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仕事の体制

「神父様今日はありがとうございました。長居するのも何なので…私は家にそろそろ帰ります」


「ええ、気をつけてお戻り下さい。またいつでもいらしてくださいね。キララさんなら大歓迎です」


「はい…また私の相談に乗ってください…。それじゃあ…失礼します」


――近くに相談できる頭のいい人が居ると、やっぱり心強いな…。


私は何の収穫も無しに、家へと戻る。


「あ、姉さんどうだった? 誰か働いてくれる人は見つかった?」


「全然ダメ…。やっぱりみんな、街や山へ働きに出ちゃってるみたい…。子供に働いてもらうにしても…、まず村の子供が全然いないし…。お爺ちゃんお婆ちゃんに無理させるわけにもいかないし…。一応教会方向の家を全部回ってみたけど…全滅だった…」


「こっちも同じ…、どこ行っても。みんな街へ働きに出て行ったらしい…」


「はぁ…仕方ない…。今は出来ることだけをやろう。丁度7日後、私は街へ配達しに行くから、その時にでも仕事探してる人がいないか、ちょっとギルドの掲示板を見てくるよ。街の方が村よりも人の数は多いし、もしかしたら村へ働きに来てくれるかもしれない」


「そうだね、この村で探すより確率は高そう」


その日も家族みんなクタクタに成りながら眠りにつき、次の日の朝を迎える…。


「ふぁ~~あ…。さてと…牧場に向いますか…」


いつもながら眠い目をこすり、私の体から疲れは取れていないが…家を出発する。


「キララ様、もう少し眠られてはどうですか? 顔色が優れませんよ」


「うん…。でも朝…牧場に行って、ミルクやチーズ達の様子を確認しておかないと…。万が一誰かが病気になってたら、他の動物たち皆が大変なことになっちゃう…。最悪な場合…牧場の皆を…殺さないといけなくなっちゃう…」


「それもそうですが…まずはキララ様のお体の方を大切にしていただきたいと思います。1日や2日、休んでも我々が皆さんを見張ってますから大丈夫ですよ。体調の悪い場合にはすぐ隔離させますから」


「でも…それじゃあ…なんか不安で休めないし…。だってベスパだもん…」


「私への信頼薄くないですか…。もうちょっと私達を頼って貰ってもいいいと思うんですけど…」


そんなこんな言いながら、私達は牧場のすぐ傍まで来たのだが…。


「何…この人の集まりは…」


牧場前に設置していた露店は、なぜか村人で溢れかえっていた…。


――この状況は…、牛乳を初めて販売した時と同じような現象だ…。最近は落ち着いてきていたのに…。


「えっと…この村人たちはいったい…」


私は村人の隙間を縫って露店の前に立つと、みんな気づいたのか一斉に私へ話しかけてくる。


「キララちゃん! 昨日の白い塊を売ってくれないかしら! あの食べ物スッゴクお酒に合うのよ!」


「うちにも売ってくれ! 昼に黒パンと食べたら旨いのなんのって! いったいいくらで売ってくれるんだ!」


その他の村人たちも言っていることは大体同じだ…。


「いや…えっと、昨日のチーズは…私達の手違いで作りすぎてしまったので、お裾分け程度に…と思っていたのですけど…。元々売る予定は無かったんです…。なので今すぐにお売りすることは、できません。誠に申し訳ありませんが…今日の所はお帰り下さい…」


「あらぁそうなの? それじゃあ…仕方ないわね」


皆がっかりした表情で去って行こうとしている…。


「えっと! 7日に1度…20個限定販売といたしますので…。もう少し余裕が出てきましたら、少しずつ販売できる量を増やしていきます…。それまで少々お待ちください…」


村人の皆さんは…了承してくれたらしく…。今日のところはしぶしぶ帰って行った。


「また仕事が増えてしまった…。いや…増やしてしまった」


――仕事仕事仕事…なんで私は10歳でこんなに仕事をしているのだろうか…。


仕事のし過ぎで、仕事の目的が何だったのかを忘れかけている私に、お爺ちゃんは話しかけてきた。


「休みを作るか…」


その一言だった。


「でも…いつ休みを入れたらいいか…そもそも私達に休む時間あるの?」


「一月は7日を1週として、だいたい4週で回っているだろ。7日のうち1日を休みにしてみたらどうだ?」


――休み…なんていい響きなんだろう…。


「え…でも牧場の動物たちが…」


「休む時は休む、働くときは働く…このメリハリが大事なんだよ。人間働きっぱなしはきついからな、たまには休むことも大切だ。儂は働くことが好きだからな、全く苦ではない。歳には勝てないがな…」


「でも…その1日はどうするの? 誰が動物たちの面倒を見るの?」


「そりゃあ、ここの持ち主である、儂に決まっとる」


「でもそれじゃあお爺ちゃんの負担が…」


「なに、普通に過ごすだけだ。モークルの乳を搾ったりする訳じゃない。一日仕事はしない、ただ手入れをするだけだ。元々儂1人でやってたんだからな、それほど問題は無い。キララ達は気にしないで休みなさい」


――ううう…お爺ちゃんが神様に見えてきた…。そう言えば…地球では7日に2日休みがあったな…。私はほとんど休んだことなかったけど…、あのグラサンプロデューサーのせいで…。


「お爺ちゃん…。それじゃあ、お試しで7日1休制を取り入れてみようかな…。もし、お爺ちゃんに何かあったらすぐに言ってよ! その時はすぐ飛んでくるから!」


「ああ、分かってるよ…」


私達はお爺ちゃんの言った通り、7日の間に1日のお休みを作ることにした。


――6月の初めからスタートしよう…。今日を入れて、あと7日で5月も終わるし…。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


毎日更新できるように頑張っていきます。


よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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