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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
試験本番 ~賢者と聖女も現れたけど、気にせず受験する編~

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頭を突っ込まない

「じゃあ、私は騎士養成学校に近寄らないようにします」

「はい。明後日のドラグニティ魔法学園の入学式の準備でもしていてください。その方が私も安心できます」

「了解です。出来る限り、ウルフィリアギルドと屋敷の中でじっとしています」

「できる限りではなく、絶対ですよ」


 ルドラさんは私の頭に手を置き、突っ込ませないようにがっしりと握り込んでくる。


「は、はい……。絶対です……」


 私は苦笑いを浮かべ、視線を背けた。私のお節介な性格が発動しなければいいのだが、って、発動させたらだめだ。絶対にじっとしていないと他の人を危険に晒してしまう。

 私とルドラさんは応接室から出てそれぞれの寝室に向かった。


「……私が行くことはできないけど、虫達を忍ばせることはできるかな」

「可能だと思われます。結界の中に入ってしまえば、相手に感知されることはありません」

「じゃあ、皆に通信用のビーと罠を食らうためのブラットディアを……」

「あまり、数が多いと不審に思われる可能性がありますから、どなたか一人に」

「うぅん……。じゃあ、フリジア学園長にブラットディアを送って。私、軽く手紙を書く」


 私は寝室に移動し、正教会や五大老から嫌われているフリジア学園長の身の安全を少しでも確保するためにブラットディアを送ることにした。

 彼女は毒殺されるかもしれないし、魔法で暗殺されるかもしれない。まあ、凄い魔法使いのフリジア学園長なら一人で何とか出来るかもしれないけど、どうなるかわからない。巨大な学校の中にブラットディアを一匹も入れないなど不可能。だから、彼女の近くにいても不可解じゃない。

 ブラットディアは毒味役や罠の解除なんかにも役立つので、少しは彼女の助けになってくれるはずだ。


「ドラグニティ学園長にビーを付けてもらう。会話出来た方が何か起こった時に外への連絡が出来た方が便利でしょ」

「そうですね。ドラグニティ学園長ならそう簡単に死ななそうですし、ビーを付けても問題ないと思われます」


 私はフリジア学園長とドラグニティ学園長に手紙を書く。夜中に起きているかどうかわからないが、手紙を送る行為は魔法で通信するよりも相手に気づかれにくいはずだ。


 私は両者に手紙を書いた。身の安全のために少しでも役に立ちたいという気持ちを込めてブラットディアとビーを送りつける。もう、嫌がらせに近いかもしれないが、明日は戦況を変える大一番だ。情報が得られるかえられないかで戦いの今後が決まる。


「アイクも騎士養成学校に入学するんだよな、一度会いたかったな」

「まあ、アイクさんは騎士養成学校の目玉、剣聖ですからね。そう簡単に会うことはできないでしょう。見ることも魔力を探知される影響で難しいかもしれません。でも、生きているとわかっているだけで、少し安心しますね」

「そりゃ、剣聖だからね。そう簡単に死なないよ。でも、アイクは正教会が何か悪さをしていると知っているのだろうか……」

「さぁ、知らないと思いますよ。わざわざ教えるわけがありません。教える利点がありませんからね」

「そうだね……。まあ、明日、私は大人しくしていればいいってことだから、しっかりと仕事納めをしますよ」


 私はミーナが眠っているベッドの上に乗った。ガラス窓から、ビー達が手紙を持ってフリジア学園長とドラグニティ学園長のもとに飛んで行く。

 返事が来るかもしれないと思い、一時間だけ起きていることにした。すると、やはり、手紙が届いた。どちらとも目を覚ましているようだ。


『キララちゃん、心配してくれてありがとうー。もう、嬉しくて飛び跳ねちゃったー』


 フリジア学園長の手紙から元気を感じた。明日について、何も怖がっている印象がない。


『ブラットディア、ありがたく借りるよ。まあ、上手くやるけど、何かあったらその時はバイバイかもしれない。だから、森の民の証を渡しておくよ』


 フリジア学園長の手紙の中にブレスレットが入っていた。緑色っぽい綺麗な結晶で作られており、淡い光を放っている。


『その証があれば、森の民の里に行っても危険視されない。話合いくらいはできるはず。本当は一緒に行きたいけど、行けなかったらごめんね』


 フリジア学園長は元気な文章体から遺書みたいな思い文章に変わる。やはり、不安が大きそうだ。スキルをどれだけ隠して使えるかが重要になってくる作戦なので、心を落ち着かせてもらう必要がある。ブラットディアの背中のつるつるでも撫でて心を落ち着かせてもらえたら幸いだ。

 返事は書かず、今度会って話をしたいと考える。あまり手紙を飛ばしても眠れないだろう。


『キララさん、色々考えているのは我々も同じだ。心配せずに待っていればいい。ただ、もし、万が一、何かあれば、外にいるフェニルに危険を伝えてくれ。あやつなら、何かしらしてくれるはずだ』


 ドラグニティ学園長は緊急手段を私に伝えてきた。Sランク冒険者のフェニル先生に話を通せとの連絡が書かれていた。

 彼はブラットディア以外の弱点が無い方なので、きっと大丈夫。無事にことを終えると信じて私は眠ることにする。


 ☆☆☆☆


 次の日、天気は気持ちがいいくらい晴れていた。入学式に丁度良い快晴で、空に雲一つない。


「はぁ……。目が覚めた。時刻は午前六時三〇分」


 私は浮かない気分で、窓を開けて空気を入れ替えた後に空を見た。あと二時間ほど経てば、重鎮たちが正教会付近に隣接している騎士養成学校の入学式が行われる会場に入るはずだ。

 まあ、全員が本物かどうかわからない。もしかしたら偽物で暗殺を防止している可能性もある。でも、そうなったら、あまりにも信用度を落とす行為なので、使いにくい手段のはずだ。

 勇者や剣聖と顔を合わせることもできる機会でもあるので、全員参列するだろう。


「どわああああああああああっ!」


 私が外を見ていたら、ベッドの上でミーナが驚きながら目を覚ました。


「はぁ、はぁ、はぁ……。あ、アンデッド!」


 ミーナは後方を振り返り、アンデッドに襲われていた夢を見ていたのか、ベッドを出て私に抱き着いてくる。昨晩のルドラさんがいきなり現れたのが相当怖かったのかな。


「ミーナ、安心して。アンデッドなんていないよ」

「あぁ、も、もしかして、夢? はぁー、よかったぁー」


 ミーナは胸に手を当てて、ため息をついた。夢だとわかり、安心したのかな。


「ミーナ。今日は騎士養成学校に近づかないようにね。危ないから」

「え……。ああ、うん」


 ミーナは理由を特に聞かず、一度頷く。

 私は水を飲んでから、ミーナの綺麗な銀髪をブラッシングする。


「はぁ~、気持ちぃ~」


 ミーナの笑顔を見ていたら先ほどまでの怖い思いが少し減った。やはり、いい笑顔は気持ちを軽くしてくれる効果があるようだ。


「キララ、腹が減った」


 ミーナの髪をブラッシングしていたら、真っ白な光沢をもつ毛を窓から吹く春風に靡かせているフェンリルが現れた。


「おはよう、フェンリル。今日は早いね」

「腹が減ったら、腹が膨れる場所に行きたくなるだろ……」


 フェンリルは視線を反らし、尻尾を振りながらお座りしている。


「つまり、私に会いに来たかったということかな~?」


 私はにっこり笑いながら、フェンリルの前に向かい、頭を撫でる。


「そ、そう言う訳じゃない……。そう言う訳じゃないが、腹が減ったから来ただけだ」

「はいはい。わかりましたよ」


 私は水差しに入っている綺麗な水に大量の魔力を流し、魔力水にした後、こぼれにくい器に魔力水をそそぐ。


「あぁ。魔力……」


 フェンリルの尻尾が大きく振られ、涎を垂らしまくっていた。


「待て……」


 私はフェンリルの足下に器を置き、彼を止める。フェンリルはじーっと止まり、今か今かと待ちわびていた。

 私は了承を出すと、フェンリルは器の中で窒息死するんじゃないかと思うほど勢いよく鼻と口をくっ付け、がぶ飲みを始める。


「うめぇえ~っ! うめぇえ~っ!」


 フェンリルの毛並みが先ほど以上に上品になり、高級な毛になっていく。お腹が空いている者が大量の料理を食して感激している姿を見るのが、私は好きだった。

 いつもお腹を空かせているフェンリルの食事は豪快でとても心が温まる。お腹が空いているものが食べ物を食べる時、一番幸せそうな顔をするのだ。


「あぁー、私もお腹空いちゃった……」


 フェンリルが豪快に水を飲む姿をみたミーナはお腹を摩り、体調を気にしている。私は残っていた魔力水をコップに移し、ミーナに手渡した。


「これで、少しはお腹が膨れるよ」

「ありがとう、キララ」


 ミーナは光る水を躊躇なく飲み、お腹を膨らませた。


「はぁ~。美味しかった。なんで、ただの水がこんなに美味しいんだろう。不思議~」


 ミーナは尻尾と耳を振り、笑顔を浮かべる。


「朝食は朝八時くらいからだから、それまで二度寝するなり、運動するなり、時間を好きに使って。私は少し勉強してから鍛錬するよ」

「私も、キララと同じ生活するー」


 ミーナは暇なのか、私と同じ生活を望んだ。


「わかった。じゃあ、一緒に勉強しよう」


 私はミーナと一緒に勉強した。ミーナは八分で頭から煙を出し、疲れていた。そのため、勉強を切り上げて広い庭で運動する。

 私は鎖剣を本気で一〇回振るった。他の者に見せても恥ずかしくないくらいの太刀筋になっているはずだ。


「ふっ! はっ!、やっ! とうっ!」


 ミーナは蹴りや拳を型にはめて繰り出していた。打ち出すたびに木の葉が舞い、花弁が散る。ドンっ、ドンっと太鼓でも鳴らしているんじゃないかという空気の破裂音も聞こえるので、あの攻撃を生身で受けるのは避けた方がいい。

 運動を一時間続け、午前七時四〇分になった。すでに汗だくだが、乾いた布で汗をぬぐう。


「へぇ、へぇ、へぇ、へぇ、へぇっ!」


 私の汗をぬぐった布に噛みつき、鼻を鳴らしながら尻尾を振りまくっていたのはフェンリルだった。ものすごく変態みたいだが犬なので許そう。人間がしていたら確実に捕まりそうなので、やめておいた方がいい。


 私達は運動を終え、朝食が行われる食堂に移動した。

 マルチスさんとルドラさん、ケイオスさん、テーゼルさん、マルティさん、クレアさんがやって来て、朝食が始まる。特に積もる話もなく、食事が淡々と行われ、マルチスさんが先に席を立ち、他の者も食堂をあとにしていく。

 ルドラさんの視線が私に向けられ、最後の最後まで釘を刺された。

 私はそこまでされて、頭を突っ込むようなバカじゃないので安心してほしい。


「ミーナちゃん! 今日は私と一緒に作法のお稽古するわよ!」


 クレアさんはミーナのもとにやって来て、手を取った。


「えぇ~っ! わ、私は作法なんて……」

「なにを言っているの。ドラグニティ魔法学園の入学式は明日なのよ。周りは貴族ばかりなんだから、浮かないように努力しなきゃダメでしょ!」


 クレアさんはミーナの手を引っ張り、お姉さんのように作法を教えるために力を尽くしてくれるようだ。


「さて、私はウルフィリアギルドに行って入学前最後の仕事をしますか」


 私は屋敷を出て、レクーがいる厩舎に向かった。すると、イカロスに乗ったマルティさんが庭の中で走っていた。バートン術の練習をこなしているらしい。一年前より格段に上手くなっており、イカロスとの気持ちもしっかりと伝わってきた。


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