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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
ドラグニティ魔法学園に入学 ~王子のことが大好きな令嬢と大嫌いな令嬢編~

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学園長挨拶

 ドラグニティ学園長があまりの早着替えを見せると、多くの者が驚き、目を見開いていた。


「えー、では。ドラグニティ魔法学園の新入生の皆、入学おめでとう。また、この場にはいない保護者の皆様もお子様のご入学について心よりお喜びを申し上げます」


 ドラグニティ学園長は来賓の方にも頭を下げながら、話しだした。


「この晴れがましい第八八八回目の入学式にお忙しい中、ご来賓としてご臨席を賜りましたルークス王国の国王であらせられるケイン・ルークス様、正教会教皇であらせられるバロア様、五大老のマーモン様をはじめ、多数のご参列の皆様に厚く御礼申し上げます」


 ドラグニティ学園長が来賓に頭を下げると、来賓も頭を下げた。


「本日、ドラグニティ魔法学園に八〇〇名が新たに入学した。教職員一同も新たな新入生を迎えて大変喜ばしい気持ちでいっぱいだ」


 ドラグニティ学園長は胸に手を当て、うんうんと頷きながら気持ちを高ぶらせている。


「さて、本学園は設立以来八八八年が経過し、三年前に学園に入学した生徒は今年の三月に大学に入学、また多くは就職した。七年前の生徒は大学院に進学した生徒もいる。なんなら、八年前に卒業した悪ガキだった生徒がSランク冒険者にまで上り詰めた者もおる」


 ドラグニティ学園長は遠い目でどこか見ていた。フロックさんのことを思い浮かべているだろう。


「就職者の中には、希望して本校で教鞭を執るべく戻って来てくれた卒業生もいる。このことは、冥利に尽きることで教職員一同大変嬉しく思うと同時に、教育機関として卒業生が社会に出るという一つの回路の中で役割をはたし、次の新たな段階に入ったと思っておる」


 ドラグニティ学園長はフェニル先生の方を向き、にやりと笑っていた。


「教職としての役割は限られてる。社会貢献する人材の育成は本学園の教育方針のひとつだが、いかに貢献したかは生徒本人のみが知り、社会が評価する。学園としては卒業生が世界で活躍する上で、本学園で学んで良かったと思える教育を目指している」


 ドラグニティ学園長は力強く声を出し、私達に気持ちを伝えてきた。


「現在、王都への人口の一局集中化、またルークス王国・シーミウ国の局所的集中化が問題になっている。この集中化したところは一時的にはいろいろな文化の集合体となるものの、そのままではいずれ全てが同じ種類になるだろう。そこで異種の文化価値観が混ざりあうことによって新たな文化を創造することが大切だ。その文化や価値観を持った人材を送り出すことも本学園の目的のひとつ」


 周りの者はドラグニティ学園長の話をしっかりと聞き、眠っている者は誰もいなかった。


「このようにルークス王国の王都は極めて魅力ある地で、皆は三年間、大学に行く者は七年間学ぶことになる。是非、このドラグニティ魔法学園で学ぶことに対して誇りを持ってもらいたい。このことが、ここで学ぶ大きな力となり、そしてこの地が皆を大きくしてくれることと自負している」


 ドラグニティ学園長はルークス王国が大好きなのかな。熱量が大きい。


「さて、皆は望むと望まざるとに関わらず、大きな渦の中で生きていくことになる。これからは、時代が加速し、目新しい社会の中で生きていくことになる。近い将来、世界の多くの人がつながり便利に、そして快適になっていく。そんな世界がすぐそこまで来ている」


 ドラグニティ学園長は先見の明でもあるのか、本当にそんな世界が来るのかもしれない。まあ、ライトがちょっと何かすれば世界は一変するだろうな。


「簡単に世界からあらゆる情報を入手でき、生活に活用できる魔法が増え、国が豊かになる。すでに、このような世界を享受している人も多いだろう。また、不意に思わぬ人、知らない人と繋がってしまうことがあるかもしれん。今、隣にいる者はほとんど知らない者だろう。だが、出会ってしまった」


 私達は周りを見渡し、顔も知らない人々と出会っていた。


「ここにいる多くの者が貴族だろう。今までは執事やメイド、親が考え、自身が考える手間を掛けていた。だが、これからは己で考え、答えを導き出す必要がある。学園での生活は厳しくも楽しい。そんな中、ふと時間ができ、他のことを考えるられるようになれたら、皆の未来は明るかろう」


 確かに多くの者が貴族で、メイドさんや執事がちらほらと立っている。彼らの手を使わずに成長しなければならないのが、このドラグニティ魔法学園ということか。


「これからの時代、己の意志がしっかりしていないと、人任せ・無責任な者になるだろう。これから来る新しい時代で生きていくために、このドラグニティ魔法学園で一人一人が世情を見据えて学び、国際的な視点をしっかりともって今後も生活してほしい」


 ドラグニティ学園長の話で冷や汗を掻いている者が多かった。きっと、他人任せばかりにして来た者達だろう。逆に笑っている者もいる。未だに恐怖していないのはさすがにおバカかな。きっと来年は見ない顏だ。


「皆、将来は人々にとって真に豊かな世の中の実現に貢献する人になってもらいたい。この地は、歴史と文化、そして自然に溢れた素晴らしい場所だ。この王都で皆は、かけがえのない青春を送ろうとしている。いや、送れ!」


 ドラグニティ学園長の圧は強い。そこまで許容しなくても。


「皆は、第八八八期生として本校に入学した。我々はこれまで以上に、生徒や保護者の皆様、そして社会からの期待に応えるべく、より高い教育指導や生活指導をこなす所存だ」


 ドラグニティ学園長が言うと、ものすごくついて行こうという気になった。


「その教育指針は、基礎となる高い学力の所得、語学力、国際的な人間の育成を中心にして、さらに一定の既実のもとの事実性や主体性を持つことを目指す。すなわち、その本筋は確かな学力と豊かな人間性を備えた先頭に立つ者の育成にある」


 ――なかなか難しいことを目標にしているんだな。つまり、リーダーシップが取れる人間を育成したいってことだよね。リーダーシップか。私にあるかな?


「新入生の皆も現在のワクワクとした初心を忘れずに高い志や目標を持って、また課外活動などに大いに挑戦してもらいたい。初心は、つい忘れがちになる。高い志や初心・しっかりとした目標を持ち、同じ志の友人が得られれば苦しいときや辛い時も乗り越えていける。ぜひ頑張ってもらいたい」


 ドラグニティ学園長の長々とした話は彼の熱意によって眠気を催すこともなく、終盤を迎えていた。


「最後に保護者様に於かれましては、お子様の教育を本学園、ドラグニティ魔法学園に託していただき誠にありがとうございます。もちろん、生徒本人の努力も不可欠になりますが、本園には将来のルークス王国や社会に貢献する者の育成というルークス魔法大学の目標をもとに、高い学力や部活動など通して豊かな人間性の育成に教職員一丸となって生活指導に当たりたいと思っておりますので、ご理解よろしくお願いいたします」


 ドラグニティ学園長は来賓やちらほらといる大人たちに向って頭を下げた。


「これをもって入学式の式辞といたします」


 ドラグニティ学園長は一瞬で正装に着替え直し、椅子に戻っていく。


「ありがとうございました。続きまして、来賓の方々より、ルークス王国、国王であらせられるケイン・ルークス様よりお言葉を頂戴いたします」


 女性教員が喋ると、ルークス王が立ち上がった。


「んんっ。あー、今日はお日柄もよく、大変すばらしい入学式になってよかった。ほんと、昨日も騎士養成学校の新入生たちが、もう、目をギラギラ輝かせている姿を見て、感動したのを覚えている。だが、やはりドラグニティ魔法学園の生徒達もまた、目をギラギラと輝かせている。これだけ、向上心のある子供達をルークス王国の地で育てられるとは、何と嬉しいことか」


 ルークス王は案外喋りやすそうな方だった。もう、ガッチガチの王様という訳ではなく、そこら辺にいるおっちゃんみたいな……。まあ、ああやって相手の本性を見抜こうとしているのかもしれないけどね。


「朝、王城で目が覚めた時、われはすぐに一杯の牛乳を飲む。この牛乳が本当に美味くてな。今日も一日頑張ろう! という気持ちになるわけだ。この中に、一日のやる気をすぐに出せる者はどれだけいるだろうか。われが言いたいことは朝から活発に動き、夜はしっかりと休めと言うことだ」


 ルークス王は牛乳愛好家な部分を全面に押し出してきた。


「どれだけ勉強しようと運動しようと、体調が悪くなれば意味がない。マーモン殿のようにいつまでも若々しく生きてこそ、人生楽しいものだ。人間の寿命は長くて八〇年。一〇〇年生きれば凄い。だが、皆が学園で過ごす年数はたった三年。もしかしたらもっと長い者がいるかもしれないが、それは親にとって許しがたいことだなー。レオンよ」


 ルークス王は目の前に座っているレオン王子に向って話を振った。


「は、はい! 必ずや、三年で卒業してみせます!」


 レオン王子は大きな声を出し、周りから軽い笑いを取っていた。いやはや、話が上手い国王だこって。


「はははっ、そんなに意気込まんでもいい。親は子をいつまでも心配している。それが親心と言うものだ。われはレオンの父親だが、ルークス王国の民、皆の父であり、多くの者を心配している。だから、皆は一人だと思い込まず、われが傍にいると思って辛い時も苦しい時も、踏ん張ってくれ。いつか、われが皆の首に勲章を与えるその日まで。また、王城で会おうぞ」


 ルークス王は胸に手を当てて、軽く頭を下げた。いやはや、ほんと、凄い……。皆、感動しちゃって泣いているよ。


 ルークス王は席に戻り、隣に座っていた正教会の教皇と軽く話していた。


「ルークス王殿、ありがとうございました。続いて生徒会長、リーファ・クウォータによる、在校生式辞」


「はい!」


 リーファさんは椅子から立ち上がり、教卓の前に移動する。頭を一度下げ、何も持たず、喋り出した。どうやら、喋ることを全て暗記しているようだ。


「春の花が咲き始め、温かい日差しが降り注ぐようになりました。新入生の皆様、この度はご入学おめでとうございます。在校生一同、心より歓迎申し上げます。皆さんと一緒に学生生活を送れることを、とても楽しみにしていました」


 リーファさんは溢れんばかりの笑顔をうかべながら、一階に座っている学生たちを見回す。


「私も二年前、皆さんと同じように不安と期待に胸を膨らませ、緊張しながら入学式を迎えていました。今日はそんな、少しだけ早くドラグニティ魔法学園の生徒になった私から、学生生活を楽しくする秘訣を教えたいと思います」


 リーファさんは両手を広げ、何とも早く聴きたい話を始めた。

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