の入口に立っていたのはもう、何度も見た覚えがあるフェニル先生だった。あぁ、この人が寮監なんだな。

 メロアは明らかに嫌そうな顔をしていた。だが、入ってしまったからにはもう抜け出せない。


「フェニル先生! 新入生女子二八名を確保してきました!」


 パットさんは胸に手をあてて大きな声を出し、フェニル先生に報告する。


「よくやった! パット!」


 フェニル先生は腰に手を当てて、大きな胸をはりながら声を荒げる。彼女が寮の中にいると思うと面倒臭そうだな。


「では、この私が冒険者女子寮の寮監、フェニル・フレイズだ。よろしく!」


 フェニル先生は体から真っ赤な魔力を溢れし、威圧感がたっぷりの声を出す。もう、この中で自分が一番偉いんだという雰囲気がバンバン感じた。


「皆の生活は私の管理下にあると思え。試験の結果や不摂生などすべて監視……しているわけじゃないが、皆の姉御みたいな感じだと思ってほしい。わかったか!」


「は、はい!」


 フェニル先生が声を荒げると、私達は返事をした。


「よろしい。では、軽く寮の説明しよう。朝七時から食堂で朝食がある。午後七時に夕食だ。共同風呂が午後五時から空いている。好きなだけ入れ。八日に一度、全員で大掃除をこなし、寮の清潔を保つ。掃除の当番はその都度変わるからしっかりと行うように。返事!」


「はいっ!」


 ――私は軍隊にでも入ったわけじゃないんだけど。


「冒険者女子寮にいる上級生は二年が一五人。三年が八人だ。だいたい、半分ずつ減るな。この中にいる者達も一年、二年で半分減ると思え。それか、皆で一緒に頑張ろうといってこのまま二八人で残ってくれていても構わん。まあ、本人の自由だ!」


 ――うえぇ。やっぱり、厳しそう。まあ、上級生になるころには人数が物凄く減るのは知っていた。他の寮だともっと顕著なんだろうな。


「んんっ。あー、この中で彼氏がいる者がいるか知らないが、男子生徒を寮の中に入れるのは出禁だ。男と会いたいなら他の場所に行け。いいか。部屋に連れ込んで夫婦ごっこなんてするんじゃないぞ。私が泣く!」


 フェニル先生は瞳に涙をため、口をもごもごさせていた。


「ふぇ、フェニル先生にもいつか素敵な男性が見つかりますよ。だから、泣かないでください」


 寮長のパットさんはフェニル先生が泣くのを止めた。


 フェニル先生はどれだけ根に持っているんだ。まあ、もう二〇歳を過ぎているはずだし、大貴族なのに結婚していないというのは案外悲しいことなのかもしれない。


「はぁ……。すまない。少々取り乱した。まあ、他の話はおいおいするとして、寮の部屋は二人部屋だ。二八人なら二人の一四組が出来る。話し合って決めろと言ったら不満がでるだろうから、私が勝手に決めさせてもらおう」


 フェニル先生は私達の体に炎を纏わせ、ひも状に伸ばす。二八束の紐の中から、二本引く。すると、纏わりついていた炎が消えた。


「消えた者同士が同じ部屋だ。運命だと思って仲良くしろよ」


 私の体に着いた炎はまだ消えていなかった。フェニル先生によってどんどん相手が決められていく。

 私の周りに付いていた火が消えた時……。ミーナの火も消えた。やはり、私とミーナは運命の赤い炎で結ばれていたのだ。


「うわ~いっ! やったぁ~っ!」


 ミーナは露骨に悦び、私に抱き着いてくる。


「あはは。まさか、本当に同じ部屋になるとは。まあ、これから一年一緒に頑張ろう!」


 私はミーナに抱き着く。残ったメロアは金色たてがみロールのお嬢様と一緒になっていた。あの、金髪ロールお嬢様はどこかで見た覚えがあるが……。どこだったかな。


「皆、相手と仲良くなれたか? まあ、そんなすぐに仲良くなれるわけないが、一緒に食事して風呂入って寝れば友だ。冒険者なら酒飲んで歌って一夜明かせば親友だ。そう、難しく考えず、相手を知ろうとすればいい。それだけで、仲は深まる。じゃあ、番号を振っていくからそれが皆の部屋番号だ」


 フェニル先生は私達に部屋番号が付いた鍵を二枚手渡してきた。私とミーナの部屋は八番。


「じゃあ、今晩は新入生歓迎ということで、食堂でパーッと飲もう! 私だけだが……」


 フェニル先生は一気にしゅんとして、縮こまる。彼女に友達と呼べる相手がいないのかもしれない。


「わ、私達もジュースや紅茶を飲みますよ。フェニル先生だけじゃありません」


 パットさんはフェニル先生を元気づけ、立ち上がらせた。


「んんっ。明日は新入生歓迎パーティーがある。今日はしっかりと休んで、明日に備えるように」


「はいっ!」


 私達はフェニル先生の声に反応し、大きな声を出した。


「じゃあ、荷物を自分達の部屋に運んでね。私と上級生は明日の新入生歓迎パーティーの準備に行くから、何かわからないことがあったらフェニル先生に訊いて」


 パットさんは新入生歓迎パーティーの準備に向かった。冒険者寮に入った女子はもちろんほぼ貴族。私とミーナ以外は貴族だ。そのため、メイドさんや執事が荷物をパパっと運んでくる。自分から動く者は少なかった。すでに、ドラグニティ学園長の話など忘れているようだ。


「まあ、私も同じようなものか。じゃあ、ベスパ。私達の部屋に荷物を運んで」

「了解です」


 ベスパは他の執事やメイドと同じように頭をペコリと下げて、ぶーっと飛んで行く。私達の荷物を持ってくると寮の中にスーッと入って行く。


「じゃあ、ミーナ。私達の部屋に行くよ!」

「おお~っ!」


 ミーナは右手を上げ、尻尾を振りながら楽しんでいた。

 木製の扉を開けて中に入ると、広間があった。通路と階段が見え、階段を上ると先輩たちの部屋があるのだろう。

 私達の部屋は八番ということで、一階の一番奥の部屋だ。

 隣が一部屋ないだけで、うるささは半減するかもしれない。


 建物は木造で、築何年だろうか。八〇年はさすがにいい過ぎか。まあ、二〇年くらいは経っていそう。でも、とても綺麗な内装だった。

 高級ホテルを彷彿とさせる白い壁に少々歩きにくいんじゃないかという藍色の絨毯の床。これを掃除するの大変だなと思わざるを得ない。

 まあ、ブラットディアに掃除させればすぐ綺麗になるか。


 私とミーナは八番の部屋に来た。

 すでに扉が開いている。ベスパが内側から開けたのだろう。


「じゃあ、ミーナ。入るよ」

「うんっ! 入ろう、入ろう!」


 ミーナは両手を握りしめながら、飛び跳ねていた。

 扉を開けるとすぐに部屋が広がっていた。セミダブルほどのベッドが左奥と右奥の角に置かれ、左手前と右手前に勉強机が置かれている。半分で割ったら鏡の世界とでもいうのか、左右反対に品が置かれていた。

 まあ、二人部屋なら、こうなるよね。


 扉の前方に窓が付けられており、あっちが東なのだろう。現在の時刻は午前一〇時ごろ。なので、東からの日差しが差し込んでくる。

 カーテンと窓が開いているので、ビー達が出て行ったと思われる。景色は良い。ドラグニティ魔法学園の広い土地が一望できる。まあ、寮の庭っぽい場所が見えているだけだ。


 一階なので窓際に花壇が作られており、花は……、咲いていない。手つかずの花壇だ。ただの土の花壇は寂しいな。いつか花でいっぱいの花壇にしたい。


「はぁー、私のベッドだ~っ!」


 ミーナは木製のベッドの上に倒れ込む。

 私は実家で使っていたメークルの羽毛を使った敷布団が乗せられており、ふっかふか。

 腰の重さにも負けない弾力性があり、腰が痛くなりにくい。

 掛け布団も羽毛布団と薄手のシーツを持参している。やはり、寝具にこだわらないと。って、なんで私はアスリートみたいな思考しているのだろうか。


「でも。なんか、キララとこれだけ離れているの、寂しいなぁ……」


 ミーナは私の方を向きながら尻尾をしゅんと下げる。


「じゃあ、おいで~」


 私は両手を大きく広げた。


「うわ~いっ!」


 ミーナは私の方に向って走り込んでくる。そのまま、ぽふんっと布団の上に乗り、私に抱き着いてきた。可愛らしいペットのようで、友達だ。彼女の頭をよしよしと撫でる。すると、下を向いていた尻尾がブンブンと振られ、とても喜んでいる。


「はぁ~。やっぱり、キララのにおい、ものすごく心地いい。もう、眠たくなってきちゃった」


 ミーナはうとうとし始めた。まだ、午前中だというのに、さすがに早すぎる。


「ミーナ、起きて。まだ、午前中だよ。この後の話はまだ聞いていないけど、明日の新入生歓迎パーティーの準備のために色々しておかないと」

「色々って……」

「うーんと、とりあえずドレスの確認」


 私とミーナはドレスが入ったトランクを見る。ベッドの上にトランクを置き、ベルトを外して開ける。とても綺麗に畳まれたドレスが現れた。さっさとトランクからださないと、皴になってしまう。まあ、スチームで伸ばせば問題ないか。私とミーナはそれぞれの戸棚にドレスを収納する。

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― 新着の感想 ―
社交界、おそらく社交会と言いたいのだと思いますが、社交ダンスや舞踏会という言葉はあっても、パーティーを意味する語として「社交会」という単語はざっと調べた限り、存在しないはずです。 社交界はいわずもが…
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