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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
試験本番 ~賢者と聖女も現れたけど、気にせず受験する編~

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初老の剣士

「今は何をして楽しんでいるの?」


「えっと、ポーションの改良とか。毒物の採取とかかな。毒って多くの動物や昆虫、草類が持っているでしょ。魔物にも持っている個体が多い。何のためなのかなって思ったら他の者から身を守るために使ったり、倒すときの武器にも使えるって考え付いたんだ。そう思ったら凄く探求したくなっちゃって」


「ライト、毒物で遊んじゃいけません。そんな危険なことをしてもし自分が食らっちゃったらどうする気!」


 私は楽しさと狂気の境界線で笑っているライトを叱る。


「う……、ぼ、僕が作った特効薬を飲めば、毒は体外に排出されるから問題ないよ……」


「そう言う問題じゃありません! 危険な行為は周りも危険に晒すんだよ。本当にそう言う危険な実験がしたいなら、学者としての資格を取って専門の施設で行いなさい!」


「うう……、正論すぎて言い返せません……」


 ライトは珍しく縮み、謝った。


「まあ、楽しいことに夢中になっちゃうライトの性格なら仕方ないけど、周りも危険に晒すと覚えておいて。毒物を爆発させちゃって毒霧が広がっちゃったなんて笑いごとじゃすまないよ!」


「そうだね。もっと自重するよ」


 ライトはわかってくれたのか、私の話を真剣に聞いてくれた。


「はぁ……、今、色々言ったけど、三カ月くらい熱心に調べていたんでしょ。その研究を無碍にするのも悪いから、私が聴いてあげる」


「ほんと! やったぁあっ! 姉さん大好きっ!」


 ライトは私にムギュっと抱き着いてきた。

 ライトの長話に付き合うのは頭が同じくらい良い相手じゃないと苦痛だ。学者の話を長時間聞いていたら頭が痛くなるのと同じで、誰もライトの話を聞きたがらない。現に私とSランク冒険者のカイリさん、研究者のスグルさんくらいしか、ライトの話をまともに聞けない状況にある。


「じゃあじゃあ、毒の……」


「仕事が終わってからね」


 私はライトの口に手を置き、話を遮る。そうしないと、何時間でも話し続けてしまうのだ。


「はぁーいっ!」


 ライトは大きな声を出し、仕事に戻った。


「さてと、私も仕事を見させてもらいますかね」


 私はライトの仕事を見た。モークルの体調管理や牧場の状態を把握し、的確な指示を出している。てきぱきとした仕事姿を見て、出来るサラリーマンを想像した。もう、彼一人いれば仕事が成り立ってしまうくらい出来る人材だ。


「あぁあ~っ、ちょ、ちょっと、私の乳を吸ってもミルクは出ないわよ」


 牧場の中で子供のモークルに囲まれ、乳を突かれている金髪の美女がいた。


「…………」


 私は軽い威圧でモークルの子供達を散り散りにさせた後、その女性のもとに向かった。


「はぁ……、もう、本当におっぱいが好きなのね。誰に似たのかしら?」


 金髪の美女は立ち上がり、つなぎに似ている作業服に着いた土や草を払う。


「久しぶりです、クレアさん」


 私は金髪の美女に話かけた。


「あ、キララさんっ! 帰って来たのね! お帰りなさい!」


 クレアさんは私に気づくや否や、手を握り、ブンブン振る。元気そうで何よりだ。ルドラさん好みの良いおっぱいに育っちゃって……。


「ただいま……です」


「キララさん、学園の方はどうなったの? ルドラ様は寂しがっていなかった? マドロフ家の方は大丈夫かしら? マドロフ商会はまだ残っているの?」


 クレアさんの怒涛の質問攻めにあい、私は口を割らせてもらえない。


「く、クレアさん、落ちついてください。一つずつちゃんと話ますから」


 私はクレアさんの口に手を置き、いったん黙ってもらってから話を進めた。


「ご、ごめんなさい。ついつい気になっちゃって……」


 クレアさんは愛くるしい笑顔を浮かべながら後頭部を掻く。その仕草からまだ一七歳と言う若さなのに、色気を感じるのはなぜなのだろうか。


 ――この乳のせいか!


 私は一年でデカデカと実っている、クレアさんの乳に目を向けた。美味しい食事に健康的な生活を続けた結果、クレアさんの乳も大変大きく成長している。


 ――一年で三カップも大きくなるもんなんですか? 私は未だに平らなのにぃっ!


 その場でじだんだを踏みたい気持ちになりながら、手を握りしめる。


「キララ様、落ちついてください。キララ平原にいるビー達があらぶっています」


 ベスパは私の頭上に飛んできて、私の気持ちを静めさせてくる。


「すぅー、はぁー、すぅー、はぁー。んんっ、えっと、とりあえず何から話しましょうか」


「じゃあ、キララちゃんの学園の話から聞かせて頂戴」


 クレアさんは純粋無垢な輝く黄色の瞳を私に向けて来た。彼女は胸の大きさなんて、みじんも興味がない様子。


 私はクレアさんに三学園を受けて三学園とも特待生になったと言う話をした。


「うぇえっ! す、すごい……。そんな方、始めて見た……」


 クレアさんは若干引き気味で、特待生がどれだけ凄いか、何となくわかる。クレアさんもフリジア魔術学園の生徒だったので凄さがわかるのかな。


「はは……、た、対策していた通りに問題が出されたので解けただけですよ。ライトのおかげです」


 私は後方で仕事をしているライトに視線を向けた。


「あぁ……、ら、ライト君はもう人間の域を……、って言ったら、キララちゃんとシャインちゃんもそうか。ライト君は普通じゃないから」


 クレアさんは苦笑いを浮かべていた。一年を通してライトがいかに狂っているかを実感したようだ。


「クレアさんもわかっていると思いますけど、ライトはとてもとても狂っています。なので、彼の話は他言無用でお願いしますね」


「も、もちろんよ。ここの牧場のことだって一切話さないわ」


 クレアさんは大きな乳を突き出しながら、胸を張る。作業服がパツパツになっており、今にもはち切れそうだ。


「えっと、ルドラさんは元気です。クレアさんに早く会いたがっていました」


「やっぱりそうなのね! だって、私もルドラ様に早く会いたいもの!」


 クレアさんは両手を握りしめ、空を見つめていた。頬が赤くなり、とても色っぽい。今のクレアさんを見たら、ルドラさんは一瞬で悩殺されてしまうだろう。


「あと、マドロフ商会も無事です。今も残っていますよ。加えて物凄く良い立ち位置に着きました」


「え……、さ、さすがマドロフ商会。さすがマルチス御爺様、ルドラ様もさすがですわ!」


 クレアさんの感情が物凄く高ぶっていた。そりゃあ、嫁ぎ先だし、景気が上場なら気分も上がるか。


「クレアさん、三月三〇日に一緒に村を出て王都に向かいます。それまでに出発の準備を整えておいてください」


「ああ……、もう、そんな時期なのね……」


 一年前のクレアさんなら飛んで喜んだと思うが、今のクレアさんは少しばかり心残りがあるのか、悲しんでくれた。


「ここの村での生活は本当に最高だった。もう、私の第二の故郷だわ。王都の生活に疲れたら、ここに戻ってくるってわかっちゃう……。なんなら、ルドラ様と一緒に来ちゃうわ」


 クレアさんは広い平原を見渡し、心を静めていた。


「そう思ってくれているのなら、とても嬉しいです。その胸みたいに夢を一杯膨らませて楽しんでくれたようですし」


 私は目を細め、クレアさんの乳を見る。


「こ、この乳は勝手に大きくなっちゃっただけよ。私もここまで成長すると思っていなかったわ」


 クレアさんは胸を抱くように隠す。だが、隠しきれていないのが何とも厭らしい。


「はぁ……。胸の話はもういいです。とりあえず、三月三〇日に村を出発することだけは覚えておいてください」


「わかった。それまでに出発の準備を整えるわね。えっと……、バレルはどうなるの?」


 クレアさんはライトと共に仕事をしているバレルさんの姿を見た。

 作業服姿がすっかりと似合うようになった初老のバレルさんはモークル達の世話に夢中で、心を穏やかにしている様子。


「バレルさんを王都に連れて行くことはできません。あと、ここでの生活に心のゆとりを得てくれているので今更、どこかに行くと言うのも……」


「そうね……、バレルもここの生活を凄く気に入っているから、死ぬまでいるかもしれないわね。でも故郷に一度帰りたいとも言っていたわ。奥さんとお子さんのお墓があるそうなの。墓参りとか、整理とか、いろいろ心残りがあるみたいで……」


「ああ……、それは可哀そうですね。あとで聞いてみます」


 私はクレアさんに頭を下げ、バレルさんの方に向かった。


「キララさん、よくぞご無事で」


 バレルさんは額の汗を長袖のすそで拭い、私の顔を見た。やはりイケオジで、私が五〇代のおばさんなら心臓を軽く打ち抜かれている。


「お久しぶりです。バレルさんも元気そうで何より」


「いやはや、村での生活が快適すぎて若返るような気持ちでいっぱいですよ」


 バレルさんは良い笑顔を浮かべていた。そこに元剣神の貫禄はなく、村のお爺ちゃんと言ったほうが合う。でも、左腰に掛けられた古臭い質素な剣からはただならぬ威圧感を放っていた。あれを握った瞬間に一秒で一〇〇〇回の斬撃を放つ元剣神に早変わりすると思うと人は見た目じゃわからない。


「はは……、実際、若返ってるんじゃないですか。肌の艶とか髪とか、以前よりも調子が良くて若返っているように見えますよ」


「はははっ、キララさんは口が美味いですね」


 バレルさんは笑い、嬉しそうにしていた。


「えっと、さっきクレアさんから聞いたんですけど、故郷に一度帰りたいそうですね」


「ああ、はい……。私の身勝手な願望です……。この村で死ぬのを待つのはとても幸せなことですが、故郷に妻と子を残していますから、花の一本でも手向けたくてですね……」


 バレルさんは王都を混乱に陥れた犯罪歴があり、すでに処刑されていると言う少々特殊な人間だ。すでに彼は死んだことになっているので、身元が知られると厄介極まりない。でも、彼を知っているの者は老いた冒険者くらいだと思うし、ローブで顔を隠せばほとんど気づかれないだろう。

 事件から一年近く経っているし、すでに彼の犯罪は賢者と聖女の出現の話題によってかき消されている。正教会もすでに処刑したと言っているし、堅物なのでこっちから手を出さなければ知らんぷりする可能性の方が高い。


「バレルさん、青年と旅をする気はありませんか?」


「旅ですかな……。これまた、なぜそのような提案を」

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