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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
試験本番 ~賢者と聖女も現れたけど、気にせず受験する編~

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大々的

「ぽ、ポンコツって言うなよ。俺だって商会のためを思って仕事しているんだぞ。ま、まあ、ルークス王を前にしたら脚がすくんで話が出来なくなっちまったんだ……」


 ケイオスさんはマドロフ商会の代表でルークス王に会いに行ったが、ウトサの販売を許可してもらえず帰って来た。

 きっとルドラさんやマルチスさんが行っていれば許可されたと思う。なぜ、ケイオスさんに行かせたのだろうか……。


「あの、なんでケイオスさんがルークス王に会いに行ったんですか? ルドラさんやマルチスさんならウトサの販売を勝ち取れたんじゃ……」


「確かにな。だが、今、マドロフ商会が置かれている現状はすでに他の商人より上。加えて王の改革によって正教会が混乱している。つまり戦いが冷戦になったわけだ。その中でマドロフ商会がウトサの販売権を獲得したらどう思われるか?」


「ああ……、他の商会と正教会から目の敵にされますね」


「そうだろう。だから、ウトサを販売するのは今じゃなくてもいい。今は周りより有利な立ち位置にいて、そのまま力をつけていく。周りが追って来ようともこの間は大きいぞ」


 マルチスさんは顎に手を置き、はにかんでいた。歴戦の武将のような風格があり、心強いったらありゃしない。ここまで頼れるお爺さんも珍しい。


「お爺様、今はウトサの高騰により菓子が値上がりしております。そのため、ウトサの量を減らさざるを得ません。そうなると素材の雑味が一気に出てきます」


 ルドラさんはマルチスさんに淡々と話しかけた。


「うむ。店の者達がウトサに金を使えなくなったら、他の素材に力を入れる。ここで、あの品々を売り出すぞ」


 マルチスさんは腕を組み、口角をあげた。


「とうとうやるんですね」


 ルドラさんも微笑み、私の方に視線を向けた。


「ふぇ?」


 私はマルチスさんとルドラさんの頭の回転の速さについていけなかった。


「キララ、王都での販売許可書はすでに持っていますよね?」


「あ……」


 私はルドラさんの一言で察した。


「もしかして、今、この状況で牛乳やバターを王都で売るんですか?」


「そうだ。お菓子を作る際、ウトサと同等に必要不可欠な素材。モークルの乳や小麦粉、乳油をルークス王国に流す。私の予想だと確実に売れる。なんなら、すでに売れている。今、出荷量を増やし、他がウトサに構っている内に私たちは別方向から攻めるんだ」


 マドロフ商会はルークス王国内で私が住んでいる村の商品を大々的に売る気らしい。とてもお金のにおいがする。私もお金に関する嗅覚が養われてきていた。


「牛乳の販売許可をルークス王からもらっているマドロフ商会にしかできない芸当ですね」


「そうだね。父上をうまく使ったようで申し訳ありませんが、周りに出遅れている、または落ちぶれていると見せるのも、とても有効な手段なんだよ」


「うう……、俺、バカにされている……」


 ケイオスさんはテーゼルさんに抱き着き、軽く泣いていた。


「よしよし、私が沢山慰めてあげますから」


 テーゼルさんはケイオスさんの頭を優しく撫で、慰めていた。今でも仲がいいのは持ちつもたれずの関係だからかな。


「ルドラ、キララが住んでいる村から牛乳を納品しろ。ただし、誰にも気づかれるな。キララ達の村が危険に晒される可能性がある。どこで売られているかわからないと言う特別感も大切な呼び込み要素だ」


 マルチスさんは私達の村が危険に陥らないようしっかりと考えてくれていた。


「わかっています。でも、その村には強力な者達がいますからあまり恐れる必要もないと思いますけどね……。と言っても細心の注意を怠りません。商人が品を作り出す者達を潰すわけにはいきませんから」


 ルドラさんは軽く頭を下げ、返事していた。


「よし、ウトサが高騰し、とまどっている菓子職人にバカうまい素材を叩きつけ、メロメロにさせてやる。もう、手が離せないと言うくらいにな! 準備が整うまで注意を怠らず、それぞれが出来る仕事をしろ!」


 マルチスさんは力強く立ち上がり、六十代を思わせない。シャキシャキと歩き、食堂を出ていく。


「うう、ママ、俺、仕事に行きたくない……。皆、怖い~」


 ケイオスさんは赤ちゃんみたいな発言をしながらテーゼルさんに、まだくっ付いていた。


「ルークス王に認められていなくても出来る仕事は山ほどありますから、さっさと行きますよ」


 テーゼルさんはケイオスさんを引っ張り、食堂から出て行った。とても仕事ができる秘書のようだ。


「キララさん、村に帰ったら私のアイテムボックスにパンパンに詰められるくらい大量に牛乳パックを常備しておいてください。バターやチーズ、その他の品々も随時王国に運びます。もちろん、その金額はお支払いします」


 周りに親族がいなくなり、ルドラさんは私に敬語を使ってくる。


「了解しました。今、村の状態がわからないので帰ってからすぐに準備します」


 ――ベスパ、村にいるビー達と連絡が取れる?


「可能です。まあ、危険なことがあれば私に伝達されるので平和な日常が続いていると思われます。心配せずとも、ライトさんが完璧に仕事を回しているはずです」


 ――はは……そうだね。あまり心配する必要もないか。でも、万が一の可能性も考えてビーと定期的に連絡を取り合っておいて。


「了解です」


 ベスパは光り、村のビー達と伝達した。特に問題ないそうだ。


「では、私は仕事に行ってきます」


 ルドラさんは食堂を出て行った。


「じゃあ、私達も仕事に行こうか」


「了解です」


 私は食堂を出て、マドロフ家の庭にある厩舎にやって来た。


「あーん、レクー様、可愛いだなんてそんなー」

「レクー様、私にも擦り寄ってください」

「ずるいわ、レクー様、私にももっと近づいてください」


 元気になった雌バートン達は健康体に加え大柄、筋肉質、知的、優しいレクーにメロメロだった。レクーは私が以前に言った優しくと言う言葉通り、行動していた。


「皆さん、可愛らしいですよ。僕にはもったいないくらい素敵な方達です。僕の体が大きいですから、皆さんを傷つけたくなくてあまり近づけません。でも、これくらいなら」


 レクーは雌バートンの首にキスしていった。


「きゃあああああああああああああああっ!」


 雌バートン達は嬉しさのあまり、気絶。その場にパタリパタリと倒れて行った。


 ――レクー、優しいとキザをはき違えていないだろうか。


「き、キララさん、どうしましょう。皆さんが倒れてしまいました!」


 レクーは慌てて私の方に寄って来た。


「えっと……、気にしないで。レクーがカッコよすぎて皆、失神しているだけだから」


「僕よりもイカロスさんの方がカッコいいと思いますけど……。真っ黒で筋肉も凄くて」


「まあ、好みって十人十色だからさ、感じ方はそれぞれなんだよ。だから、レクーもこの子、滅茶苦茶好きっ! ってなる相手が出来るかもしれないから、楽しみにしてな」


「そんな相手が見つかるんですかね……」


「見つかるよ。だって、あの男勝りな姉さんですら子供を産みたい相手に出会ってるんだからさ、今のところ女の子に興味がなくても問題ない。知らぬ間に恋しているよ」


 ――私はよくわからないけど……。私にもそう言う時が来るのだろうか。学園に入っても同級生は一二歳児ばかりだし、先輩だとしても一五歳が最年長。私のストライクゾーンに入ってくる相手は教師陣くらいの年齢層何だろうな。でも、一二歳児と恋愛してくれる相手はいなさそうだし、中々大変だ。


 私は腕を組みながらレクーの話しだけをしている場合じゃないと言う事態に気づいた。自分も全くそう言う雰囲気がない。


「ま、まあー、まだ一二歳だし、何とかなるって。で、でも、このまま行ったら結婚出来ずに年老いてフリジア学園長みたく若い見た目だけど相手がいないみたいな存在になっちゃう……。その未来は嫌だな……」


 私は結婚願望がない訳ではない。良い相手がいたら結婚したいと思っている。まあ、この世界の結婚がどういうものなのかわからないが、私の性格を受け止めてくれるような包容力のある男性が良いなー。


 包容力のある男性として一番に思いついたのはフロックさんだった。


「……ま、また出て来た。し、しっ、しっ」


 私は頭の上で手を払い、フロックさんに抱きしめられていた時をもう一度頭の中に思い描く。包容力があると言うか、ただ、抱きしめられただけで私の心が靡くと思ったら大間違いだ。


「キララ様、心拍数が一二八を超えています」


 ベスパは翅をブンブン鳴らし、私に知らせて来た。


「だ、だから、そんな心拍数を計らなくても良いって。別にドキドキしているわけじゃないし、超巨大なブラックベアーを思い出して怖くなっちゃっただけだから」


 私は両手を組み、ベスパの言葉を無視する。確かに心臓が異様なくらい早く脈打っており、深呼吸をして心を静めた。


「よし、じゃあ、仕事に行くよ」


 私はレクーをバートン場から庭に出す。


「わかりました」


 レクーは頭を下げ、やる気満々。


 私はレクーの背中に乗り、手綱を持ってウルフィリアギルドまで向かった。


 ウルフィリアギルドに到着してすぐに仕事した後、キアズさんに三月八日以降の話をしておかなければならないと思い、ギルドマスターの仕事部屋の前にやって来た。


 質が良い木材の扉を三回叩く。


「失礼します。キララです。お時間、よろしいでしょうか?」


「はい。開いています」


 キアズさんの声が室内から聞こえたので、私は取っ手を握り、内側に引く。

 以前入った時は物凄い書類の山だった部屋が、未だにすっきりと片付いていた。キアズさんは根っからのゴミ屋敷人間ではなかった。

 私はほっとし、キアズさんの仕事机の前に歩いていく。

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