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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
試験本番 ~賢者と聖女も現れたけど、気にせず受験する編~

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策略にはまる

「キララ様の自画自賛が出ている時は乗っている時なんですよね~」


 ベスパは空で停滞しており、ビー達に指示していた。一番働けと言いたいが、実際一番働いているので見逃す。


「す、すげぇ~。売り残っていた干し肉がどんどんなくなっていく……。どうなっているんだ」


 カールさんも慣れた手つきで干し肉を梱包し、ビー達に渡して行く。


「く……。姉さん、強すぎる。こっちは安売りするわけにはいかないし……。どうしたら」


 ライトは苦笑を浮かべ、楽しそうだ。手ごたえがある相手を見つけた時の将棋士の顔になっている。乗りに乗っている私を追い詰められるのならしてもらおうじゃないか。


「デイジーさん、シャイン、イーリスさん。姉さんに勝つことはできません。ですが、利用することは出来ます。干し肉を買って行った者達を狙うんです」


 ライトは先にお客さんを集めるのではなく、私が集めたお客さんを狙う作戦を取った。

 ライトがこそこそとイーリスさんに伝える。


「えー。獣族の皆さん。干し肉を大麦に入れて作る炊き込み飯をしようと思っている方、私達の大麦はそのまま食べても驚くほど美味しいので一度試してみてください!」


 イーリスさんはビースト語で獣族の方達に話しかけた。もちろん、人族にも同じように提案していく。ビースト族の方達は食べることが大好き。そのため、美味しいと聞けば気になってしまうのが性。その習性を使い、ライトは私が集めたビースト族の方達を根こそぎ奪っていく。


「ふっ……。良いね。良いね」


 私はライト達の作戦をいただいた。相手がビースト族の方達を狙ったのなら、こっちは人族を狙う。


「今、春は食べ物が何でも美味しいですよね~。そのせいで生活費がかさんじゃって大変なんですよ~。わかりますわかります~。美味しい物を食べたら元気が出ます。だからこそ、ここで干し肉を買って美味しい品を買うことを我慢してみませんか! 一日我慢して明日肉を食べよう。なんて言うことも出来ちゃいます!」


 私はこじつけのような話しをする。だが、多くの者の共感を呼んだのか、他の屋台に向かおうとしている者達を一気に集めてしまった。


 ――あ、少々やり過ぎている。


 カールさんの屋台の前に多くの人が集まり、他のお店に流れないと言う周りから疎まれる状況になった。


「キララさん! もう干し肉が無い!」


 丁度良い時にカールさんの停止という合図が届く。


「あぁ~っ! すみませーん! もう、干し肉を全て売り切ってしまいましたぁあ! せっかく集まってもらったのに、申し訳ありません。でも、皆さんはここに来れて運が良いです。なんせ、私の笑顔が見られたんですからね! お兄さん、お姉さん。今日のお仕事も頑張ってね~! 絶対絶対良いことがあるよ~!」


 私は一八〇パーセントの笑顔を振りまく。私の笑顔はどんな商品を買うよりも価値がある。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


 多くの者が私から元気をもらい、市場をズンズンと歩いていく。


「はは……。だ、駄目だぁ……。か、勝てる気がしない……」

「お姉ちゃん、輝きすぎ……。あんなの倒せないよ……」

「く、くぅう……。さすがキララさんです。私もいつかあれくらいになりたいです!」

「で、デイジー。あれは天賦の才だから……」


 大安売りしているお店と通常営業のお店を比べたら、そりゃあ通常営業のお店のほうが分は悪い。長い目で見たら適正価格で売り続けているほうが勝つ。売上金額で見ればライトたちが勝っているんじゃなかろうか。


「うぉーん、ウォーんっ。キララさん、ありがとうぉ~」


 私は多くの干し肉を売り、カールさんに泣きつかれた。


「はは……。まあ、ちょっと暇だったので、丁度良い暇つぶしになりました。えっと、沢山稼いだお礼と言ったらなんですけど、ウルフィリアって言う家名は王都にあるウルフィリアギルドと何か関係がありますか?」


 私は気になっていたことを、カールに訊いた。


「王都のウルフィリアギルド……。ああー、関係はあると思うが良く知らん。なんせ、創設したのは何百年も前の話しだからな」


「はは……。そ、そうですよね。まあ、ちょっと気になったので訊いてみただけです」


 私は苦笑いを浮かべ、儲けた金額の二割を貰った。今度からカールさんもしっかりと儲けられるはずだ。まあ、安売りをうまく使って売れるように工夫しないといけないけどね。


「じゃあ、またいつか会いましょう。その間に、美味しい干し肉を作れるようになってください」


「ああ。今回も助かった。ありがとう」


 カールさんは頭を下げながら私に感謝してきた。

 やはり人から感謝されると言うのは心地よい。ずっと座っているよりもはるかに有意義な時間だった。

 カールさんは昼までに商品を売り切ったので、早々に立ち去って行った。


 私はネード村物産展の売り場に戻る。


「もうっ! お姉ちゃん、容赦が無さすぎるよ~!」


 シャインは私に向って激怒してくる。


「ご、ごめんごめん。ちょっと暇だったからさ。人助けしたくなったんだよ……。私にも何か手伝わせてくれたら頑張るからさ」


「キララさんに手伝わせたら全部一人で出来ちゃうじゃないですか……」


 デイジーちゃんは私に向って苦笑いを向け、自分達の仕事が無くなると危惧していた。どうやら、デイジーちゃんも仕事が大好きな人種らしい。子供なのに珍しいな。


「じゃあ、キララさんに呼子してもらいましょうかね」


 イーリスさんは私をいいように使って儲けようとしていた。やはり、大人は子供よりも欲求が大きい。


「はぁ……。姉さんに負けたぁ……。もう、また負けたぁ……」


 ライトはなぜか一番落ち込んでいた。別に勝ち負けを比べていたわけじゃない。


「ライト、私達は別に戦っていないでしょ。なのに、なんで勝ち負けで決めようとしているの。ライトの販売方法は私を上手く使っていたから私の上を言っているようなものじゃん」


「うぅ……。言い換えれば、姉さんがいなかったら大した売り上げにならなかったと言うことじゃん……」


 ライトは自分の力不足をしみじみと感じているようだった。


「ライトは私を使うと言う難しい作戦に出て利益をしっかりと出した。私を上手く使うなんてなかなか出来ないよ。暴れまくるバートンを上手く操って自分も近道するようなものだし、ライトにしか出来ない」


「うぅ、姉さんは本当に口が上手いね……」


 ライトは悲しそうな顔から頬をあげて微笑んだ。それだけで多くの女性の胸を打ち抜かれてしまいそうなほどのイケメンになってしまうのだから、罪な男だ。


「私は皆の仕事を変わり替わり行うよ。だから、疲れたら交代して。働きすぎはブラック企業まっしぐらだからね」


「「「「ブラック企業……?」」」」


 ライトとシャイン、デイジーちゃん、イーリスさんは私の発言に首をかしげる。


「あ、あーっと、ブラックベアーみたいに恐怖の企業ってことだよ。怖い企業じゃなくて、もっと安心して働ける企業にしないと駄目なんだよ……。ま、まあ、皆は気にしなくていいから」


 私は皆に適当に話し、ブラック企業とか言う造語を隠す。


 ――この世界の企業のほとんどがブラック企業な気がするんだよなぁ。私が経営する会社もビー達にとってはブラック企業なわけだし。でも、虫からしたら働けるだけ嬉しいのか。


 私は五名の仕事をかわるがわる行った。もう、全てをこなす何でも屋になり、仕事の流れを止めない。皆をしっかり休ませて休憩の時間を作る。三〇分や一時間という具合に時間を決めて仕事を行った。一二時をすぎ、昼食の時間。商品を見ると、ほぼ売り切れていた。


「良し、そろそろ店を閉めるときだね」


「え、あとちょっとなんだし、売り切ろうよ」


 シャインは残っている品を見て、残業しようとした。


「残業したいの?」


「残業したいと言うか、全部売り切った方が気持ちいいじゃん。その方がふんふんって帰れるよ」


 シャインは気分で仕事する人間のようだ。


「シャイン、今日は運が良かったか悪かったかわからないけれど、家に帰るのに安全を考慮したら四時間くらいかかるんだよ。一二時から四時間なら午後四時に帰れるけど、もし、二時間巻いたら午後六時になる。もっともっと遅くなるかもしれない。引き時を見誤ると夜が真っ暗で危険になるし、宿を借りて無駄に浪費するかもしれない。今は勝負時じゃないからさっと切り替えて帰るのが先決だと思うよ。この後もまだ仕事があるのに」


「う……。た、確かに……。でも、あとちょとなのに、残っているのは気分が悪いよ……」


「この、ちょっと残っているのがもっと売りたい欲につながることもあるんだよ。今のシャインみたいにね。だから、わざとちょっと残すのもあり。全部売り切っちゃったら次に来る時に今回も全部売り切らなきゃっていう無駄な思考が生まれちゃう。でも、残しておけば、頑張るぞって言う気持ちと、前と同じくらいだって言う安心感が得られる」


「うぅ……。お、お姉ちゃんが言うと何でも正しく聞こえちゃうよ……」


 シャインは縮こまった猫のようにしゅんとして、視線を下げた。


「まあまあ、別に私は全部売っちゃ駄目とは言っていないよ。もうすぐ売り歩いているガンマ君も戻ってくるし」


 私は視線を右に向ける。すると、ネード村の品を売り歩いていたガンマ君が全てを売って戻って来た。


「皆さん、お疲れさまです。今回も全て売れました」


 ガンマ君は荷台を引き、ネード村の品を歩いて売っていた。歩いて売るのは別に犯罪じゃないようだ。昔の豆腐屋みたいな感じだ。


「じゃあ、ガンマ君にもう少し頑張ってもらおうか」


 私は売り歩きをしていたガンマ君に残った品を渡す。シャインも一緒について行ってもらった。


「ちょ、お、お姉ちゃん。ど、どういうつもり!」


 シャインはガンマ君と共に荷台を引いている。一緒に歩き売りをするなんて夫婦かな? 恋人かな? まあ、兄妹に見られる可能性もあるか。


「シャイン、ガンマ君の仕事を手伝ってあげてね~。仕事が終わったら好きに昼食を得て、午後四時までに東門に集合~。ガンマ君、シャインに街を案内してあげてね~」


「は、はい。わかりました」


「そ、そんなぁあ~っ! お姉ちゃんの策略に完全に嵌ってるぅっ!」


 シャインは嬉しいのか、はたまた私の手の平の上で転がされるのが悔しいのか、飛び跳ねていた。


「良し。じゃあ、私とイーリスさんはお店に品を下ろしに行く。ライトとデイジーちゃんは街のなかで美味しい品でも食べてきなよ。ライト、お金は持ってるでしょ。あと、街のことも良く知っているはずだし、デイジーちゃんに楽しい思いをさせてあげてね」


 私は姉らしく、ライトに助け舟を出した。

 街のお店に助言して回っているライトならいい店を知っているはずだ。デートでいい店を知っているのは大きい。そのため、村よりも街の方がライトの良い所を発揮できると思った。

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